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熊王伝  作者: ウル
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第67話 すれ違い

 その日も、俺はウィル・ゼルとレオグラードの町の外で訓練をしていた。

 もちろんアレクセイ将軍の許可は取ってあるし、城壁の警備兵には俺達が何者か知らされており、俺達の訓練内容を全て見られている状況ではあるが、余り離れて敵に襲われてもいけないので、レオグラードの城壁から大して離れていない場所で訓練をしていた。


 ウィルとゼルは、ついに技でディスペルガードを習得することができた。 

 今はアンチディスペルガードの習得訓練をしている。

 場合によっては、遠くからケイシュールを狙撃することが可能になるし、★4であるウィルやゼルなら、ケイシュールはディスペルマジックと勘違いして無視してくれるかも知れないからだ。


 それと並行して、万が一ディスペルマジックがかけられて落下したときにも冷静に魔法でフライトをかけ直しができるよう慣れておく訓練もしている。

 ケイシュールと戦うときに、俺はこいつらを守ってやる事はできない。自分の身は自分で守ってもらえるようになって欲しいからだ。

 2匹とも真剣なので俺としても教え甲斐がある。


 そして、訓練の途中でドルカンコーチが俺達を呼びに来た。

 当初は★5カリストである俺やドルカンコーチがレオグラードの城壁を飛び越えていくことで騒ぎになった事もあるが、今では俺達の面も割れて、いつもの事かとレオグラードの衛兵達も見て貰えるようになった。要するに、顔パスと言う奴だ。

 どうやらクロガネ講師が作った盾で判別しているらしい。

 あまり慣れすぎると、盾も含めて扮装してきた敵がやってきた時に、チェックがざるにならないかが心配だが。


 それはともかく、ドルカンコーチの話ではウル様がレオグラードに到着したらしい。

 打ち合わせをしたいから俺に戻ってきて欲しいというのだ。

 俺達は全員飛行してレオグラードの町の中に戻る。

 俺達の安全と町の安全を確認してくれているレオグラードの衛兵達に感謝しないといけないな。


 戻ってくると、兄貴の横にウル様がいた。

 間違いない。姿も匂いも本物だ。


「ウル様、無事でよかったぜ。」

 俺はウル様に声をかける。


「迷惑をかけてすまなかったな。ようやく前線に戻れた。」

 ウル様が答える。


「アウルスさんにシャドウウォークをかけてもらって打ち合わせをするか。」

 兄貴が言う。

 確かに前回のような大事な話はシャドウウォークの中でしかできないよな。


 俺達はアウルスさんの所へ行って、シャドウウォークをかけてもらい、空中で密談をすることにした。

 中にいるのはウル様と兄貴・ドルカンコーチ・俺の4匹だけだ。

 アウルスさん達には、後で兄貴から話をすることになった。


「ノリクをピュートル公側に引き抜くって本気なのか?」

 最初に兄貴が口を開いた。

 聞いておきたい最重要事項だからな。


「そうだ。

 俺がピュートル公に説明する事になっている。」

 ウル様が答える。


「ウル様はノリクを助けたいと思ってるのか?」

 兄貴がさらに聞いて行く。

 兄貴が一番聞きたい事が多いだろうから、最初は黙って聞いておくか。


「そうだ。できる限り助けたい。」


「ノリクの所で大事にしてもらったからか?」

 ウル様は、ノリクの所で大事にされたからノリクを助けたがっているとケルティクに聞いた。当然兄貴はそのことを確認するつもりのようだ。


「それもあるな。

 あとは、側近の★5キリンのタンゴがやらかしたことで極悪人と思われているが、実際に会ってみて不器用で真面目な政治家だと分かったからだ。」

 悪者はタンゴと言う奴で、ノリクは悪くないとても言いたいのか?

 兄貴が聞かなかった所をあとで聞いてみるか。


「ウル様、本気みてえだな。

 これからどう動くつもりなんだ?」

 えっ、兄貴、それだけ?

