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熊王伝  作者: ウル
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第42話 ドンロンへの移動

 ついに俺達モンスター部隊がドンロンに向けて出発する日が来た。

 朝、兄貴と俺だけでオーウェル様の部屋に来るように言われたので、隊長達に準備をしておくように伝えて、オーウェル様の部屋へ向かう。


「パワー殿、ガイン殿、お待ちしておりました。

 ケルティクから報告がありましたよ。

 帝都のノリクの館の中にいるウル殿の姿を発見したそうです。」

 オーウェル様が教えてくれた。

 ウル様は契約の確認で生きているとは分かっていたが、無事でよかった。


「ウル様は、元気そうだったか?

 酷い目に遭わされていたりしてなかったか?」

 兄貴が聞く。ウル様の事を心配していたもんな。俺もだけど。


「幸い酷い目に遭わされた感じではなかったみたいですが、

 操られているみたいで、窓越しにケルティクのことを睨みつけてきたそうです。

 さらに言うとしっかり支配の首輪もつけていたみたいですね。

 当然量産型ではないでしょう。」

 酷い目に遭わされていなくて安心はしたが、首輪付きは厄介だな。


「量産型じゃない首輪の外し方は分かるのか?」

 俺が聞くと、


「同じものを手に入れて研究所で解析してもらわないと厳しいですね。」

 オーウェル様から厳しい返事が返ってきた。


「ウル様がしている首輪って当然特別製だよな。

 全く同じものが他にもあるのか?」

 俺が聞くと、


「帝都には首輪を作ってる職人がいるはずだよな?

 中には特注品を作ってる奴もいるだろ。

 そいつらから情報を手に入れられないか?」

 兄貴が言う。

 なるほど、そう言う手があるか。


「パワー殿、それはいい考えです。

 今度ケルティクから連絡が来たときに話をして調べてもらうように伝えておきますね。

 パワー殿の案で希望が見えてきましたよ。」

 オーウェル様が言う。


「まだ喜ぶのは早いぜ。

 首輪の解除が可能になったとして、ウル様の救出は可能なのか?

 敵の本拠だろ。

 それに操られているのなら、正気に戻す方法も調べる必要があるんじゃねえのか。」

 兄貴が言う。確かにその通りだ。


「パワー殿、まるでウル殿みたいなこと言うのですね。

 確かにそこは押さえておく必要がありますが。

 救出するときは、魔王に力を開放してもらうようお願いしていますので大丈夫だと思います。

 操られているのは、救出した後施設で調べてもらうしかないですね。

 ですので、首輪さえ何とかすれば救出は可能だと思いますよ。」

 オーウェル様が言う。

 魔王のとんでもパワーに頼りきりでいいのかとも思うが、ここは勝負所だよな。

 いずれにしても、首輪の外しかたが分からない限りは話が進まないのだが。


「いずれにしても諜報部隊の報告待ちだよな。

 俺様達はその間に前線に移動だな。」


「あと、お二方を呼んだのは1つお願いしたいことがありまして。

 パワー殿とガイン殿はモンスター部隊を半分ずつ率いているのですか?」

 オーウェル様が聞いてくる。


「いや、俺も兄貴も1匹で全部隊を率いることはできるが。」

 俺が答える。


「それはよかった。

 実は、今朝フライトを使ってドンロンの内政官のアルシャンが来たのです。

 パウエル子爵のドンロン到着は3日後と聞いていたのですが、予定が早くなり、今日にもドンロンに到着するそうです。

 さらに、パール伯も調整のためにドンロンにやってきます。

 そこで私は一足先にフライトでドンロンに向かいたいのですが、お二方のどちらかに護衛をお願いしたいのです。

 今まではウル殿にお願いしていたのですが。」

 オーウェル様が言う。俺達、余程信頼されているんだな。俺は誇らしくなった。


「それじゃあガイン、オーウェルさんの護衛でドンロンまで行ってくれるか?

