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熊王伝  作者: ウル
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第45話 行軍調整

 翌日の朝、俺とアウルスさんが館に呼ばれた。


 オーウェル様から昨日の会談の結果が聞かされ、ウラジオの準備は整いつつあるので、ドンロンからウラジオに向けて行軍を開始していいとのこと。

 また、ノリク討伐の軍をウラジオ近辺に集結させるよう、パール伯から連合国の全ての貴族に手配して貰うことになった。

 2か月半後に、ウラジオ近辺に連合軍が集結する予定のようだ。

 アレスの策でノリクが倒れているかもしれないが、保険として軍は進めておいた方がいいからな。


 ここで、俺はモンスター部隊だけを先行させる案についてオーウェル様に意見を求めることにした。


「ウラジオへの行軍について相談したいことがある。

 本当はパワー大将にも意見を聞いてからにしたかったのだが、明日にならないと着かないから、オーウェル様に先に相談したい。

 ウル様の救出と、アレスの行軍の援軍のためにモンスター部隊だけを先行してウラジオまで行軍させることはできないか。

 モンスターは走れば人間よりもかなり早く行軍できるから、全員にスピードをかければ10日ほどでウラジオまで到着できるはずだ。」


「支障がないか、エルモンドの部隊が到着後に全体で相談した方がいいとは思いますが、個人的にはやりたいですね。

 あと、私もモンスター部隊と一緒に先行して行軍したいです。

 早くウラジオに到着すれば、諜報部隊の調整とかを先んじてできますので。」

 オーウェル様は俺の案に前向きのようだ。

 いずれにしても、兄貴達が到着後に全体で相談することになった。



 兄貴達がドンロンに到着する明日の夕方まで、

 俺は、習得したスピードを前線部隊のメンバーに教えて回る。

 その間に、スレイルさんが、パウエル子爵とパール伯を警備してカージリアへ送ったようだ。

 そして、翌日の夕方近くになって、ドンロンに全軍が無事到着した。


 エルモンドモンスター部隊は、今日はドンロンのモンスター部隊と合流して過ごすことになった。

 どうせすぐにウラジオに向かって出発だけどな。

 兄貴に色々報告をしたいが、すぐに全体打ち合わせをするとのことで、俺も兄貴もスレイルさん達も館に呼ばれる。


 メンバーはほぼエルモンドで全体打ち合わせをしたメンバーだ。

 エルモンドで領主代理をしているドルク様はいないようだが。


「本日集まってもらったのは、パール伯とパウエル使者との会談の報告と、エルシアから得られた情報の報告、そして、それを踏まえたウラジオへの移動に関する体制を決めるためです。

 最初に私から報告します。

 まずは、パール伯・パウエル子爵との会談の結果について。

 ウラジオ側の受け入れ準備は整いつつあるとのことで、すぐにウラジオに向けて出発してもよいとのことです。

 また、2か月半後にウラジオに連合国の軍を集結させることになりました。パール伯から連合国内貴族に連絡してもらいます。


 次に、エルシアから得られた情報について。

 エルシア側は、行方不明になっていたタロウを捜索していたようです。

 調査の結果、ノリクはタロウを捕えて洗脳し、ウル殿を攫わせたと判明しました。

 それを知り、エルシア商人のブライアン・フィロソフィーは、反ノリク派の貴族と共同しての軍を上げるとのことです。

 ですが、我々連合国軍の到着を待つことなく、独自に動く模様です。

 また、ブライアン殿はエルシア全体として動くわけではなく、エルシアの中で独自に動くようです。」


 オーウェル様、アレスの件を一部略したな。まあ、敢えて言わない方がいいのだが。


「各個撃破されるような作戦でノリクに返り討ちに遭わないのか?」

 ジェラ隊長が言う。

 まあ、それだけ聞くとそう思うよな。


「ブライアン殿は、ノリクが偽の皇帝を擁して好き勝手したことを口実に、

 御三家全てを味方につけるので勝つ気でいるようです。

 また、今回の件とは別に御三家の筆頭ピュートル公とは連合国の独立を認めるよう交渉済みですので、ノリクが倒されたとしても連合国側には問題は起こりません。」

 オーウェル様が答える。


「そもそも、ノリクが偽皇帝を擁したというのは本当の話なのですか?」

 今度は、エイク隊長が聞く。


「エルシア側の主張ですので真相は分かりませんが、本物のイワン皇帝は幼くして病死し、ノリクは宮廷の者と結託して本物そっくりの偽物を擁して宰相として権力をふるったそうです。