 本当にノリクが悪くないのか確認をしないのかよ。


「ちょっと待ってくれ。先に、ノリクの悪事は全部★5キリンのタンゴがやったって所について聞かせてくれ。

 モンスターに首輪をつけるようにしたのはタンゴと言う奴なのか?」

 仕方ないので俺が聞いてみた。

 俺としては、ノリクの一番許せない悪事はモンスターに首輪をつける事にした政策だ。

 モンスターであるタンゴがそれを進めるとは考えにくい。


「そこか。

 そこは実質ノリク様だな。」

 ウル様、よくそんな事を他人事みたいに言えるな。

 俺は、エルモンドで戦った敵モンスターが首輪に殺された瞬間の事を思い出す。


「首輪をつけられたモンスターは使い捨ての道具にされたんだ。

 ウル様を攫った奴の仲間が連れていたモンスターは、支配している人間が逃げ出すと苦しみだして、俺は裏切ってない・助けてくれ、そう言いながら死んでいった。

 そんな事を平気でやるノリクを助けるって、ウル様は本気で言っているのか?」

 いくらウル様だからって、ノリクの悪事の肩を持つなら許さねえぜ。


「本気で言っている。」

 ウル様が答える。

 俺は一瞬ウル様をぶん殴ってやろうかと思ったが、さすがにまずいな。

 シャドウウォークの効果が切れてしまうし。

 俺はウル様を睨みつけるが、ウル様は、逆に冷静に俺の目を見てきた。

 操られているわけではない、信念を持った目。

 ウル様が正気で、そして、本気で言っていることは明らかだった。

 しかし、ここで引くわけにはいかねえ。


「ウル様は、ノリクの首輪の政策についてどう思っているんだ?」

 それなら、1つずつ確認していこう。

 ウル様の考えを。

 ノリクの政策についてどう考えているのか。


「間違った判断をしたと思っている。

 だから、俺から頼んで改善してもらった。」

 ウル様は答える。

 確か首輪の件を撤回する提案をしたのはウル様らしい。

 だけど、それは、ノリクが魔王を敵にしないためにした事だろ。

 実際にそれでノリクは命拾いをしている訳だし。


「あれは、魔王を敵に回さないためなんじゃねえのか?」

 俺はさらに突っ込んで聞く。


「それもあるだろうが、なくても方針転換はしてくれただろう。」

 ウル様が答える。

 なぜ、ウル様がここまで確信を持って言えるのかが俺には分からねえ。


「どうしてそんなことが分かるんだ?」

 俺は1つずつ突っ込んでいく。


「ずっと傍で過ごしてきたからな。

 人柄ぐらいは分かるさ。

 真面目に良かれと思ってやってきた過去の自分の行為とタンゴの悪事で自分がどう思われているかの自覚が足りない不器用な人物だ。」

 ウル様が言う。

 あれだけのことをやってきながら、ノリクは実は真面目で不器用な人物だった?

