第18話 中央の政策
俺達がハイネに戻った後、その後の結果について聞かされた。
捕らえられた人間は危険な儀式を行った反逆罪で処刑されたらしい。
儀式が中断されたことで動物やモンスターも少しずつ戻ってきているそうだ。
今回の影響が少しずつでも戻るのなら、良かった。
俺は、その後はハイネの町で以前のような日常を過ごしていた。
そして、今後も同じような日常が続くものだと思っていた。
だが、俺のそんな予想は悪い方に裏切られる。
その日、俺はブランタンに呼ばれた。
俺は、また何か事件が起こったのかくらいに思っていた。
部屋に入ると衛兵隊長のロウエンも直属の部下を連れて待っていた。
「ガイン、今日は悪い知らせだ。」
ブランタンが言う。
「事件ならいつもの事だろ。」
俺は答えるが、
「帝都ルーベンブルグでメキロ伯爵が殺された。」
「伯爵殺害が何か関係するのか?」
「結果、歯止めがなくなったのだろう。
宰相のノリクがハキルシア帝国中にモンスター管理法の実施を決定した。」
ブランタンは続ける。
「何なんだ、それは。」
「要は、モンスターは危険な存在だから、国中で支配の首輪で管理することを義務付けるという事だ。」
「そんなに問題がある事なのか?」
「あるとも。
その首輪と言うのが非人道的な物でな、必ずモンスターには主人が必要になる。
それだけでなく、モンスターが逃げたり主人に逆らったりすると強制的に殺す代物だそうだ。」
なんだそれ。
無茶苦茶じゃねえか。
「そんな法律に従う必要なんてねえだろ。」
俺は言うが、
「そう言う訳にはいかない。
中央から正式に発令された以上、守らなければ中央から討伐隊が派遣される。」
「討伐隊だって、そんなの俺が退治してやるぜ。」
「無理だ。
ハイネは小規模の貴族に過ぎない。
とても中央に逆らう事はできない。」
「それじゃあ、どうするって言うんだ?」
俺が聞くと、
「メキロ伯爵の子息がノリクに対抗すると言う。
ガイン、君には手下と一緒にエルモンドに避難して貰う。」
「ちょっと待て、俺はそんなところに行かねえぞ。」
俺はそういうが、
「そう言うと思ったよ。
ロウエン、ガインを連れて行ってやってくれ。」
ブランタンがそう言うと、俺に魔法がかけられた。
体が重い。
動けねえ。
「やめろ。
誰が、行くと言った。」
だが、体に力が入らない。
俺は縛り上げられ、無理矢理荷物の中に詰め込まれた。
俺は、今までハイネを守るために精一杯やって来たって言うのに、ブランタンの野郎、邪魔になったら用済みか。
このままじゃすませねえ。
だが、縛られた俺にできる事は何もなく、俺は荷物の中で動けないまま、遠くに運ばれていった。
俺は縛られたまま餌だけを与えられる状態のまま、10日ほど経っただろうか。
俺の入れられた荷物が開けられた。
久々の光だ。
「ガイン様、大丈夫ですか?」
俺に声をかけてきたのはウィルだった。
「大将、無事でよかったっす。」
ゼルも心配してくれていた。
何も言わないがアリサも側で心配そうに俺を見ていた。
「ここはメキロ伯爵の本拠のエルモンドだそうです。」
ウィルが言う。
俺は、結局何もできないまま、エルモンドに追放されたらしい。
他にも避難してきたモンスター達がいるから仲良くやってくれと言われた。
俺はそいつをぶん殴ろうかと思ったが、エルモンドの人間に罪はないと思い、何とか思いとどまった。
俺は、何のために今までハイネを必死に守って来たんだろうな。
俺にはその答えが見つかりそうになかった。