 流石に行軍時に総大将不在と言うわけにはいかないだろうしな。

 ガインはドンロンの町は初めてだろうから、部隊が到着するまでに町の中を見ておくこともできるだろうし。」

 兄貴がそう言うので、俺がオーウェル様の護衛として一足先にドンロンの町に行くことになった。

 オーウェル様は万が一にも攻撃されないようにケルティクの首も持って移動するようだ。


 俺は、このままオーウェル様の部屋に残り、兄貴は部隊の行軍のために出ていった。

 しばらくして、ドンロンの内政官のアルシャンさんが紹介される。

 さらにオーウェル様の部屋にクロガネ講師がやってくる。

 ドンロンには俺とオーウェル様、クロガネ講師、アルシャンさんの4人で移動するようだ。

 この人数なら全員にフライトをかけることができるから半日で着くな。


 俺達は兄貴達の出発を見送った後、すぐにドンロンに向かって出発する。

 俺はエルモンドに来るときにドンロンに一度は寄っているはずだが、荷物の中にいたので詳しい位置まで把握できていない。

 そのため、3人の後ろをついて行く形で飛んでいく。

 午後のそれなりの時間にはドンロンの町に到着し、オーウェル様を無事館の中に案内した。


 既にパウエル子爵は到着しており、オーウェル様と会見するということで、俺はその間にアルシャンさんに案内してもらって町の中を見て回ることにした。クロガネ講師は臨時の工房へいくようだ。