 イワン皇帝はノリクに好き勝手させていた事からエルシア側の主張にも信憑性はありそうです。

 ブライアン殿はそれを公にすることで御三家を味方につけるようです。」


「どちらにせよ、ブライアンが独自にノリクに喧嘩を売るってことなんだよな。

 もしもの時のために、援軍は2ヵ月半かけてウラジオに向かわせるとして、ウル様の救出を急ぐ必要があるんじゃねえのか?」

 兄貴が言う。


「パワー殿、その通りです。

 このままではノリクが倒れたとしても、ウル殿が殺される可能性が高いです。

 ですので、至急救出部隊をエルシアに向かわせたいと考えています。

 この件についてご意見ありますか?」

 オーウェル様が聞く。

 俺に振ってきたのだろう。


「それについては、我々モンスター部隊を先行で派遣させてもらいたい。

 我々モンスターは走行すれば高速で行軍することができる。

 さらにモンスター部隊だけなら、頭数的に全員にスピードをかけることができるから、エルシアまで半月ほどで行けるはずだ。

 状況によっては、ブライアンの軍に協力することもできる。」

 俺が意見を言う。


「モンスター部隊だけでエルシアへ行って、ブライアンと交渉ができるのか?」

 ジェラ隊長が聞いてくる。


「確かに交渉のために数人の人間は連れていきたいな。」

 俺が言うと、


「それじゃあ、俺が行こうか。」

 グレアス隊長が言ってくるが、


「グレアス、お前はウラジオに進軍する軍の統率をするんじゃないのか?」

 当然のようにジェラ隊長から突っ込みが入る。


「指揮官だけが軍を離れるわけにはいかねえだろ。

 それに、グレアス隊長は交渉とかできるのか?」

 兄貴からも突っ込まれ、グレアス隊長は黙ってしまう。


「それでは、冒険者部隊から人選をすることでどうでしょうか。」

 エイク隊長が言う。


「私もメキロ家の外交官と内政官を連れていきたいのですが。」

 オーウェル様も言ってきた。


「そうだな。

 モンスター部隊の馬族の背中に乗せられる程度の人数で頼む。」

 俺は答える。


「ガイン、モンスター部隊全員が向かうと、本隊の索敵能力が落ちるんじゃねえのか?

 奇襲で本隊にフォッサマグナでもされたりしたら目も当てられねえぜ。」

 兄貴が今度は俺に突っ込んできた。


「確かに、一部隊は残した方がいいか。

 あとは、冒険者部隊と連携して奇襲を防ぐ体制を構築する必要はあるな。

 ただ、俺達はいなくても問題はないよな。」

 俺は答える。


「では、ドンロンのアルガ隊を本隊に同行させることでよいか?

 アルガ隊は空中移動ができる竜族の数が多めなので、索敵に向いている。

 それに、マスターであるアルシャン殿に調整してもらえれば、冒険者部隊との協力もしやすい。

 冒険者部隊と協力すれば、奇襲に対する警戒は十分に対応できるはずだ。」

 アウルスさんが聞いてくる。

 兄貴と俺そしてマスターのアルシャンさんがそれを了解して、アルガ隊が本体に同行することに決まった。

 結果的に、マスターのアルシャンさんも本隊に同行することになる。

 ドンロンの内政官がドンロンを離れて問題ないのかアルシャンさんに確認するが、ドンロンの内政官は再度別に人選するので大丈夫らしい。


「では、ウラジオ到着までの間モンスター部隊のアルガ隊は私が率いることでよろしいですか?」

 エイク隊長が聞いてくる。


「マスターのアルシャンさんと調整した上で、アルガ隊長を冒険者部隊の隊長と同格で扱ってほしい。」

 アウルスさんが念を押した。

 それをエイク隊長とアルシャンさんが了承してこの件は決まる。


「それでは、行軍方針の確認をしましょう。

 モンスター部隊のアルガ隊を除く全員と冒険者部隊の一部及び外交官・内政官は先行してウラジオを目指す。

 指揮は、アウルス殿・パワー殿・ガイン殿が執る。

 人間の衛兵部隊全員と冒険者部隊の大半及びモンスター部隊のうちアルガ隊は普通に行軍し、衛兵部隊はグレアス隊長が、冒険者部隊とモンスター部隊はエイク隊長が指揮を執る。

 こんな所ですね。」

 バルドゥル隊長がこれまでの話をまとめてくれた。


「ウラジオ側は行軍を始めて問題ないとの話だが、

 2か月半後なら準備できていると見込んでのOKと言うことはないのか?

