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熊王伝  作者: ウル
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第77話 ガイアの訓練

 次の日の朝、ゼルの所へ行くと、ゼル隊は既に訓練を始めていた。

 今日はゼル隊の全員がこの場に集まっていて、試合している2匹を囲んで見学していた。


 今試合をしているのはゼルの彼女である★3グリズリーのクリスとロウガだ。

 2匹はお互いにサンダーを撃ちまくっていた。

 熊族は生命力に秀でるからな。

 賢さ補正を抜きにしても先にロウガの方が力尽きた。


「もう1戦いくぜ。

 さあ、ロウガ。次はどうする?」

 生命力を回復させた後、ゼルがロウガに言う。


 次の対戦では、ロウガは一発のサンダーを喰らいながらも一気にクリスとの距離を詰め、クリスの足に噛みついて転ばそうとする。

 だが、体格の差でクリスは踏ん張って耐える。

 すると、ロウガはクリスの後ろに回り込み、一瞬の隙をついて精神集中を完成させてサンダーを放った。

 慌ててクリスもサンダーをしようとするが、すかさずロウガはクリスの足に噛み付いて精神集中を乱す。

 そして、ロウガはヒットアンドアウェイを続けて、サンダーでダメージを稼いでいく。

 クリスとしてはロウガのスピードについていけず、自分のサンダーは妨害されるわ、近接攻撃して少しでも隙を見せる度にサンダーを喰らうわで打つ手がない。

 見ていてもロウガの戦闘センスはかなりのものだと分かる。


 そして、このカードを組んだゼルの戦闘センスも相当なものだな。


 ついに、クリスがこのままでは後はないと判断して、防御を捨てて連続攻撃を仕掛けてきた。

 ロウガは冷静にかわし、クリスの大振りの右手の振り下ろしの隙にクリスの頭の上にジャンプしクリスの後頭部をキックする。ダメージは大してないが、大振りでバランスを崩しかけていたクリスは派手に転んでしまう。

 ロウガは冷静に距離を取ってサンダー連射。既に体力を削られているクリスは降参した。


「ロウガ、やるじゃねえか。

 1試合開けて、次の対戦があるから、準備しておけよ。」

 ゼルは、隊員全員の訓練も兼ねているようだ。

 ロウガだけ休憩が少ないようだが、俺の要望通りにロウガの訓練を優先させてくれているのだろう。


「ガイン大将。いつの間に来てたんだ?」

 ゼルが俺に気づいて言う。


「ちょっと様子を見に来ただけだ。

 急ぎの調整は昨日大体片付いたからな。」

 俺が言うと、


「それなら、ちょっと訓練に付き合ってくれねえか。

 ガイン大将が見てくれれば、試合の回転数が倍にできるんだ。」

 要するに俺に試合の半分を見ろってことか。

 まあ、ロウガの訓練を押し付けちまったし、今日は時間もあるし手伝うか。


 こうして、俺はゼルが組んだカードの試合の半分を仕切ることになった。

 見ていると、ゼル隊のメンバーの戦闘センスは、以前に比べて格段に上がっているな。

 他の隊のメンバーも機会があったら見てみるか。

 俺は、試合毎の簡単な講評をしつつ、ゼルが組んだ組み合わせをこなしていく。


「次は、ちょっとバランスに自信がないがガイン大将頼むぜ。」

 ゼルが断りを入れる。

 聞くと、★4ヴァナルガンドのボルトに対して、★3キラーウルフのネロ、★2イーグルのエリー、そしてロウガだ。

 3対1ってわけか。進化が遅れているネロとエリーに格上との戦闘を経験させるわけだ。

 どうなるか分からないが、とりあえずやらせてみよう。


「試合の前にちょっと相談させてくれ。」

 ロウガが言うので、事前に強化技を使わないならということで俺は3匹に相談させた。


 そして、試合が始める。

 ネロとロウガが体格差をものともせず、ボルトに突っ込んでいく。

 エリーは近づかずにウィンドショット連打をするようだ。

 なるほど、小技を連打してボルトに技を使わせない作戦か。

 数の利点を有効利用したいい作戦だ。


 しかし、ボルトは体長はネロの1.5倍、ロウガの2倍以上でかい。

 最初にボルトの体当たりでネロが後ろに吹っ飛ぶ。

 その隙にボルトはロウガを仕留めるつもりのようだ。

 ボルトも賢くなったな。そう言う作戦も自分で考えるまでになったんだ。

 しかもでかいだけじゃなくて早い。

 ボルトは素早く前脚で薙ぎ払い、ロウガを吹っ飛ばそうとするが、ロウガは後ろに飛んでかわす。


 その間にネロが起き上がり、再びボルトに向かって突っ込んでいく。

 ボルトは今度はネロを仕留めようとネロにトリプルスラッシュをしかける。

 最初の爪2回はかわしたものの、ネロはボルトに噛みつかれてしまう。


「ストレングス」


 ロウガが強化技をネロに使う。ネロの大きさが2周り大きくなり、ボルトと大きさがほぼ変わらなくなった。

 ボルトはこのままネロを押し切るつもりだったようだが、強化の差でそれは難しくなった。

 エリーから絶え間なくウィンドショットで体力を削られている以上長期戦はできないし技も使えない。

 さあ、ボルト、どうする?