 とりあえずは、ドンロンのモンスター部隊に挨拶をしに行くか。


 ドンロンのモンスター部隊の所へ行くと、★5ナイトメアのアウルスさんが部隊を率いて訓練をしていた。


「ガイン殿ではないか。ドンロンへの到着は明後日と聞いていたが・・・」

 部隊のところへ俺とアルシャンさんが来ると、アウルスさんが気付いて声をかけてきた。


「パウエル子爵と会談するオーウェル様をドンロンまで警護するために、一足先に来た。

 軍は予定通り明後日の到着だ。」

 俺が答える。


「そういうことか。

 兄のスレイルは、ドンロンに向かっているパール伯の警護に行っている。

 弟のローランは、残留部隊を率いてドンロン内部及び周辺の警備を行っている。

 ここに残っている部隊は前線移動組だけだ。」


「折角なので、前線移動組の隊長を紹介してくれないか。」

 俺が頼むと、アウルスさんが前線組の隊長を紹介してくれた。


 ★4カクリュウのアルガ隊長は、今案内してくれているアルシャンさんがマスターのようだ。元々はドンロンの訓練のコーチということだ。

 ★4ネメアーのレオン隊長もドンロンの訓練のコーチと言うことだ。マスターのリーナさんも冒険者部隊として前線に向かうそうだ。

 唯一★4ホウオウのヤヨイ隊長だけが、避難組らしい。

 エルモンドのホーク隊のように飛行専用部隊はないとのこと。


「こちらの★4アルカスのガイン殿は、エルモンドのモンスター部隊の副大将をしている。

 ドンロンの部隊で言うと、ローランのポジションになるな。」

 アウルスさんは、続いて俺を隊長達に紹介してくれた。


「★4モンスターが副大将をしているのですか?」

 ★4ホウオウのヤヨイ隊長が聞いてくる。


「そうだ。パワー大将も★4だしな。」

 俺が言うと、


「★4の実力でモンスター部隊の大将が務まるのですか?」

 さらに、ヤヨイ隊長が言ってくる。


「それで今までやってきてるからな。」

 俺は言うが、さらに噛み付いてきそうだな。


「大将を務めるなら、私たち隊長に勝る実力を示していただきたい。」

 ヤヨイ隊長が言ってくる。

 これは、引いてくれそうにないな。

 どうしたものかとアウルスさんの方を見ると、やれやれという顔をしている。


「ヤヨイ殿の性格を考えると予想しておくべきだった。

 ガイン殿、悪いが一度ヤヨイ殿と一騎打ちをして実力を示してやってくれないか。」

 アウルスさんにそう言われると、相手せざるを得ないな。

 初めて会った相手とは言え、昔の俺に似ているせいか、考えていることは大体分かる。

 従ってもらうには力を示すしかないみたいだ。


 ドンロンのモンスター部隊のメンバーに囲まれながら、俺とヤヨイ隊長は向かい合う。

 ヤヨイ隊長は自分の翼で空中に飛ぶと俺を見ながら器用にホバリングをした。

 そして、ホバリングをしながら技の精神集中を始める。

 隊長をやっているだけあって、高度なことするじゃないか。俺は走りながら技の精神集中をすることは、流石にできないぜ。


 だが、甘いな。


「サンダー」

 俺は、最も早い攻撃技でヤヨイ隊長の精神集中を妨害する。

 敵の技を最速の技で妨害するのは戦闘の基本だと兄貴から体で教えられたしな。


「流石に、それくらいはするわよね。

 それじゃあ、これはどうかしら。」

 そう言うと、ヤヨイ隊長は空中に高く飛び上がる。

 サンダーの射程外に出て精神集中を完成させてから攻撃に来るつもりだな。

 悪いがそんな時間は与えないぜ。


「フライト」

 俺は、魔法で準備しておいたフライトを使うと、空中からヤヨイ隊長を追いかける。

 技で準備していると時間がかかるが、今日はオーウェル様の護衛のためにフライトを魔法で準備しておいたからな。


 上空では、ヤヨイ隊長が技の精神集中を行っていた。

 遅いな。


「トリプルスラッシュ」

 俺は、上空で精神集中しているヤヨイ隊長に素早くトリプルスラッシュで翼を攻撃する。

 ヤヨイ隊長は左の翼を負傷すると飛行ができなくなり落下を始める。

 俺は、落下しかけたヤヨイ隊長をがしっと捕まえると、地上まで運んだ。


「私の負けみたいね。

 フライトを一瞬でかけたみたいだけど、どうやったの?」

 ヤヨイ隊長が聞いてくる。


「魔法のフライトを使った。魔法なら一瞬で発動できるからな。」

 俺が答える。


「モンスターが魔法を使うなんて聞いたことないわ。」


「人間の文字と言葉を覚えれば、モンスターだって魔法が使えるぜ。」


「モンスターが人間の言葉を覚えることができるの?」


「かなりの努力はいるけど可能だぜ。

 現に俺は人間の言葉を習得したからな。

 まあ、人間の言っている言葉を理解できるようになるだけで、人間の言葉を喋ることができるようにはならないけどな。

 それよりも、人間の書物を読んで色々な知識を得られるようになることの方が大きいぜ。」


「流石は大将をやっているだけあるわね。

 完敗だわ。」

 ヤヨイ隊長はそう言うと、自分にリジェネレーションをかける。


「ちょっと待っていろ。

 リザレクションを使えば一発だ。」

 俺はそう言うと、リザレクションの精神集中をしてヤヨイ隊長の傷を全快させる。


「★4なのに5レベル技が使えるの?」


「努力すれば自分の進化ランクよりも上のレベルの技も習得できるぞ。

 かなり苦労したけどな。」


 俺がそう言うと、戦闘前まで俺を値踏みするように見ていたヤヨイ隊長の目が、尊敬の眼差しに変わっていた。

 それだけでなく、部隊の他のモンスター達の目も変わった気がする。

 俺はウル様に憧れ、パワーの兄貴の背中を追いかけながらここまで来たわけだが、モンスター部隊の隊員達にはその俺すら遠くに見えているらしい。


「お前ら憧れているだけじゃなくて、自分で努力しなきゃだめだぜ。

 ノリクに負けたら俺達全員を首輪つけられて使い捨ての道具にされるからな。

 ちゃんと訓練するんだぞ。」

 折角なのでドンロンの部隊員に発破をかけてみたのだが、


「首輪とはどのようなものですか?」

 レオン隊長が聞いてきたので、俺は首輪をつけていた敵の部隊について話をしてやった。

 モンスターだけがドンロンやエルモンドに避難してきたのは、それを避けるためだということも。

 ノリクとの戦争に負けたら自分達がどうなるのかと言うことが、隊員達には実感できたようで静まり返ってしまった。


「ガイン殿、お疲れ。

 雰囲気が暗くなりすぎたようだ。今後の話をすることにしよう。」

 重すぎる雰囲気を変えようと、アウルスさんが話題を変える。


「まあ、そうだな。

 ただ、エルモンドの部隊との合流後の体制は俺の一存では決められないからな。

 体制については、パワー大将の到着後に相談させてくれ。」

 流石に俺が決めてしまうわけにはいかないので、ここは保留しておく。


「確かにそうだな。

 なら、部隊の到着までのガイン殿の予定はどうなっている?」

 アウルスさんは納得してくれて、俺の2日間の予定に話がいく。


「現状、特に任務は入っていない。

 ポケットを広げる訓練等をしておきたい。」

 俺が言うと、


「そうか。

 できれば、ガイン殿にも隊員への指導を手伝ってもらいたい。」

 アウルスさんには今までたくさん技を教えて貰ってきたので、今度は俺がアウルスさんの支援をすることになり、俺の2日の予定が決まった。


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