 ふざけるんじゃねえ。


「俺は納得できねえぜ。

 兄貴もドルカンコーチもこれだけの話で納得できるのかよ?」

 俺は納得できないので、兄貴とドルカンコーチにも意見を聞く。

 どう考えてもウル様の考えの方がおかしいと思うからだ。


「ウル様は、全て分かった上でこの結論を出したのだろうからな。

 止められねえぜ。

 俺様達と目的がぶつからないかどうか確認するぐらいだな。」

 兄貴が言う。

 兄貴は、なんでそこまで冷静でいられるんだ。


「わしとしては、向こうの都合でも良いから事情は聞きたい所じゃがな。」

 ドルカンコーチも冷静じゃねえか。

 俺はもっと言いたい事があったが、ここは先にウル様の事情を聴いてからにしようと思い、一旦黙った。


「それじゃあ、長くなるが首輪の政策に至るまでの話をするぜ。

 ハキルシア帝国の南の方は比較的豊かだが、帝都やパヴェル公などの北部の領地は貧しい。

 初代ハキルシア皇帝が南の貴族を征服して、南部貴族から税金を取り立て、貧しい北部貴族に一部を分配することでハキルシア帝国は成り立ってきた。

 レオグラードを中心とする南部貴族としては、何故自分達が北部貴族の面倒を見なくてはいけないんだという不満が多かった。

 それで、ハキルシア帝国ではピュートル公を代表とする南部貴族とパヴェル公を代表とする北部貴族が、何代にも渡って対立していたんだ。

 対立している中で、実際に反乱も起き、帝都への納税額が減り、皇帝から北部貴族への支援額も減っていった。


 そんな中、今はニコラ公が当主になっているワルシュア・ロマノフ家は領地周辺を開墾することで、少額とは言え、逆に帝都に納税できるようになった。

 北部の貴族達はワルシュア家の成功を見て、同じ事をしようとしたんだ。

 だけど、ワルシュア家の領地と違って、北部貴族の領地の周辺は森が深く、多くのモンスターが住んでいた。

 そんな土地を開墾するということは、当然そこに住んでいたモンスターとの戦いになるわけだ。

 北部貴族達は、そうやって森のモンスターとの戦いに明け暮れていた。

 そして、北部の小さな貴族にとってはモンスターと言うのはかなりの脅威だったんだ。

 過去の皇帝にも対策要望が上がっていたが、一時しのぎの対策しかされていない。

 そして、宰相になったノリク様は真面目にその問題を解決しようとした。

 帝都で賞金を懸けて対策を募集したんだ。


 そして、賞金目当てに自分の開発した首輪でモンスターを支配する方法を提案してくる奴がいた。

 ノリク様は、首輪の非道な効果に悩んだが、北部貴族達の要望に押されて最終的に首輪での支配を認めた。

 俺的には最後の一押しが被害を受ける立場のモンスターであるタンゴだったというのが気に入らないが、大勢に影響はない。」

 ウル様が、ノリク側の事情を話す。

 押したのは北部貴族の連中かもしれねえが、結局最後に決めたのはノリクじゃねえか。

 だが、意外なことも分かった。

 ウル様は、ノリクの側近の★5キリンのタンゴの事が大嫌いらしい。

 まるで、ノリクの悪事はタンゴのせいとばかりの言い草だからな。


「その話が本当なら、わし的には敵は北部貴族と言うことになるかのう。」

 ドルカンコーチが言う。

 それは分かる。

 俺も北部貴族の連中は許せねえ。


「だから、俺としてもピュートル公には絶対に勝ってもらわないといけない。」

 ウル様が答える。

 俺的には複雑だが、とりあえず、ウル様は俺達と敵対する事にはならないらしい。

 そうでなきゃ、オーウェル様もウル様をレオグラードに送ったりしないよな。

 パヴェル公を中心とする北部貴族の連中をぶっ潰すのは確定だな。


「ノリクの本拠は大陸の南側だよな。

 なんでノリクは北部貴族のパヴェル公の味方をしているんだ?」

 兄貴が聞く。

 確かにノリクの本拠のウォルタンは大陸の南側だ。

 ノリクが北部貴族の親玉とも言えるパヴェル公の味方をしている理由は謎だな。


「ノリク様は自分は南部貴族だけど、宰相というものは南部と北部のバランスを考えないといけないと真面目に考えていたんだ。不器用だからな。

 だから、北部貴族側の首輪の政策も決めた。