 モンスター部隊が10日ほどで乗り込んで大丈夫なのか?」

 ジェラ隊長の突っ込みが入る。

 確かにそうだよな。


「確かに、そこは確認の必要があります。

 ですが、私もモンスター部隊と同行し、到着後ウラジオ側と交渉しようと思います。」

 オーウェル様が言う。


「上手くいかなかった場合はどうするのだ?」

 ジェラ隊長がさらに聞く。


「モンスター部隊にはウル殿救出のためそのままエルシアに向かってもらいます。

 私だけなら、ウラジオの館の中で静かに待とうと思いますが。

 あるいは、冒険者部隊の方と一緒に宿に泊まりながら待つこともできますし。」


「それは危険すぎる。

 ウラジオにノリクの手の者が潜んでいないとも限らぬ。」

 ジェラ隊長もここは譲れないだろうな。


「では、モンスター部隊の行軍は進めつつ、急いでカージリアにいるパウエル子爵に確認に行くというのはどうだ。

 使者だけであれば、フライトを使えばモンスター部隊よりもさらに高速で移動できる。

 パウエル子爵に確認後、先行するモンスター部隊に追いついてから結果を伝えればよい。

 最悪の場合はドンロンに撤退の可能性もあるわけだが。」

 アウルスさんが言う。


「事前確認して、オーウェル様のウラジオでの安全が確保できるのであれば構わない。」

 ジェラ隊長も押さえるべきところさえ押さえれば折れてくれた。


「内容が内容ですから、私が直接交渉した方がいいですね。

 私が明日にでもカージリアに向かいましょう。

 前回パール伯の護衛に当たった、スレイル殿をはじめとする高速移動可能なドンロンの残留部隊に護衛をお願いできませんか。」

 オーウェル様が言う。


「了解した。

 パール伯の送迎と同様の体制で警護しよう。」

 スレイルさんの了解で、オーウェル様がパウエル子爵に事前確認することになった。


「行軍準備はどうする?

 明日にも出発するのか?」

 グレアス隊長が聞いてくる。


「モンスター部隊は明日にも出発したいぜ。」

 兄貴が言う。

 兄貴も本隊の索敵問題さえ片付ければ、モンスター部隊の先行には前向きだったからな。


「モンスター部隊の荷物はどうしますか?」

 内政官のアルシャンさんが聞いてくる。


「数日分の食料と水を確保しておきたい。

 それ以外には、同行する冒険者部隊や外交官が必要とする物資だ。

 ただ、エルモンドでの掃討の時の荷物を考えると走行しての行軍なら5日分が限度だよな。

 兄貴とアウルスさんは追加はないか?」

 俺は兄貴とアウルスさんに確認を取る。

 特に2匹とも追加はなかったので、その方向で進める。


「10日の行軍予定で、5日分の食量しか持たないとなると、後半の工程に支障が出るな。」

 このあたりはジェラ隊長がしっかり突っ込んでくる。


「途中通過する町で購入調達はできないのか?」

 兄貴が言う。


「では、冒険者部隊と外交官・内政官の方に途中の町で調達してもらいましょう。

 その分の資金も併せて運搬することになりますが。」

 オーウェル様が言う。


「荷物は、モンスター部隊の皆さんの背中に括るように準備しますがよろしいですか?

 追加調達分は冒険者部隊の方に整理してもらってください。」

 アルシャンさんが確認してきた。


「それで構わない。

 ただし、オーウェル殿、冒険者部隊や外交官など人間を背中に乗せる馬族のメンバーの分は他の者に運んでもらいたい。」

 アウルスさんが言う。


「その前に、先行する人間のメンバーを決めた方がよさそうですね。

 先行するモンスター部隊の中で馬族の数は何頭ですか?」

 アルシャンさんが聞いてくる。


「エルモンド側の部隊は、12匹だ。

 いや、ダガンが乗るから、乗せられるのは11匹だ。」

 兄貴が答える。


「ドンロン側はアルガ隊を除くと私を入れて7匹だ。」

 アウルスさんが答える。


「となると、冒険者部隊は2チームくらいでしょうか。

 外交官と内政官の人数はどれくらいでしょうか?」

 エイク隊長がオーウェル様に聞く。


「外交官3名・内政官2名・諜報部隊の調整役1名に追いつき次第加わる私の計8名でお願いしたいのですが。」

 オーウェル様が言う。


「では、冒険者部隊は2チームですね。10名程度になります。

 明日の朝までに内部で調整し、チームの選定をしておきます。」

 エイク隊長が言って、行軍メンバーが決まった。


 その後、物資の準備の関係もあり、俺達先発隊は明日出発するが、本体の出発は明後日に決まり、会議は終わった。


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