第82話 魔王タンゴ
2日後、魔王タンゴが亀島北港に現れたとの連絡が入る。
センターの人間を全員支配して破壊の魔王の封印場所を聞き出そうとしたのだ。
しかし、ウル様が先手を打って破壊の魔王を全て滅ぼしたと知ると、センターの人間をほぼ皆殺しにして、南に飛んで行ったらしい。
八つ当たりだな。
とは言え、これでタンゴの今後の動きが読めなくなった。
そのため、センターの各町は警備員や冒険者を動員して魔王襲撃に備えている。
魔王が破壊の概念を得られなくなった事で、大量破壊は出来なくなった。
警備員や冒険者が束になってかかれば魔王とも戦える筈だ。
「なあ、ウル様がタンゴなら、これからどうする?」
兄貴がウル様に聞く。
「当面は大人しくして、エネルギーを使わないようにしながら、世界を破壊できるレベルのエネルギーが貯まるまで待つかな。
100年以上かかりそうだが、不滅の概念を手に入れた以上、永久に待つ事もできるからな。」
ウル様が答える。
一見平和だが後が怖い回答だ。
「タンゴはそこまで気が長い奴か?」
俺はその危惧が現実になりそうか聞く。
「八つ当たりで亀島北港のセンターを襲った時点でそこまで気は長くないだろうな。
逆に言えば、弱体化させて封印することができる可能性があるとも言える。」
ウル様が答える。
「俺様がタンゴなら、散々邪魔をしまくったウル様だけは消したいと思うぜ。」
兄貴が言う。
それはありそうだな。
「なるほど、それはあるかもな。
俺は絶好の囮になるわけだ。」
ウル様が言う。
「ウル様、また危ない事を考えているんじゃねえだろうな。」
俺が突っ込むと、
「またってなんだ。
そんなに危ない事は考えていないだろ。
サンクチュアリで俺自身は安全にしながらタンゴを誘い出して一斉攻撃で弱体化を狙うつもりだ。
ついでに、その戦闘の隙にタンゴを封印の中に閉じ込めてしまおうと考えただけだ。」
ウル様は凄い事をさぞ当たり前のように言う。
やはり、ウル様を敵に回すのは怖い。
「力を持ったままの魔王を封印する事ができるのか?」
兄貴が聞く。
それは俺も思った。
「パワー達が五島諸島に向かって飛んでいる間に、センターに魔王の封印方法について色々聞いておいた。
魔王の封印と言うのは、封印の儀式の開始から完了まで、予め指定した範囲に魔王を閉じ込めておく事ができれば可能らしい。
サンクチュアリの中にいる俺をタンゴが攻撃しようとすれば、当然タンゴは俺のすぐ近くにいる事になるよな。
俺がいる所を中心に封印の範囲を指定して、多数の術者が同調すれば力のある魔王であっても封印する事は可能だ。
大事なのは、封印の儀式の開始から完了までの間、魔王に指定範囲から一瞬でも外に出られないようにする事だ。」
ウル様が言う。
「ウル様も同時に封印されたりしないのか?」
兄貴が聞く。
「それは大丈夫だ。
予め封印の対象とならないよう封印する術者の魔力をまとっておけば、封印の対象から外れるようだ。
封印にはかなりの時間がかかるから、タンゴに逃げられないようパワー達にも戦闘を続けてもらわないといけないだろうしな。」
ウル様が答える。
「封印の儀式が完了するまでどれくらいの時間がかかるんだ?」
俺も聞いてみる。
「術者を五島諸島中から集めても最低1時間はかかるらしい。
力を持つ魔王の場合結界の強度を上げるためだけに余分の魔力が必要になるからさらに時間がかかる。
だから、戦闘で少しでもタンゴのエネルギーを削りたい。」
ウル様が答える。
「1時間以上もタンゴに気づかれずに戦闘を続けるとか無理だぜ。
サンクチュアリは、中から外への攻撃も防げるぜ。
封印が完了するまでタンゴをサンクチュアリの中に閉じ込めるわけにはいかねえのか。」
兄貴が聞く。
それができるなら、その方がいいな。
「パワー、それはいい考えだ。
タンゴがやってきたら大きなサンクチュアリでタンゴを内部に閉じ込め、その間に封印をしてもらおう。