 ボルトはネロへの噛みつきをはずすと、エリーに向かって走る。1匹ずつ確実に仕留めるつもりか。確かにそれが妥当なところか。


「エリー、逃げろ。」


 ロウガが叫ぶと、エリーは空中に飛んで逃げる。

 その瞬間ボルトは自分もストレングスをかけようとしたが、ロウガのサンダーで妨害される。

 これは、ロウガ達の勝ちかと思った。


 しかし、ボルトは、この隙に自分に突っ込んできたネロに頭突きを喰らわす。

 ネロは再び吹っ飛ばされて今度は気絶してしまった。


 ボルトの執念だな。戦況が不利になっても諦めていない。

 今の頭突きの威力は相当だったようで、ボルトの頭から血が流れている。


「気絶したネロはリタイアな。」


 俺はそう言って一度試合を中断させると、ネロにリザレクションをかける。

 意識を戻しても、ネロはまだ朦朧としているようだ。


「それじゃあ、残りのメンバーで続けるぞ。」

 ネロが落ち着いた後、そう言って俺は勝負を続行させる。

 ネロがリタイアし、ボルト対ロウガ&エリーの構図になる。これで勝負はまた分からなくなった。


「エリー、地上に降りてウィンドショットだ。

 近づかれたらまた空に逃げろ。」

 ロウガが言う。

 ロウガは司令塔になることもできるんだな。隊長を任せられるかも知れない。


 ボルトがロウガに突っ込んでくるが、ロウガは横に飛んでかわす。

 ボルトはそのままエリーに攻撃に行こうとするが、エリーは空中に逃げる。


 次にボルトはサンダーを放つ。サンダーは一番早い技だから妨害されにくいからな。

 ロウガもサンダーを準備しようとしたが、先に準備を始めたボルトのサンダーに妨害される。

 ボルトはサンダーを続ける。次は同時に始めているから相打ちだ。

 ボルトは再度サンダーを続ける。

 素早いロウガでもサンダーはかわせないと判断したようだ。

 だが、3発ほど打ち合ったところでエリーのウィンドショットに妨害される。


 ボルトはサンダーを止めてエリーを空中に追い払う。

 その間にもロウガはサンダーを撃ち続けている。

 相当喰らっているはずだが、ボルトの体力は凄いな。

 しかし、そろそろ限界か。

 ボルトは再びロウガとサンダーの打ち合いを始めたが、ついに力尽きてしまった。


 俺は、全員をリザレクションで回復させる。


「ボルト、考えるようになったな。

 進化した時とは見違えて見えたぜ。」

 俺は最初に負けたボルトの講評から始める。


「俺、負けた。

 ゼル様の役に立てなかった。」

 おいっ、ボルトが予想以上に落ち込んでるぞ。

 ここはフォローしないといけないな。


「負けることだってあるさ。

 今回のは相手のロウガの判断が良かったからだ。

 ロウガ入れた3匹相手に諦めずに戦えただけでも立派だぜ。

 あの頭突きは良い判断だったな。

 ゼルにも言っておくぜ。

 ボルトがよく頑張っていたってな。」

 とりあえずこんなところでどうだ?


「俺、次は負けない。」

 よしっ、何とかなったか。

 あとはゼルに言ってフォローしておいてもらおう。


「ロウガは司令塔もできるんだな。

 驚いたぜ。

 途中予想外のボルトの粘りもあったが、今回はお前の作戦勝ちだ。」

 ロウガがまんざらでもない顔をしている。

 やはり、こいつは褒めるとやる気を出すタイプみたいだな。


「ネロは、格上相手でも怖気ずに攻撃に行けたのは偉いぞ。

 最後ボルトの粘りがすごかったが、懲りずにこれからもがんばれよ。

 エリーは、ロウガの作戦通りしっかりサポートできていたな。

 この調子で頑張れ。」

 残りの2匹についても話して俺は講評を終えた。


 この後も俺はゼル隊の訓練に付き合って1日を終える。

 途中結界の起動テストを行うから全員結界の範囲内に入るよう伝令が走っていたが、俺は管轄外だからな。


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