繋いで押し切る
爆音と衝撃がまだ絶え間なく広場を揺らしている。
雷、銃声、爆発、氷の軋む音。その全部の隙間にひとつだけ、ゆっくりとした足音が混ざった。
瓦礫を踏む音にレドが一瞬だけ目を向ける。ララメもメアリーも気づく。
黒炎揺らめく見慣れた色
…霣羅が戻ってきた。
ララメ「…っ、霣羅……!」
メアリー「…立てたのですか……」
返事はない。ただ顔を上げた霣羅の顔はさっきまでの絶望が消えていた。
代わりにあるのは_底の見えない静かな怒り。
泣き腫らした跡が残ったままでも前だけを見ている。
フォドルがちらっと視線を向けた。
フォドル「まだ動けるか。裏切り者」
霣羅「……」
何も言わない。
言葉なんてもう要らなかった。刀を構えると黒炎が前より濃く、重く刃にまとわりつく。
怒りで暴れる炎じゃない。
静かに燃える芯の炎。
_霣羅が消えた。
レド「……っ!?」
ハウル「速ぇ……!」
地面が抉れる。一瞬で距離を詰めてフォドルの懐に刀が横薙ぎに走る。
初めてフォドルが避けきれずに腕で受けた。フォドルの足が半歩下がる。
ララメ「霣羅一人で押した!?」
霣羅は止まらない。
踏み込み斬撃。返す刃の黒炎が軌跡を描く。
連撃まるで感情を全部叩きつけるみたいに。
フォドル「……チッ」
明確な舌打ち。今まで余裕だった男が防御に回っている。
霣羅「…返せ」
低い声。刀が振り抜かれる。
霣羅「俺の兄さんを返せ!!」
炎が爆ぜる。衝撃でフォドルのコートが裂ける。
さらに
霣羅「…俺らの人生、全部っ…!」
その瞬間横から銃声。
レドの弾がフォドルの死角を撃ち抜く。
レド「ぼーっとしてんじゃねぇぞ司令官!」
同時にドンッ!とシロクラの爆発が足場を崩す。
シロクラ「足元も見ろや!」
ララメの電撃が絡みつく。
ララメ「止まれぇぇ!!」
メアリーの腐敗が広がる。
メアリー「崩れてくださいなのです!」
ニアのバリアが軌道を塞ぎ、アマネの氷が退路を封じてソラが瓦礫を操作して四方から圧縮する。
ソラ「逃がしませんよ!」
全員の攻撃。その中心に霣羅の黒炎が一直線に走る。
霣羅「ぶった斬らせろ!!」
渾身の一太刀で黒炎が爆ぜる。
フォドルの体が明確に後方へ吹き飛んだ。
何mか後ろへ飛び床を削って止まる。全員が一瞬息を呑む。
今まで誰も一人でここまで押せなかった。
レド「……はは…マジかよ」
ララメ「やっば…霣羅バフかかってない!?」
ハウルは、少しだけ口元を緩めた。
ハウル「…いい顔してんじゃねぇか、霣羅」
霣羅は荒く息を吐く。
膝が震えていて体力はもう限界。それでも刀は下ろさず視線も逸らさない。
霣羅「…兄さん」
「見てろよ」みたいに小さく呟く。そして黒炎をもう一度灯す。
霣羅「次、行くぞ」
その声に全員が自然と頷いた。
流れが変わった。
絶望の戦場が初めて勝てる戦場に変わった瞬間だった。
空気が焼ける。雷鳴みたいな爆音の中全員が同時に畳みかけている。
フォドルは確実に削れている。
だが
フォドル「鬱陶しい」
低い呟きの次の瞬間、地面ごと抉るような衝撃波が半円状に放たれた。
無差別。広範囲。避けきれない。
ニア「…っ、ば、バリア……!」
アマネ「氷壁、もう一回――」
展開が間に合わない。フォドルの目が細まる。
狙いは明確
盾役であり支援役、戦線を保ってる奴らから潰すとかいう最悪の選択。
フォドル「まずは邪魔な防御からだ」
一直線に圧縮された一撃がニアとアマネに向かって飛ぶ。
空気が裂ける音。当たれば終わる。
ハウル「やべぇ、間に――」
その瞬間、間に誰かが飛び込んだ。
來菟「……っらァ!!」
生身で武器も能力もない。ただ両腕を交差して真正面から受けた。
バギィッと嫌な音。地面が陥没し、來菟の体が吹き飛んで床に転がる。
ニア「…えっ、?」
アマネ「來菟さんっ!!!」
ララメ「バカ!?なにやってんの!!」
來菟は地面に膝をつきながら笑う。
來菟「は、はは…防御職に飛ばすとか、性格悪すぎだろ……」
腕が震えてる。今の衝撃で立つのがやっとだがそれでも絶対倒れない。
その時、フォドルが追撃を振りかぶる。
フォドル「耐えただけか。なら二発目で終わりだ」
再び同等の一撃。今度は確実に仕留める軌道。
來菟は咄嗟に動けない。避けられない。ニアもアマネも展開が遅れる。
当たるその瞬間。來菟の前にも影が立った
綯緒「…ほんと、世話焼かせんなよバカ」
來菟「綯緒!!!」
綯緒が片手を静かに前に出す。
綯緒「__消えろ」
直撃と爆音と煙。なのに來菟も綯緒も吹き飛ばない。
衝撃はまるで“最初から存在しなかった”みたいに、掻き消えていた。
フォドル「……何だと?」
綯緒の能力。“受けた事象を代償と引き換えに打ち消す”。
代償は_自分の身体。
綯緒の肩から赤が滲む。腕、脇腹、足。
まるで見えない刃で斬られたみたいに同時に傷が走る。
アマネ「…綯緒さん、血……!」
綯緒「うっせ。」
ふらつきながらも立ってる。
綯緒「この程度で騒ぐな。子供守るのが大人の仕事だろ」
來菟が歯を食いしばる。
來菟「綯緒お前自分に傷移してんだろ……」
綯緒「うるせぇ」
軽く蹴る。
綯緒「盾役はお前、無効化は俺。役割分担だ」
來菟「っははwじゃあさ、もう一発来たらまた頼むわ」
綯緒「次はお前が全部受けろ。俺もう限界だ」
來菟「んーなわけねぇだろなんなら今一番動けるだろ!?」
2人ともフォドルから目を逸らさない。ララメが拳を握る。
ララメ「…來菟くんも綯緒さんも……」
レドがニヤッと笑う。
レド「マジで全員ヒーローかよこのチーム」
ハウルが前に出る。
ハウル「ま、いいじゃねぇか」
フォドルを睨む。
ハウル「…テメェ、もう数で負けてるぞ」
フォドルの周囲は完全包囲。眉が初めてわずかに歪んだ。
戦況は確実にこちらに傾いていた。
強い意志も守る理由もないフォドルからしたら、今回の霣羅みたいな相手とは相性が悪いようです
全員が全員ヒーローのように活躍する描写をもっと上手く書きたいですが語彙力がなんというか…