 だけど、それがピュートル公の怒りを買って、ピュートル公を完全に敵にしてしまった。

 さらに大陸の東側で俺達が連合国として独立して、ノリク様は周りが敵だらけになってしまった。

 それで、唯一関係がそこまで悪くないパヴェル公につくしかなかったんだ。」

 ウル様が答える。


「そりゃあ、ピュートル公を怒らせる方が悪いだろ。

 あんな政策をすりゃ、ピュートル公じゃなくても怒るぜ。」

 俺は言う。

 ウル様の話が本当だとしても、ノリクももっとましな事を考えろよ。

 これなら俺が宰相をした方がマシだぜ。


「それで、ウル様はピュートル公を説得するだけの自信はあるのか?」

 兄貴がウル様に聞く。

 確かノリクの引き抜き案は、ウル様がピュートル公の許可を取るとか言っていたな。


「俺的には五分五分かな。

 ピュートル公の寛容さ次第の所はあるな。

 パワー達はピュートル公に会っているのか?」

 ウル様が聞く。

 ピュートル公の人となりを知りたいということか。

 俺達も挨拶で二言三言しかか話してねえけどな。


「俺様とガイン、アウルスさんはピュートル公もいる会議の場に参加してるぜ。」

 兄貴が答える。


「ピュートル公はどんな人物なんだ?

 俺は、政策からしか人柄を知らないからな。」


「強い信念を持ってるぜ。

 自分の中で理想をしっかり持っているんだろうな。

 だから、攻撃先の町で自分の兵士が住民に暴行を働かないような政策をしている。

 あとは、部下との信頼関係ができているな。

 会議の場では部下に任せて最初の挨拶くらいしか喋らないが、それだけ部下を信頼しているという事だと思うぜ。

 それに、俺達モンスターも尊重して人間と対等に扱ってくれたぜ。」

 兄貴が言う。

 そうだよな。

 オーウェル様もそうだけど、ピュートル公は俺達モンスターの事も差別せずに扱ってくれるよな。


「パワー、ありがとな。助かるぜ。

 何とかピュートル公を説得してみようと思う。」

 ウル様が言う。

 やはり、ウル様の決意は固いみたいだ。

 今何を言っても無駄だな。

 なら、ノリクとタンゴが何をしたのかだけでも確認しておくか。


「俺としては納得はできないが、ノリクとタンゴがやった事については教えてくれ。」

 俺は聞く。


「タンゴがやったのは、五島諸島での限界突破種の誘拐、および虫の使用とオーウェルさんのお父さんの殺害だな。

 それと、ケルティクの元マスターであるイクシャール博士の殺害だ。

 あと、首輪をつけたモンスターをファーレンなどに派遣してるな。

 ノリク様がしたのは、モンスターの首輪の政策・貴族の領地の測量・あとは、海上でのオーウェルさんの襲撃か。

 最後のはタンゴを切ることができなかった後始末だが。」

 ウル様は答える。

 ファーレンのモンスターを派遣したのはタンゴと言う奴か。あの★5キュウビはとんでもない野郎だったからな。雌だけど。

 とは言え、これだけを聞いても分からねえな。


「やった事だけを聞いても判断がつかないな。

 ウル様がタンゴを許せないと判断した理由と、ノリクをやった事を踏まえても引き抜きたいと考えた理由が知りたい。」

 俺は自分の聞きたい事をはっきりさせた。


「そうだな。

 一番大きいのは、タンゴの仲間モンスターに対する考え方だ。

 ノリク様は北部貴族に対策を求められながらも首輪の政策を決めるまでにかなり悩んでいる。俺が逆の提案をするとすぐに採用してくれたくらいだ。それだけノリク様の心の中で重荷になっていたのだろう。

 逆に、タンゴは仲間であるモンスターを使い捨てる事を当然のように考えている。首輪で支配したモンスターを森を開拓しようとする北部貴族に提供して、死ぬまで元仲間であるモンスターと戦わせている。

 さらに、自分の配下に率いさせてファーレンに派遣し、全滅するまで戦わせるように指示までしている。

 俺もタンゴとはまともに話した事は1回しかないが、同族を仲間と思っていない。最初は、同族に足を引っ張られてそんな考えになったのかと好意的にも考えていたが、自分の目的を計画的に進めている所を見ると、元々同族であるモンスターを見下しているのだろう。」

