第19話 役割
エルモンドに来てからと言うもの、俺は正直言って荒れていた。
避難してきたモンスターはほぼ★3以下だった。
一応★4が1匹だけいたが、初日に俺が叩きのめしてやったらその後は俺に近づいてこなくなった。
気に入らないことがあると、俺は相手をぶん殴っていた。
いや、一番殴ったのは俺を止めようとしたウィルだったかもしれない。
そのせいかどうかは分からないが、ウィルはしばらくして★3グリズリーに進化していた。
エルモンドの人間も俺の事は完全に厄介者扱いだった。
ある日、俺のそんな生活に終わりが来る。
ゼルを威嚇している★4モンスターがいたのだ。
新たに避難してきたモンスターか?
なら、立場というものを教えてやらねえとな。
だが、近くに行くと★4モサは俺よりもでかかった。
「俺の手下に因縁つけるとはいい度胸じゃねえか。
ん?
結構でかいな。
俺が怖くてストレングスをかけてやってきたのか?」
俺は、相手がストレングスをかけていると思ったので、そう言った。
「そんなに言うなら、お前の言う通りストレングスをかけてやるぜ。」
相手の★4モサはこれからストレングスをかけるらしい。
ストレングスをかけた★4モサは体長6メートルを超えた。
マジか。
だが、俺も負けるつもりはない。
俺もストレングスをかける。
同じくらいの比率で大きくはなったが、元の体格差は縮まらない。
「これが俺様の本気だぜ。
これ以上乱暴を働くなら容赦しないぜ。」
★4モサが言ってきた。
「戦いは、でかけりゃいいってもんじゃねえぜ。
勝負だ。」
俺は、ガードブレイクの精神集中を始める。
「インパルス」
★4モサは衝撃波を放ってきた。
俺の精神集中が途切れてしまう。
「やるじゃねえか。
だが、遅いな。これならどうだ。」
流石に大技は無理か。
俺は今度は2レベル技のシャープの精神集中を始めた。
「サンダー」
★4モサはさらに早い技で俺の精神集中を妨害した。
「お前に技を使う暇なんて与えねえぜ。
痛い目を見る前に降参したらどうだ?」
★4モサが挑発してくる。
「貴様、俺を怒らせたな。いくぜ。
ジャンピングクロススラッシュ」
俺は★4モサに必殺技を使った。
今度は肉体技だ。ダメージで妨害はされない。
だが、技は決まらなかった。
俺は腹に強烈な一撃を喰らった。
俺は地面に倒れて、腹を押さえる。
だめだ。
勝てねえ。
こんな強い奴がいるとは。
「まだ、懲りねえか?」
★4モサが言ってくる。
「俺の負けだ。好きにしろよ。
だが、お前がどんなに強くたって、所詮俺達モンスターは人間の都合のいい道具に過ぎないんだぜ。」
俺は精一杯強がってみた。
「ふん。死んだ目をしやがって。
そんな事はやってみなくちゃ分からねえだろ。」
★4モサは言ってくる。
「お前は、何も知らねえから言えるんだ。」
俺が言い返すと、
「一度は何かをしようとしたってことか。
何があった?」
★4モサは俺に聞いてきた。
「俺はな、これでもハイネの町では用心棒としてやっていたんだぜ。
だが、人間にとって用済みになったら簡単に捨てられた。」
俺が自分の事情を言うと、
「なあ、お前のその力、エルモンドで生かしてみないか。
俺様はな、エルモンドにモンスターだけの部隊を作ろうとしてるんだ。
エルモンドで実績を出して、お前を捨てたという奴を見返してやろうとは思わねえか。」
★4モサは言ってくる。
だが、モンスターは結局用済みになれば捨てられるだけ。
「用済みになったら人間に捨てられるだけだぜ。」
俺はそう言うと、
「なあ、オーウェルさんはノリクに対抗するために、モンスターの部隊を作るって話だったよな。」
★4モサが人間に振る。
「その通りですよ。」
振られた人間が答えた。
「その人間は?」
俺が聞くと、
「この町の領主をしているオーウェル・メキロと申します。」
メキロと言うのはここの伯爵の苗字。
こいつは領主本人なのか?
だが、周りの反応を見る限り、誰もが本物として見ていた。
「これから俺様達はオーウェルさんの護衛としてドンロンの町に行かないといけねえから、
モンスター部隊を作る具体的な話はドンロンから戻ってからだな。」
俺が領主が本物かと考えていると、★4モサが言う。
「領主の護衛もモンスターがするのか?」
俺は聞いてみた。
「ええ、ウル殿とパワー殿を信頼していますので。」
領主の答えに、俺は何故か胸が熱くなってきた。
ここでは、モンスターでも信頼されているのだと。
「エルモンドじゃ、モンスターが領主の護衛も任されているんだな。
分かった。
俺も協力するぜ。」
気づいたら、俺はこう答えていた。




