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熊王伝  作者: ウル
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第22話 フォルセティのタロウ

 モンスター部隊の訓練はそれなりに順調に進んでいた。

 隊長達が部隊を率いることに慣れてきたのだ。


 そんなある日、ウル様がタロウと言う名の★5フォルセティを連れて来た。

 話を聞くと、エルシアと言う帝国の交易都市の外交使者の従者をしているそうだ。


「私は、エルシアの使者の従者でタロウです。

 この度、個人的に興味があって、エルモンドのモンスターの暮らしを見せていただきに来ました。」

 タロウさんが聞いてくる。


「暮らしと言ってもな。

 俺様達、ノリクと戦うために昼間は訓練をしてるけどな。」

 兄貴が言う。


「パワー殿の上に指示をする人間はいないのですか?」

 タロウさんが聞いてくる。


「そりゃ、いずれ領主のオーウェルさんから任務は来るだろうけど、今は訓練だけだから、モンスターだけでやってるぜ。

 困ったことがあれば、ウル様が調整してくれるしな。」


「訓練や普段の暮らしに人間は関わってないのですか?」


「全員の食料の準備とかダルトンさんがしてくれるから、人間が全く関わってないわけじゃないぜ。

 あと、何か決めるときは俺様も相談に呼ばれることが多いから、その時は俺様も人間と色々話すな。」


「本当にモンスターだけで部隊ができているのですね。

 驚きました。

 部隊の皆さんは限界突破種なのですか?」

 タロウさんが驚いて聞いてくる。


「人間の話じゃ、限界突破種は多分、俺様とガインだけみたいだぜ。

 区別する方法は分かんねえけどな。」


「限界突破種でないモンスターがほとんどってことですよね。

 それで部隊が成り立つものなのでしょうか?」


「俺様は、どんなモンスターでも努力すれば賢くなれるんじゃねえかと思ってるぜ。

 エルモンドで訓練してるモンスターの中には、訓練することで色々考えることができるようになってきた奴がいるからな。

 そもそも、限界突破種って何なんだ?

 今まで色々努力して賢くなった普通のモンスターと違うのか?」

 兄貴が言う。

 最初は心配だったが、隊長達もある程度指揮ができるようになってきた。

 俺は兄貴の言う通りなのではないかと思った。


「パワー殿、ありがとうございます。

 私は、モンスターに無限の可能性を感じました。

 エルシアに帰ってから私も努力したいと思います。」

 タロウさんも兄貴の言葉に衝撃を受けたようだ。

 その後ウル様とタロウさんは秘密の話があると言って北の森に飛んで行った。

 こうして俺達とタロウさんの初めての会話が終わった。



 その後1カ月余り。

 モンスター部隊も大分動けるまでになって来た。


 その日、再びタロウさんが俺達の所にやって来た。

 なんでも、ウル様にまた秘密の話があると言う。

 タロウさんは今エルモンドにはいないことになっているから、あまり町中に長居はできない。

 ウル様に前回の打ち合わせ場所まで来て欲しいと伝えるよう言われた。

 でも、従者だけでエルモンドに来るのは珍しいな。

 その違和感をそのままにしておいたことを俺は後で後悔することになる。


 その後、ウル様がやって来た。

 ウル様はエルモンドにいる間は、1日1回は俺達モンスター部隊の様子を見に来るのだ。

 俺は、ウル様にタロウさんが待っていることを伝えた。

 それは、モンスター部隊にとって衝撃が走る前触れだった。



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