表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
熊王伝  作者: ウル
63/81

第63話 ノリク新兵器迎撃戦「1」

 5日後の定例会議で、ついにウォルタンからノリクの新兵器が出発したとの報告が入る。

 そして、パヴェル・ノリク連合軍はケイシュール公と合流し、そのままレオグラードを目指すようだ。


 そして、こちらは敵の5隻の船に合わせて、5つの部隊を編成する。

 第1部隊の隊長はアウルスさん、兄貴が第2部隊、俺が第3部隊の隊長になった。

 人間の冒険者を率いて、敵の新兵器を撃破するのが役目だ。

 モンスターが人間を指揮することになっても、当たり前のように話が進んでいく。

 ピュートル公が皇帝になれば、連合国みたいにモンスターの住みやすい国ができるな。

 そのためにもノリクを倒さないとな。


 第4部隊の隊長はライン公。こないだまで敵だったし、ノリクの妻の従兄弟だと分かっているのに、ピュートル公は敢えて起用したようだ。

 ライン公とジークは制圧した町で略奪を行わないピュートル公の方針に共感して、アンデッド討伐にも協力を申し出たのだが、活躍が目覚ましいという事と、実際にピュートル公が自ら面談をして、信用できると判断したとの事。

 まあ、俺もライン公の事は信じているけど、完全に冒険者に転向しているな。


 第5部隊の隊長はレオグラードのエース冒険者のアレクシード。★5フェンリルのアルマを連れていて、アイスレクイエムで広範囲に攻撃できるらしい。俺が習得したフォッサマグナの冷気版の技だ。


 ドルカンコーチとダガンはアウルスさんの隊に入ったようだ。

 フォノアさんのパーティーもだ。

 第1部隊は敵の大型船を目標としているため人数が多い。

 一応、敵の船がばらばらにいる場合は、複数部隊で各個撃破する予定だが。


 ストライフさんのパーティーは補給兼連絡係として待機することになった。

 ウィルとゼル・ヤヨイ隊長はリザレクションの習得のために留守番だ。

 ケイシュール戦の時は連れて行ってやるからと言って宥めた。



 俺の率いる第3部隊は冒険者9名とモンスター4匹。

 実質2冒険者パーティーと仲間モンスターだ。

 1つ目のパーティーはリーダーの剣士ノーザさんを中心とする4人と2匹。

 2つ目のパーティーはリーダーの魔術師ウィンディさんを中心とする5人と2匹。


 まずは、全員が自己紹介をしてお互いを知る。

 パーティーがモンスターを連れているだけあって、当然のように全員がモンスターと会話可能だ。


 まずは、ノーザさんのパーティー。

 リーダーのノーザさんは、見た目は軽戦士だが持っている剣は大きな両手ソードだ。魔法も使えるようだが、仲間の方が得意なのであまり使わないらしい。基本ノーザさんが1人で敵に近接し残りの全員でノーザさんをサポートする戦法を取ることが多いようだ。

 2人目は野伏兼魔術師のミシェルさん。的確な状況判断力でノーザさんの背中を任されているようだ。味方の支援魔法が得意だという。

 3人目は弓使い兼魔術師のアストリッドさん。弓と攻撃魔法でノーザさんを横から狙う敵を次々と仕留めているようだ。

 4人目はモンスター使いのリュドラさん。俺が最初隊長だと言って挨拶したときに、モンスターが隊長なの?と言ってきた。すぐにノーザさんに引っ張られて何か言われた後は何も言って来なかったが。モンスターが指揮をするという事に慣れていないんだろうな。エルモンドが特殊なだけで、大抵の冒険者からすれば普通じゃないのだろうし。そう言うことにしておこう。