問題は、サンクチュアリの術者もその間中にいないといけないことだな。」
ウル様が言う。
確かに1時間以上気づかれずに戦闘よりは現実味があるが、術者が殺されたら終わりだぜ。
「俺様とウル様でタンゴを待ち受け、タンゴが効果範囲に入ってきたらウル様がタンゴも入れてサンクチュアリを発動。
その直後に俺様がサンクチュアリの内部で俺様とウル様だけを入れたフォースフィールドを発動。
封印が完成するまでフォースフィールドを掛け直しながら待つっていうのはどうだ?」
兄貴が言う。
兄貴もすげえな。確かにそれなら現実的な気がする。
「あとは、魔力プールに魔力を集めて貰わないといけない。
その辺をセンターに相談してみるか。」
ウル様はそう言うと、俺達はタンゴの封印についてセンターに相談に行った。
レオグラードの時は半径30キロの結界を150人の術者が交代で維持し続けた。
だか、今回想定する結界は半径100メートル程度。
ウル様の計算だと、単純計算するだけなら1人でも十分維持できるらしい。
ただし、予め維持分も含めて魔力を貯めておく必要がある。
それも10人の術者が2分も魔力を貯めれば結界完成まで十分な時間のサンクチュアリが発動できるようだ。
俺達は予めセンターの協力で魔力プールに十分の魔力を貯めて貰った。
次の日の夕方、五島諸島最大の町である馬島北町にタンゴがやってきた。
何らかの方法でウル様が馬島北町にいることを知ったのだろう。
外から激しい戦闘音が聞こえてくる。
最終的にタンゴをウル様の所に呼び寄せるにしても何もしないのは不審すぎる。
ある程度戦闘をする必要があるだろう。
警備兵や冒険者達もそれが分かっているから魔王に攻撃を仕掛けてくれているのだ。
だが、できる限り犠牲者は減らしたい。
そのためには、なるべく早くタンゴを呼び寄せないといけない。
俺達は、まず町の中央の広場に移動する。
ここで封印する手はずになっているからだ。
「それじゃあ、俺様達がこれからタンゴを誘い出してくるから、ウル様はずっとサンクチュアリの中にいてくれよ。」
いきなりウル様が殺される事を避けるため、ウル様には一旦自分の精神力だけで狭いサンクチュアリの中で待って貰う事にした。勇者の力を持たないウル様はタンゴのバルキリージャベリンを喰らえば一発で即死だからだ。
そして、俺達は、ウル様が狭いサンクチュアリを発動させたことを確認して魔王の方へ向かう。
馬島北町の中では、激しい戦いが始まっていた。
タンゴはバルキリージャベリンで、次々と冒険者と衛兵隊を殺害している。既にかなりの数の犠牲者が出ていた。
だが、ここは五島諸島の中でも最大都市であるの馬島北町。冒険者や衛兵隊の数が違う。
タンゴはバルキリージャベリンを1秒に1~2発放つことができるが、その間に千人近い冒険者やモンスター使いのモンスター、警備隊から一斉に攻撃魔法や技を喰らっていた。
タンゴも流石に全部を受けていてはダメージがでかいと判断したのか、飛行して多数の冒険者たちから距離を取り、敵の少なそうな所に移動して攻撃をしている。
タンゴは破壊の概念を手に入れられなかったため、広範囲攻撃を放つ事ができない。一応、タンゴは元が★5キリンなのでフォッサマグナを放てるが、使ってこない所を見ると、フォッサマグナでは一般人の非戦闘員位しか即死させることができないため効率が良くないのだろう。
今、空中にいるのはほぼタンゴだけなので、狙いをつけるのは容易い。
ただ、破壊の概念を持たないタンゴは大きさが普通の★5キリンと変わらないため残りのエネルギー残量は分からない。
★5リバイアサンの魔王のように無駄遣いはしていないのだろうが。
「バルキリージャベリン」×2
俺も兄貴は、エネルギーを貯めたバルキリージャベリンをタンゴにぶつける。
タンゴがこちらを向く。
明らかに何度も受ける訳にはいかない攻撃と判断したのだろう。
