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熊王伝  作者: ウル
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第43話 ノリク討伐作戦

 そろそろアルシャンさんに帰ってもらってもいいかな?

 俺がアウルスさんとそんな話をしていると、ドンロンのモンスター部隊のところに1人の人間がやってくる。


「私はフィロソフィー商会のリチャードです。

 エルモンドのモンスター部隊の副大将のガインさんですよね?

 ガインさんがドンロンのモンスター部隊のところにいると聞いてきました。

 店長のバートが是非ガインさんと話をしたいとのことです。」


「フィロソフィー商会って、ドンロンの3大商人だよな。

 俺に用事なのか?」

 何かの間違いじゃないかと思って俺は確認するが、


「店長はエルモンドのモンスター部隊の方に話があるということでエルモンドに向かうつもりだったようですが、ちょうどガインさんがドンロンに来ていると知って是非会いたいそうです。」

 リチャードさんが言う。

 エルモンドのモンスター部隊に話があるということなら、まあ分からないでもないが、一旦何の用事だ?

 ここで言えるような話なら、ここで聞かれるだろうしな。


「今一緒にいる通訳兼案内のアルシャンさんもついて行くが問題はないか?」

 俺は再度確認する。


「構いません。ガインさんの都合がよければ、すぐにでもご案内いたします。」

 そう言うので、俺はアウルスさんに出かける旨を伝えると、すぐにリチャードさんに案内してもらいフィロソフィー商会へと向かう。

 すると、部屋の中に1人の人間と★5ガルムが待っていた。



「ガイン殿ですね。

 私はドンロンのフィロソフィー商会のバート・フィロソフィーです。

 そして、こちらが★5ガルムのアレスです。」

 店長のバートが名乗り、一緒にいる★5ガルムを紹介してくれる。


 確か★5ガルムのアレスって帝都を荒らしまわってた奴だよな。

 それが、この町の3大商人と一緒とかどういう組み合わせなんだ。

 しかも、俺に話を聞きたいとか。訳が分かんねえぜ。


「エルモンドモンスター部隊のガインだ。

 俺に用事って一体何だ?」

 俺には話が読めないので単刀直入に聞いてみる。


「実は、エルシア商人のブライアン・フィロソフィーから私に依頼があり、我々は行方不明になったエルシアの使者の従者である★5フォルセティのタロウの行先を探していたのですが、行方不明になった後、エルモンドの町でタロウの目撃情報があったと密偵から報告があり、エルモンドにいたガイン殿がちょうどドンロンに来ていると聞き、話を聞けないかと思った次第です。」

 バートと名乗る商人は俺を見て名乗る。

 用件はエルシアの使者のタロウ関連か。


「ああ、エルモンドでタロウを見てるぜ。

 おかげで、こっちは、タロウにウル様を攫われてるんだ。」

 俺は答える。

 タロウにウル様を攫われているので、俺はちょっと横柄に答えてしまった。


「やはりそうか。事前情報からそんな気はしていたが。

 タロウは、エルモンドとの交渉から帰って来てから、エルモンドのモンスター部隊の状況に感銘したと言って、連合国との同盟に相当前向きで、エルシアの反対商人の説得もしようとしていたんだ。

 で、その結果ちょっと煙たがられてな。

 ピュートル公とディビアン公国への使者の任務を命じられて、実質エルシアの意志決定の場から締め出されたんだ。

 そして、タロウはその途中で行方不明になった。本人には色々思うところはあったのかも知れん。

 だが、タロウもいくら思い通りに事が運ばなかったとは言っても、エルモンドのアドバイザーのウル殿を攫うような事をする訳がない。だいたい、本人の主張というか目的にも反しているからな。