 連れているモンスターは★4スパルナのヴァルと★4ユニコーンのダル。リュドラさんの指示通りに動くだけであまり考えているようには見えない。


 続いて、ウィンディさんのパーティー。

 まずは、リーダーのウィンディさんは、アイスレクイエムという広範囲攻撃魔法が可能とのことだが、魔法での発動になるため回数に制限が出るだろう。

 2人目は、重戦士のサムさん。パーティーの盾役を担うことが多いらしい。

 3人目は、軽戦士兼魔術師のドュマさん。必要に応じて別方面の盾役、魔法でのサポートと臨機応変に対応できるそうだ。

 4人目は、野伏兼弓使い兼魔術師のクァスさん。ドュマさん以上に多芸でパーティーをサポートできるらしい。

 5人目が、モンスター使いのエタニアさん。連れているモンスターは★5ペガサスのマースと★4ゴールドドラゴンのヴィナ。槍を持ちマースに乗って敵と戦うらしい。

 マースはエタニアさんの意を汲んで臨機応変に動くし、ヴィナはエタニアさんをサポートできるように考えることが多いようで、2匹とも賢さを感じられた。


 この中で★5クラスの実力者は、剣士ノーザさん・魔術師ウィンディさん・モンスター使いエタニアさんと★5ペガサスのマースだ。

 残りのメンバーも★4クラスの実力者のようだ。



 俺は最初に隊の目的を話した後、ウォーターブリーズとフライトの習得状況を確認した。

 熟練冒険者だけあってほとんどの魔術師メンバーは習得できているようだが、ポケットの節約のためにできる限り技で使いたい。

 モンスターにも聞いてみると、フライトは全員覚えているがウォーターブリーズは誰も覚えていないようだ。

 俺は、今回の作戦が海上を進軍する船の襲撃である事、また、船を制圧するため連戦になるため、なるべく魔法のポケットを節約したい事を説明した。

 そのために、強化技はなるべくモンスターが技でかけるようにする旨指示を出した。


 他の隊も含めて出発は明日の朝だ。

 それまでに俺が教えるから、モンスター4匹にウォーターブリーズを習得するように、人間の魔術師には使用頻度の高い低レベル魔法を技として習得するように話す。

 これでポケットの節約になるからだ。

 ヴァルとダルは面倒くさそうという反応だったが、残りのメンバーは必要性を理解してくれたようで早速訓練に入る。


 俺も、技を教えるのには慣れてきたので、一晩掛からずに技を教えた。

 ヴァルとダルにも無理やりウォーターブリーズの技を叩き込んだ。

 意外にも一番熱心だったのはリュドラさん。最後まで訓練に残り、自分でウォーターブリーズの技を習得してしまった。その横で、ヴァルとダルは寝ていた。

 話してみると、最初俺に向けた視線は、仲間モンスターと言うのは人間が守らなければならない存在だと感じていたからのようだ。

 俺のように指揮できるくらいに賢いモンスターがいる事を知って驚いたという。

 エタニアさんと仲間モンスターとの関係を見て、ヴァルとダルにもっと自分でも判断させるようにした方がいいとアドバイスをしておいた。



 翌朝、襲撃5部隊と補給部隊が出発する。

 補給部隊は、毎日敵軍の予想位置に合わせて、近くの海岸に展開する。

 そして、襲撃部隊の必要物資を補給と治療、そして、レオグラードへの連絡調整役を担っている。

 もちろん補給部隊も全員フライトで移動可能である。



 今日は、明日の襲撃部隊の出発場所まで移動して海岸で野営の予定だ。

 現段階で敵はまだ行程の3割も進んでいないはずで、全員がフライトで飛んで明日の敵の予想移動位置近辺の海岸に移動するだけで夕方近くになってしまうからだ。

 予定通り、明日の出発場所まで辿り着いたので、今日は野営するだけだ。

 明日からは忙しくなるので、早めに休むように指示を出したが、日暮れまでノーザさんに俺の盾の訓練に付き合ってもらった。

 ノーザさんは武器が大きくて小回りが効かないとは言え、それを熟練度で補っており、俺も学ぶ所が色々あった。

 ケイシュールを相手するときは其の何倍も手強いのだろうが、俺は少しずつ武器を持つ人間の高レベル戦士との戦いに慣れてきた。


 夜中の夜番は補給部隊がしてくれるので、俺達は朝までぐっすり寝る。

 そして、次の日の朝俺達は敵の新兵器部隊の捜索に入る。


 まずは、各部隊の遠方の確認に秀でた鳥族メンバーを使って敵の部隊を探す。

 そして、鳥族メンバーとその護衛によるパーティーで組んで移動させる。

 第3部隊からは、★4スパルナのいるノーザさんのパーティーをそのまま出撃させた。


 3時間後、他の偵察部隊が戻ってきた。

 海上を進んでいる5隻の船を見つけたようだ。

 だが、敵の巡回モンスターに見つかり、撤退してきたという。

 これは敵側も襲撃に備えて準備しているだろうな。


 そして、見つからなくても正午には戻ってくるという指示の通り、昼になると他の部隊も戻ってきた。

 全部隊が揃ったところで、発見部隊に案内してもらって、襲撃部隊は出陣する。



 飛行して1時間余り、俺達は敵の新兵器部隊を発見する。

 俺には遠くの海の上を5隻の船が動いているくらいしか見えないけどな。


 アウルスさんが、敵の船についている筒の前に移動しないように改めて注意し、5隻全部がここにいるため、部隊ごとに担当を決めて襲撃に行くことになった。

 俺達第3部隊は大型船のすぐ後ろの船と決まった。

 それじゃあ、どうせ気付かれているだろうから行きますか。


 俺達は再度強化技をかけ直し、船に向かって飛んでいく。

 そして、目的の船の近くの海中に突っ込む。


 何故そんな事をしたかって?