俺達の予定通りだ。あとは、ウル様の待つ広場に誘導しないと。
タンゴがバルキリージャベリンを放ってきた。
2連発だ。
俺と兄貴を狙ってきたのは明らかだ。
「フォースフィールド」
兄貴が防御壁を張る。
勇者のエネルギーを持つ俺達は、魔王のバルキリージャベリンを喰らっても勇者のエネルギーがダメージを肩代わりしてくれるため、すぐにはダメージを受けない。
だから、俺達は魔王アリエルの衝撃波でダメージを受けなかった。
しかし、ダメージを肩代わりしてくれるのも勇者のエネルギーが残っている間だけだ。勇者のエネルギーを全て使い切ってしまうと、ダメージを防ぐだけでなく攻撃技であるバルキリージャベリンも撃てなくなってしまう。
勇者のエネルギーを無駄にしないためにも、できる限り魔王の攻撃は喰らわないのが望ましい。
だからこそ、無駄にダメージを受けないよう兄貴はフォースフィールドで防いだのだ。
そして、それは逆に魔王であるタンゴにも言える。
膨大なエネルギーを持っているとは言え、バルキリージャベリンを喰らうと、魔王はダメージに応じたエネルギーを失う。
それだけでなく、バルキリージャベリン程のダメージは期待できないにせよ、通常の属性攻撃を受けても魔王はエネルギーを失う。
勇者は常にいるとは限らない以上、魔王に対しては多数の術者による一斉攻撃が有効なのだ。
よしっ、タンゴがこっちに向かって飛んできた。
「ライトニング」
ウル様の近くからロウガが攻撃技を放つ。
タンゴを挑発してくれているのだろう。
タンゴはロウガにもバルキリージャベリンを放つが、当然ガイアであるロウガには効かない。
そして、タンゴはウル様の姿を見つける。
「タンゴの奴、ウル様に気づいたぜ。」
兄貴が言う。
タンゴは、真直ぐサンクチュアリの中にいるウル様の方へ向かって行く。
よし、ここまでは予定通りだ。
「ロウルめ、ついに見つけたぞ。」
タンゴが言う。
「わざわざ俺を探していたのか。」
サンクチュアリの中からウル様が挑発する。
「私の邪魔ばかりしおって。
貴様だけは殺さんと気が済まん。」
タンゴは感情が高ぶっているな。魔王になるとそうなるのかも知れないが。
「やってみたらどうだ?
できるものならな。」
ウル様が再度挑発をする。
それと同時にタンゴはバルキリージャベリンを放つが、ウル様の周りに張ってあるサンクチュアリにより無効化される。
「★5シリウスのくせにサンクチュアリだと。」
タンゴが驚いている。
タンゴの奴、ウル様の方に気が行っていて、俺達に意識が行っていないようだ。
「バルキリージャベリン」×2
俺と兄貴はウル様のサンクチュアリの傍に降りるとバルキリージャベリンをタンゴに放つ。
そこまでエネルギーを集められてはいないが、気を引いてくれれば十分だ。
「おのれ」
タンゴは俺と兄貴にバルキリージャベリンを放ってくる。
俺の素早さでは当然かわせない。
「フォースフィールド」
兄貴が準備していたフォースフィールドで防ぐ。
ウル様のサンクチュアリも範囲に入れて。
これで、ウル様がサンクチュアリを解除すれば俺達3匹がフォースフィールドの中にいる形になった。
タンゴは忌々しそうな目で俺達を見る。
あまり追い詰めてこの場から逃げられる訳にはいかない。
「ライトニング」
ロウガが横から電撃を放つ。
タンゴがロウガの方を見る。
想定パターン通りだ。
「フォースフィールド「反転」」
その瞬間を逃さず、兄貴が自分のフォースフィールドを解除する。
全体を取り囲む広範囲のサンクチュアリの発動の邪魔になるからだ。
「サンクチュアリ」
その直後、ウル様が魔力プールのエネルギーを一気に使ってタンゴも範囲に含めたサンクチュアリを発動させる。
予めセンターと打ち合わせていた通り、広場の周りには俺達以外誰もいないため難なく発動する。
「フォースフィールド」
兄貴がサンクチュアリの発動を確認して再度フォースフィールドを張る。