 ウル様が言う。

 確かにタンゴって奴は禄でもない奴だな。人間の手下も平気で盾にしていたしな。

 今更とは言え、あそこで倒しておきたかったぜ。

 あの時はあの★5キリンがそこまでの大物だとは知らなかったからな。


「2つ目の理由というか、

 これは初めて言う話になるからここだけにしておいてほしいんだが、俺とタンゴは元々異界の人間でイクシャール博士からそれぞれ馬・狼の体に魂を呼び寄せられたんだ。俺の場合は、向こうで事故で死ぬ直前だったという事情もあるが。

 そして、ガイン達が撃退してくれた船型の新兵器は元の世界であったもの。タンゴはそれを作るだけの知識があったんだ。

 タンゴは、自分の地位を守るために、自分以外の異界の存在を全て抹殺したいと考えている。

 異界の魂を呼ぶ力のあるイクシャール博士も含めてな。

 だから、魔王の召喚をしようとしている疑いがあると言って捜査の許可を取ると、イクシャール博士を殺害し、抵抗が激しくて殺さざるを得なかったという嘘の報告をノリク様にした。

 俺を殺す気も満々だったらしい。ノリク様が俺を引き抜く気にならなければ、俺はタンゴに殺されていたな。

 タンゴは自分の目的のために、味方であり形式上は主君であるノリク様すら平気で騙してきた。」

 ウル様が続ける。

 ウル様は元々人間だったのか。タンゴって奴も。

 以前の俺なら、ウル様が人間だったからアドバイザーになれたのかと考えただろうが、実際エルモンドやレオグラードで会議して自分の意見が採用された経緯を考えると、実際に意見が参考になるからなのだろうと分かる。

 これは、俺の胸の中に入れておくべきだな。


「さらに、タンゴの配下の2人の密偵隊長。

 アサシは虫を使ってモンスターを操り使い捨てにするし、ダクロスは死者を操って冒涜するだけでなく、必要に応じて味方ですら平気で殺す。目的も自己中心的だし、手段も非道だ。

 ノリク様の場合、首輪の件にしても宰相として皇帝の代わりに必要なことをしようとしたのが理由だし、そのことで自分自身は何も得をしていない。寧ろ、自分は何も得をしない政策でピュートル公などを敵に回して損に回っている。

 オーウェルさんの襲撃も、タンゴが先代を殺したことで後に引けなくなってしまったからだ。

 捕らえたタロウさんや俺も大事に扱ってくれたし、エルシアによって話をしてきたが、無事に戻ってきたタロウさんもノリク様と戦いたいとは考えていなかった。」

 ウル様の話が終わる。

 ウル様はノリクも被害者だと言いたいんだろうが、そのせいで殺されたモンスター達の命は戻ってこないんだぜ。


「タンゴって奴が極悪人なのは分かったが、ノリクがタンゴを抑えられずに周りに被害をもたらした事実は変わらねえぞ。」

 俺はウル様に言う。


「そうだな。その通りだ。

 それでも俺はノリク様を助けたいと考えている。

 それじゃあいけないか?」

 ウル様が聞いてくる。

 ウル様がまだ洗脳されていてという事はなさそうだが、俺としては釈然としない。


「ウル様がそう決めたんなら止めはしねえぜ。

 手伝うつもりはねえけどよ。」

 兄貴が口を出す。

 そうだな。

 確かに手伝えと言われても手伝いたくはないな。


「自分でピュートル公の許可もとると言っているんじゃし、敵対してまで止めようとは思わんの。」

 ドルカンコーチも言う。

 確かに、ウル様がしようとしていることは俺達の目的の障害にはならないか。

 兄貴もドルカンコーチもそれが分かっているから傍観する事にしたんだ。

 俺も釈然とはしないが、じゃあどうするかと聞かれるとやはり傍観するという結論になるか。


「そうだな。

 俺も、ウル様が自分でやるっていうのなら、止めはしない。」

 俺も兄貴とドルカンコーチに同調した。


「まあそうだな。

 反対しなくて感謝するぜ。」

 ウル様が言う。

 俺達の反応は予想していたという事か。


 こうしてウル様との話が終わり、ウル様はケルティクに会いに行くというので、兄貴が案内して連れて行った。


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