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館護戦線  作者:
館護戦線
43/76

総力で届いた一撃

人外達の能力が炸裂し、攻撃が絶え間なくフォドルへ叩き込まれる。


レドの銃弾が頬を掠め、ララメの電撃が足元を焼き、メアリーの腐敗がコートの裾を崩し、ハウルの拳が肋を軋ませる。


確実に当たっている。フォドルは確実に削れている。


…それなのにフォドルは怯まない。


フォドル「……鬱陶しい」


低い声が落とされた次の瞬間、衝撃波で全員が一瞬だけ体勢を崩される。


そのわずかな隙


フォドルの視線が真っ直ぐに固定される。


霣羅という、まだ立てない男。



フォドル「裏切り者は、優先排除だ」


レイズ「待っ――!」


止める声よりも速くに地面が抉れる。


フォドルが一直線に踏み込む


フォドルからすればただの移動なのに、それだけで衝撃が走る。


ハウルでもレドでも間に合わない。


振り上げられる腕は今までより重い。


明確な殺意。処罰。処刑。


「確実に終わらせる」だけの一撃。


霣羅「……っ」


霣羅は動けない。絶望の中で避けられない。


振り下ろされるその瞬間



透明な壁が割り込んだ。


フォドルの拳が空中で止まる。


ニア「……だ、め……っ!」


小さな体で両手を前に突き出している。

震えながら必死に霣羅を包むようにバリアを展開していた。


フォドル「……邪魔だ」


拳に力がこもる。ミシミシとヒビが広がる。


ニア「ぁ……っ……!」


それでも消えない。消すわけにいかない。


その瞬間、地面が白く、冷たく染まる。


アマネ「凍って!!!」


氷が一気に競り上がり、分厚い氷壁がフォドルの腕を横から押し返しバリアごと覆う。


衝撃が氷にめり込む。だがその衝撃でも貫けない。


アマネ「はぁ、はぁ…」


息は荒く、10歳の体は限界ギリギリ。それでも目は目の前から逸らさない。


アマネ「通さない……絶対……」


フォドルは舌打ちした。


フォドル「……小賢しい盾役が」


再び殴ろうと腕を引いた瞬間。後方から怒号。


ハウル「どこ見てんだフォドル!!」


フォドルの首筋へ腕が絡みつく。


肩を押さえ込まれた瞬間、フォドルの上体が沈んだ。


力任せではなく、重心を奪うためだけの一手でフォドルの体が傾く。


膝がわずかに折れるその一瞬で絶対だったはずの体勢が崩壊した。


ハウル「よそ見してんじゃねぇぞ……!」


血まみれの顔には涙と怒りが混ざった目。そのまま胸倉を掴み力任せに引き戻す。


ハウル「相手は俺らだろうが!!」


間髪入れず乾いた銃声。


レド「親父の前で他見てんじゃねぇよ」


弾丸がフォドルの肩を掠め、動きを止める。


続けて二発三発と正確無比に、そして確実に削っていく射線。


フォドル「……ちっ」


横へ跳ぼうとした足元に、


ララメ「逃がさないってば!!」


ピンクの電撃が地面を這い、足首に絡みつく。雷が爆ぜてフォドルの動きが鈍る。


メアリー「腐りなさいです!」


メアリーの声と同時にフォドルの踏み込んだ地面がじわりと崩れ落ちる。


足場が溶けるように沈んで踏ん張れない。体勢が浮き、完全な連携。


一人からなら避けられた。


一人からなら耐えられた。


でも今は違う。四方八方からの攻撃が同時に殺到している。


ハウル「レド!!」


レド「言われなくても!」


銃撃で牽制。


ララメ「いっけぇぇぇ!!」


電撃が視界を焼き。


メアリー「動きを奪います!!」


腐敗が逃げ道を消し、そしてハウルが踏み込む。


地面が爆ぜると今までで一番重い一歩


怒り、後悔、取り戻したい時間を全部を乗せた拳。


ハウル「__返せ!!!」


衝撃と鈍い音でフォドルの身体がまた大きく後退した。


瓦礫を踏み砕きながら数歩下がる。広場に一瞬静寂が落ちる。


レイズ「……押した……?」


ルガ「やっと押せましたね。」


確実にほんの少しだが押し返した。


ニアのバリアの向こうで霣羅が息を呑み、アマネも震える手で氷壁を支えながら目を見開いている。


フォドルはゆっくりと顔を上げた。


額から血が一筋。コートは焦げ、崩れ、汚れている。


今まで無傷だった男が初めてダメージを受けている。


フォドル「……」


無言のままギシッと拳を握る音。空気が重く沈む。


フォドル「…本当に、鬱陶しいな…貴様ら」


低い声には怒気が滲む。司令官の本気がさらに一段階下りてくる。


でも誰も退かない。


ハウルが前に立ち、レドが銃を構え、ララメが笑い、メアリーが静かに構え直す。


霣羅の前にはまだニアとアマネがいる。



守る者がいて


支える者がいて


撃つ者がいて


殴る者がいる


もうフォドル単騎最強の戦場じゃない。これは全員で潰す戦い。

フォドルは圧倒的でしたが、この戦いで押せたのは特別だからとかじゃないです

傷つきながらも立ち続けた全員です


次回、あるキャラが戦場に戻ります

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