 ノリクに攫われた限界突破種同様、タロウは、途中でノリクに捕まって洗脳されて手先にされた可能性が高そうだな。」

 アレスが話してくる。

 どうやら話をしたかったのはバートさんではなく、アレスの方らしい。

 ここで、ウル様の拉致関連の情報が一気に聞くことができた。兄貴がいたら色々聞きたがっただろうな。

 俺が代わりにできる限り聞いておかないと。


「ノリクは、攫ったモンスターを洗脳して手先にすることができるのか?」

 俺はアレスに聞く。


「ああ、できるみたいだぜ。

 以前、俺が倒したノリクの手先の限界突破種がいたんだが、元々はそんな奴じゃなかったと言う情報を殺した後から知ったことがある。

 ノリクの手先の限界突破種は、そうやって洗脳された奴もいるのだろうな。」


「ウル様は、帝都のノリクの館にいるのが分かったんだが、既に洗脳されているみたいだ。

 洗脳を解くことはできないのか?」

 俺はアレスに聞く。


「殺さないように捕まえて、時間をかけて対処すれば何とかなるはずだ。

 ただし、首輪付きなら、予め外しておかないと捕まえた時点で首輪に殺されるだろうが。」

 結局は、先に首輪を外さないとだめってことか。


「あと、お前も限界突破種だよな。

 ノリクに捕まって攫われないよう気を付けたほうがいいぜ。

 タロウやウル殿の二の舞になるからな。」

 さらに、アレスが言ってくる。

 確かに俺まで捕まって敵に回っちゃ洒落にならねえな。首輪も付けられるだろうしな。


「ところで、あんた。

 帝都で騒ぎを起こしていたことはあるのか?」

 俺は兄貴が気にしていたことをアレスに聞いていく。一応同名の別狼という可能性もあるからな。


「そんなこともあったな。

 ノリクは俺の宿敵だからな。

 あの頃は、あの程度しか抵抗する手立てがなかったからな。」

 アレスが答える。


「やっぱりそうか。

 ウル様やパワーの兄貴があんたの黒幕が誰かを気にしていたからな。

 フィロソフィー商会のバート殿がそうなのか?」

 俺はアレスに聞く。

 その割には、アレスの方が主導で話をしているようだが。


「ちょっとここでは話しにくいな。

 ノリクの密偵がいなさそうな場所はないか?」

 アレスが聞いてくる。

 フィロソフィー商会の建物内でも安全じゃないんだ。

 まあ、ここは店員とかでも耳を澄ませば聞こえそうだしな。


「重要な話も出そうですし、もうすぐメキロ家当主オーウェルとパウエル子爵の会談も終わるでしょうから、当主の館へ案内しましょうか。」

 横で聞いていたアルシャンさんが言う。

 俺とアレスだけで話をしているし、バートさんはモンスターと会話できるみたいなので通訳の必要はなかったが。


 俺とアルシャンさんが確認のために一旦館に戻ると、オーウェル様とパウエル子爵との顔合わせは終了し、具体的な話は到着後にパール伯も交えて行うということで、今はちょうどオーウェル様に話をすることができるようだった。

 俺とアルシャンさんは、急いでアレス達を迎えに行き、オーウェル様の部屋に案内することになった。


「オーウェル様、お久しぶりです。

 フィロソフィー商会のバートです。

 こちらが、★5ガルムのアレスです。」


「アレスだ。」

 アレスも名乗る。


「バート殿、アレス殿、よく来てくださいました。

 アレス殿は帝都で活躍されてましたか?」

 オーウェル様が確認を取る。オーウェル様も知りたいことは同じだよな。


「まあな。

 で、多分そこの熊も知りたがっていた俺の黒幕がエルシア商人のブライアン・フィロソフィーだ。」

 アレスが答える。


「エルシアは中立を保つという話でしたので、アレス殿の黒幕がブライアン殿だとは思いませんでした。」

 オーウェル様が言う。


「エルシア商人にも温度差があるからな。

 大半はエルシアの安全第一の保守派さ。

 積極的にノリクと対決するつもりなのは、俺の黒幕のブライアンとベッカム商会のところのタロウくらいだろうからな。

 ハルメルン商会みたいにある程度は理解してくれる商人もいるけどな。」

 アレスが答える。


「タロウ殿は、ノリクに攫われて洗脳されたと聞きましたが。」

 オーウェル様は、予め俺がした報告を踏まえてアレスに確認をとる。


「多分間違いないと思っているぜ。

 タロウの奴、エルモンドから帰ってきてから完全にエルモンドに付く方向で保守派の商人を説得して回ってたからな。

 ウル殿を攫うという判断をするはずがない。

 それに、その後一度もエルシアに戻ってこない時点でタロウの身に何かがあったのは確実だ。

 ピュートル公の所へ向かう途中で、ノリクの手の者に攫われたと踏んでいる。」

 多分アレスの予想通りなんだろうな。

 そう言えば、まだ兄貴が聞きたがっていたことがあったな。ここで俺が代わりに聞いておくか。


「そうだ、あんた、アレン・リッチモンドの挙兵にも絡んでるのか?」

 俺はアレスに聞く。


「何故分かった?」

 アレスが驚いた顔で俺を見る。

 それを見て、オーウェル様も驚いている。

 これは兄貴の予想が、いきなりビンゴかよ。


「ウル様が、ノリクの策にしては穴だらけだと言っていたからな。

 結果的に上手くいきすぎているから、誰かの介入があったのは間違いないと睨んでいたぜ。

 怪しそうな奴に手当たり次第確認しようと思ったら、いきなりビンゴで驚いたが。」

 俺は言うが、全て兄貴の話の受け売りだ。これは全部兄貴の予想で、俺はそこまで思いつかなかった。


「ちょっと待ってください。

 アレン・リッチモンドのメキロ家討伐は、アレス殿が仕組んだものなのですか?