 予め第3部隊の中でそのように打ち合わせをしていたからだ。

 又聞きとはいえ、襲撃全部隊ははウル様から聞いた銃器と言う新兵器についての情報を共有をしていた。

 大砲と呼ばれる筒のほかに、1人の人間が持てる銃器と言う兵器があるらしい。

 その銃器の筒から金属の弾がすごいスピードで出てきて、敵の体を貫くという。

 ミサイルガードでも防げるかどうか分からないと。

 無策で甲板に乗った日には、その銃器でどこから撃たれるか分かった物じゃない。

 だから、俺は隊のメンバーにそのことを説明して相談した結果、まずは銃器を持っているメンバーの位置を確認しつつ、全員で海に潜ることにした。

 敵も、俺達が甲板に乗ることを想定している筈だから、銃器を使う暇はないだろう。


 敵はしっかりと銃器を持って、甲板上に散開して展開していた。

 下手に甲板に乗ったら危なかったな。

 そして、全員無事に海中で合流する。

 船の底は金属でできているようだ。木の船の周りに鉄板を貼り付けているようだが。


「船が動く力が働いている場所は分かるか?

 あと、船の底で壊せそうなところはあるか?」

 俺が部隊のメンバーに聞くと、


「ここが怪しいんじゃないか?」

 ノーザさんが言う。

 船の後ろの方に何か金属の物体がくるくる回転しているところが2か所あった。


「ウィンディさん、このくるくる回っている金属を丸ごと凍らせることはできそうか?」

 俺は冷気魔法が得意なウインディさんに聞く。


「分からないけど、できるだけやってみるわ。」


 ウインディさんはダイヤモンドダストの魔法をくるくる回っている金属の場所にエネルギーを集中させて放つ。

 すると、回っている金属の周囲が一瞬で凍り付く。

 だが、ギギギギという音がして、氷は砕けてしまう。

 まだ一部凍ってはいるが、金属の回線を止めることはできなかった。

 だめか。

 他に壊せそうな所はなさそうだ。


 それじゃあ、人の少なそうなところから船上にあがるか、俺がそう思っていると、何者かが次々と海中に飛び込んできた。

 人間が20人程度でモンスターはいない。

 上手くいってなかったが、このままだと海中から船を破壊されると思ったらしい。

 勘違いしてくれたなら好都合だ。


「迎撃するぞ。可能な限り、海上に出るな。」

 俺はそう指示して戦闘に入る。

 予め聞いていた情報の通り、銃器は海中では使えないようだ。

 敵は誰も銃器を持っていない。


 俺はフィッシュムーブもかかっているので素早く近くにいた人間の所へ近づき、


「トリプルスラッシュ」

 早い中で威力の高い定番技を決める。

 ★5カリストまで進化した俺の攻撃技は敵兵を一撃で気絶させた。


 敵は数で攻めてきたが、部隊の平均レベルの差で次々と敵を葬っていく。

 半分以上が倒されると敵は海上へ撤退していった。

 できればまた、海中に来てくれるといいんだけどな。


「この船は結構でかいが、俺達で一斉に押して傾けることできないか?」

 俺はメンバーに聞く。


「やるだけやってみるか。」

 ノーザさんも同意してくれたので、俺達は全員で船の片側を押し上げてみた。

 多少は動くな。だけど、敵からすればちょっと揺れた程度か。

 これで、敵が慌てて海中にやって来てくれるといいのだが。


 しかし、しばらく待っても敵がやってくる気配はなかった。

 となると、やはり海上に出て戦うしかないか。

 いや、ちょっと待て。

 このくるくる回っている金属は下手に触ると怪我をしそうだが、タイムストップを使えば止まるよな。

 そんなに分厚くはないし、時間が止まれば、曲げることができるかも。


 よしやってみるか。

 ついでにエクステンドも使ってしまおう。

 2秒あればある程度曲げられるだろう。


「タイムストップ」+「エクステンド」


 俺は時を止め、その間にくるくる回っていた金属の板を折り曲げた。

 すると、曲げた金属は回ろうとするが、船は正しく移動できなくなったようで、スピードを落として、どんどんと左に曲がって進みだした。

 もうこの船はまっすぐに進むことはできないみたいだ。しかもスピードがかなり落ちている。

 これで他の船を引き離すことができるな。


 とりあえず、首だけ出して海上の様子を音で探ってもらうと、この船の敵兵は船を捨てて、本隊の船に移動したらしい。

 敵を集めちまったか。

 俺も水面から首を出すと、音で他の船では激しい戦闘が行われているのが分かった。

 しまったな。上手くいくか分からなかったから言わなかったけど、他の隊にも水中から攻める話をしておけばよかったか。


 俺は、部隊のメンバーに敵が増えた第1部隊を掩護するように指示すると、俺自身は大きな船の底に向かう。

 同じような金属のくるくるなら、何度もタイムストップをかけながら、少しずつでも曲げることができるはずだ。

 一番でかい船を、底から潰してやる。


 するとでかい船の下に1匹のモンスターが待ち受けていた。

 ★5リバイアサンだ。水中は向こうが専門だしな。

 これは一筋縄ではいかせてくれそうにもねえな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