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黄金の帝国  作者: 亜蒼行
漂着篇
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幕間0 ~ラズワルドの日記




タシュリツの月・二六日


 やっとルサディルに戻ってきた。

 奴隷商人に誘拐されたけど、髑髏船団が助けに来てくれた。アニードが頼んだらしいのでお礼を言わなきゃいけなかったのが忌々しい。

 タツヤをここにおいてもらえるようになったのはよかった。





タシュリツの月・二七日


 ばあやに心配かけたのは申し訳なかったと思う。ばあやはわたしのことを可愛がってくれる数少ない人だ。半分くらい惚けてるからだけど。





タシュリツの月・三〇日


 タツヤに使用人の仕事をしてもらう。

 でも火の使い方も知らなかったし、他の仕事も大してできない。掃除とか薪割りとか本当に簡単な仕事だけやってもらう。

 早く言葉も覚えてもらわないといけない。





アルカサムの月・七日


 タツヤがばあやの仕事を手伝っていた。ばあやの指示でタツヤが料理を作った。

 タツヤにばあやの仕事を取らないよう注意する。タツヤは不満みたいだったけど、ばあやの仕事がなくなってここをクビになったら他にどこも雇ってくれない、と説明したら判ってくれた。





アルカサムの月・一〇日


 タツヤがやることがなくてつらいみたい。暇なよりは、雑用でも何でも働いている方がいいというのはいまいち理解できない。

 今は早く言葉を覚えるべき。





アルカサムの月・二〇日


 アニードの仕事の手伝い。アニードの嫌われっぷりがちょっと楽しい。

 心が汚れたのでタツヤに癒してもらう。





アルカサムの月・二九日


 タツヤがリモンとかいう本邸のメイドとしゃべっていた。あのメイドは確かばあやの孫娘。

 まだ片言しかしゃべれないくせに随分と楽しそう。わたしが顔を見せたらメイドは慌てて逃げていった。いい気味。





キスリムの月・九日


 タツヤを連れて町に出掛ける。一緒に串焼きを食べた。

 町の人のわたしへの態度がますます悪くなっている。それはわりとどうでもいいけど、タツヤに気遣わせる方がつらかった。早々に戻ってくる。





キスリムの月・一七日


 タツヤがまたリモンとしゃべっていた。お互いただの知り合いくらいにしか見ていないので、隠れて監視するだけで我慢する。





キスリムの月・二八日


 腰を痛めたばあやをタツヤが家まで送っていって、リモンに夕ご飯を食べさせてもらっていた。嫌な予感。





ティベツの月・一日


 ばあやが戻ってくる。「お礼」と称してタツヤを家に招待していたが、止めさせる。

 残念そうなばあやにはちょっと心が痛んだが、仕方がない。





ティベツの月・一一日


 タツヤが文字を習いたいと言ってきたので教材を用意する。

 正直、わたしも文字を読むのは得意じゃなくて言葉のときほどには上手く教えられない。一緒に勉強する。





ティベツの月・二一日


 アニードの仕事の手伝い。

 戻ってきたら、泥棒猫がタツヤとしゃべっていた。弱みを探ろうとしたら逃げ出していった。

 タツヤは泥棒猫から文字を習おうとしているけど、他に習う人はいないのか。





ティベツの月・二七日


 庭を散歩していたら、泥棒猫が他のメイドとしゃべっているのを見つける。わたしには気付かずタツヤのことをしゃべっていた。

 他のメイドがタツヤのことを馬鹿にしていて、泥棒猫がタツヤのことを「いいところもある」とかばっていた。

 しばらく泥棒猫と呼ぶのは止めておこう。





シャバツの月・二日


 やっぱり泥棒猫で充分だあの女。

 タツヤを誘って外に遊びに行こうとしているのを見つける。

 竜也が外出することをことわりに来たので、先手を打ってわたしの外出に付き添うようにお願いした。

 久々に一緒の外出。タツヤの服を買う。





シャバツの月・一五日


 タツヤがまた泥棒猫としゃべっているのを見つける。気付かれないよう近寄って何の話をしているのか聞かせてもらうことにした。

 タツヤはまだ片言なので、泥棒猫が一方的にしゃべっている。お金が貯まったらメイドを辞めて、何でもいいのでお店屋さんがやりたいそうだ。今すぐ辞めればいいのに。

 タツヤは今が精一杯で、先のことはあまり考えていないみたい。

 わたしは将来、どうしたいのだろう。少なくてもこのままここにいたいとは決して思わないけど。






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