これで準備は整った。
ウル様が遠吠えをする。
封印作業に入るための合図だ。
タンゴは一体何が起こったのか分からず、バルキリージャベリンをウル様に放つが当然のように兄貴のフォースフィールドに阻まれる。
「何のつもりだ?」
タンゴが言う。
未だに何が起こったのか気づいていないらしい。
「さあな。」
ウル様が挑発する。
タンゴは嫌な予感がしたのか一旦空を飛んで距離を取ろうとする。
が、内側からサンクチュアリに阻まれて落下する。
そして、別方向にも移動しようとするが、すぐに自分が閉じ込められた事に気づいたらしい。
「サンクチュアリの内側に閉じ込めたようだが、効果時間内に私を倒せるとでも思っているのか?」
タンゴが言う。
「魔力プールのエネルギーを使ったから、サンクチュアリは半日は消えないぜ。」
ウル様が再度挑発する。
「貴様、まさか・・・」
タンゴはようやく自分を封印しようとしている術者達の存在に気付いたらしい。
「魔王になった直後に比べ、お粗末な判断だったな。
不滅や支配の概念が混じって判断力が落ちたという事か。」
ウル様が言う。
思いっきり挑発しているとしか思えないが。
「ロウル、術者の貴様を殺せばサンクチュアリは破れる。
フォースフィールドの効果時間は短い。
かけ直しの隙を私が見逃すとでも思うか。」
タンゴが言う。
「やってみたらどうだ?」
今度は兄貴が挑発する。
タンゴはフォースフィールドの結界に足を乗せ、効果が切れる瞬間を待つつもりらしい。
俺は、万が一の時のためにタイムストップの準備を万全にしておく。
「ライトニング」
俺達しか見ていない隙だだらけタンゴをロウガが見逃すはずがない。
「目障りな、貴様からぶち殺してやる。」
タンゴは、フォースフィールドに守られていないロウガを標的にしたようだ。
最初の計画では、ロウガにはフォースフィールドを掛け直す時間を稼ぐために、タンゴを横から妨害してもらう予定だった。
実際、ロウガはその方針通りに動いてくれている。
ロウガがタンゴに狙われることも想定済みだ。ロウガは魔王の肉体攻撃以外には完全耐性を持っているから破壊の概念を持たないタンゴが相手なら大丈夫と判断したのだ。
「ストレングス」
「スピード」
タンゴは、エネルギー攻撃が効かないロウガに対し、肉弾戦で始末をするため補助技をかけ始めた。
「ディスペルマジック」
ロウガは、タンゴの強化技を解除しようとする。
「ディスペルガード」
タンゴは、ロウガの解除技を封じる。
ロウガはアンチディスペルガードを使えない。
これで、もうロウガはタンゴの強化技を妨害できない。
「パワー、アンチディスペルガードの準備は出来ている。
タイミングを教えてくれ。」
ウル様が兄貴がかけたフォースフィールドの効果時間を聞く。
「一旦解除した方が早いな。
俺様がフォースフィールドを解除した瞬間に頼むぜ。
すぐにかけ直すからよ。」
兄貴とウル様の連携はバッチリのようだ。
「アンチディスペルガード」
ウル様は兄貴の次のフォースフィールドの精神集中が完了した瞬間タンゴのディスペルガードを解除する。
当然タンゴも気づくはずだが、タンゴがこちらを向く頃には既に次のフォースフィールドが完成している。
「ロウガ、タンゴのディスペルガードを解除したぜ。」
俺はロウガに向かって叫ぶ。
「ディスペルマジック」
ロウガは再度タンゴの強化技を解除する。
タンゴが勝つためには、封印が終わるまでにウル様を殺して自分を閉じこめているサンクチュアリを解除するしかない。
バルキリージャベリンを当てることができれば、魔王の力でウル様を即死させる事ができるが、常に兄貴のフォースフィールドに阻まれている。
しかし、フォースフィールドは効果時間が長くないので、かけ直しをする必要があり、その一瞬の隙にバルキリージャベリンを放てばウル様を殺すことは可能だ。