 メキロ家に潰されるようにわざと穴だらけにして。」

 オーウェル様が状況を整理しながらアレスに確認する。


「分かってしまった以上、隠す必要もないか。

 ガインだったな。

 確かに、あんたの予想通り、アレン・リッチモンドのメキロ家討伐は俺が仕組んだものだ。

 ノリクの偽の指令書をアレンに送って、アレンに挙兵させ、メキロ家に討ち取られる事を狙った。

 そしてアレン討伐後に、パール伯と共同で反ノリクの軍を上げてくれることを目論んだ。

 連合国として独立までしてくれたのは期待以上だったな。

 期待以上に動いてくれて、メキロ家には感謝している。

 一応、メキロ家がもたつくようなら手を貸せるよう準備もしておいたのだが、ほぼ必要がなかった。

 結局、ルフトーラの自爆からキリン達を守るくらいしか手をだしてねえぜ。

 これで、当初の目論見通り大陸の東側は反ノリクでほぼ固まったからな。」

 おいおい、こいつ、ノリク顔負けの策士なんじゃねえのか?

 アレスを連れてきたバートさんが完全に蚊帳の外だ。


「それで、これからどうするのですか?」

 オーウェル様が聞く。


「ある程度予想はしていたが、ドンロンまで確認に来てタロウを攫ったのがノリクだと確定した。

 ノリクがエルシアに完全に喧嘩を売ったのが分かったからな。

 俺も本気でノリクを潰しにかかるぜ。

 安心しな。

 これ以上メキロ家に迷惑はかけない。大陸の西側だけで勝負を決める。」

 アレスが言う。

 既に、アレスの頭の中ではメキロ家すら蚊帳の外のようだ。


「ハキルシア皇帝が偽物であることを公にし、

 御三家共同でノリク討伐の兵をあげるということですか?」

 オーウェル様が聞く。


「流石、メキロ家当主様。

 いい読みをしてるじゃないか。

 その通りだぜ。

 大陸の東側に独立されて、ノリクの求心力は急速に弱まっている。

 ここにきて、ノリクが皇帝の偽物を擁して好き勝手してきたことが公になり、御三家共同の討伐軍が編成されれば、ノリクは帝国の殆どの勢力から攻撃され木端微塵だな。」

 アレスが答える。


「ここまで言っておいて、蚊帳の外はねえだろ。

 俺達だって、戦えるんだぜ。」

 俺が言うが、


「いや、エルモンドは前線から遠すぎる。

 軍の主力が行軍するだけでエルシアまで3か月近くかかるだろ。

 そんなに待ってられねえ。

 まあ、見てな。

 ノリクに一息つく間も与えず叩き潰すぜ。

 そしたら、エルシアの保守派の連中も連合国と同盟を結ぶ気になるだろ。

 それに、ウル殿を救出するためできる限りの努力はするから安心してくれ。」

 アレスは答える。

 エルモンドは辺境だから遠いよな。エルシアの向こう側での戦争になると完全に蚊帳の外だ。


「エルモンドからだと、できることは限られますが、可能な限りの支援はしますので、必要なものがあれば何でも仰ってください。

 さしあたり、メキロ家アドバイザーのウルの救出メンバーだけは至急向かわせますので、ご協力をお願いします。」

 オーウェル様が言う。


「協力感謝する。

 当面必要なものは準備はできているので、今後必要なものがあれば支援をお願いしたい。

 ウル殿の救出の件については、ブライアンに話をしておくので調整してほしい。

 それでは、早速エルシアに戻って準備に入るので、これで失礼する。」

 アレスはそう言って会談を終えようとする。


「アレス殿、私はまだオーウェル様と物資の調達に関する話があるのですが。」

 会談中、殆ど蚊帳の外だった、バートさんが言う。


「そのあたりは任せる。」

 アレスはそう言うと、バートさんを置いて先に帰ってしまった。


「これは、エルシアまで何日か徹夜してでも飛ぶ気ですね。」

 バートさんが言う。

 これは俺達がいないところでノリクが潰されるパターンか。うまくいくといいのだが。

 それよりも急いでウル様を助ける準備をしないとまずいな。

 ノリクは潰されたが、ウル様は助からなかったという事態は絶対に避けたい。

 兄貴に相談したくても、ドンロンに着くのは明後日の夕方だしな。

 多人数の行軍は時間がかかるからな。


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