一瞬の隙を待つには常にフォースフィールドに意識を向けておく必要がある。だが、ロウガがそれを妨害する。
そのロウガは、肉体攻撃でしか倒せない。
だから、タンゴとしては先にロウガを肉体攻撃で殺すつもりらしい。
それができれば、フォースフィールドの一瞬の隙をつく妨害をする者は誰もいなくなるからだ。
そうさせないために、俺達はフォースフィールドの中からロウガを守らなければならない。
タンゴは、自分の強化技を解除されるとまた次の精神集中を始めた。
「アンチディスペルガード」
ロウガにアンチディスペルガードを放ったのだ。
一応まだロウガはディスペルガードを習得していないので無駄なのだが、それを俺達が教える義理はない。
「サンダー」
ロウガは速い攻撃技でタンゴの次の技を妨害しようとするが、タンゴの精神集中は乱れない。
魔王のエネルギーで防いでいるのだろう。
「ディスペルマジック」
今度は逆にタンゴがロウガの強化技を剥がしに来た。
ロウガの体が小さくなる。
ストレングスの技が解除されたらしい。
ロウガはストレングスを掛け直そうとしたところに、タンゴが体当たりをかましてきた。
ロウガの体が吹っ飛ぶ。
まだ大丈夫のようだが、拙い展開だな。
「兄貴、次のフォースフィールドのかけ直しの時に俺は外に出るぜ。」
俺は兄貴に言う。
このまま放っておくとロウガが危ないからだ。
タンゴを封印から逃がさないためサンクチュアリを維持しているウル様を倒されるわけにはいかない。
そして、ウル様を守るためのフォースフィールドを維持している兄貴もだ。
今、タンゴを抑えに行けるのは俺しかいない。
「バルキリージャベリンの連射を喰らったら、勇者のエネルギーが尽きた時点でアウトだぞ。」
ウル様が言うが、
「分かってるぜ。
だが、このままロウガが殺されたら、フォースフィールドのかけ直しの隙をタンゴに突かれる。」
俺は答える。
「俺は既にサンクチュアリを魔力プールのエネルギーで封印に十分な効果時間でサンクチュアリを発動済みだ。
俺が死ねば拙いが、サンクチュアリを維持するために動けない訳じゃない。」
ウル様が言う。
「ウル様が動けるなら、俺様も動く事ができるって訳だな。
フォースフィールドの準備を続ける必要はあるけどよ。」
兄貴が言う。
「それなら、3匹で動いてロウガのサポートに行くか。」
それなら、何も想定は崩れないので、俺は同意する。
敵はタンゴ1匹。
兄貴が常にフォースフィールドの精神集中が終わった状態でタンゴを注視していれば、フォースフィールドのない隙をつかれることはない。
その間に俺とウル様でロウガをサポートする。
途中で俺やウル様の行動が中断されるとしてもフォースフィールド優先の方向だ。
方針が決まったところでロウガを見ると、ロウガは自分の翼で空中に飛んでいた。
空中なら体当たりを喰らわないという判断なのだろう。
タンゴは、再度自分に強化技を積んでいた。
ディスペルガードもかけ直したのだろう。
「アンチディスペルガード」
「ディスペルマジック」
俺とウル様は、フォースフィールドの効果が切れた後、タンゴに向けて技を放つ。
アンチディスペルガードを使うために、準備が完了していた俺のタイムストップは無駄に消費して枠を開けた。
タンゴがこちらを見る。
フォースフィールドがかかっていない俺達に気づくと慌ててバルキリージャベリンを放ってきた。
「フォースフィールド」
予め準備ができているので兄貴のフォースフィールドも余裕で間に合う。
こうして、俺達は2時間余り、魔王となったタンゴの攻撃をやり過ごす。
隙のない構築ができていたので、タンゴに付け入る隙を与えなかった。
ロウガが殺される可能性だけが唯一のネックだったが、ロウガがそこまで追い詰められる事もなかった。
そして、ついに封印の儀式が完了する。
タンゴの体は、広場に描かれた魔法陣に吸い込まれていった。
史上最強の魔王と言われる存在も、追い詰めればこうなるんだな。




