第17話 「欲望が集う洞窟」
全ての派遣隊が揃い、俺達は万全の体制で北西に向かった。
責任者としてはコインブラの衛兵隊長のロベールさん、リズボーンの派遣代表のゾマさん、なぜかハイネの代表になったトムソンの3人が相談しながら進むことになった。
人間の足なので前回進んだあたりまで4日ほどかかった。
だが、モンスターはもちろん、多くの人間が不快感を感じるようになっていた。
さらに2日ほど先に進む。
派遣隊の中には明確に不調をきたすものが出始めた。
このままでは、事件解決どころではない。こちらの戦力が着実に落ちていく。
少しでも手掛かりがあればという事で鳥族のモンスターに見て貰うと、近くに大規模な洞窟の入口が見えると言う。
ある程度近づいたが、入り口には誰もいないようだ。
「誰もいないのであれば、俺が調べてこようか。」
俺はトムソンに言う。
トムソンは、ロベールさんとゾマさんに相談し、何かがいたらすぐ戻る条件で俺の先行が認められた。
俺は、洞窟があったという方角へ走る。
聞いた話であれば1時間も走ればたどり着く距離だ。
だが、嫌な気配はさらに強くなっていく。
誰とも会うことなく、俺は洞窟の入口が見えるところまで来た。
入口には誰もいない。
ならば、もう少し近づいてみるか。
俺が洞窟の入口に近づくと、気配の強さに驚く。
今までとは桁違いの強い気配だ。
間違いない。
嫌な気配はあの洞窟の中から出てきている。
だが、こんな中に長時間いたら俺も危ないと感じ、俺は一旦報告に戻った。
「ガイン、無事でしたか。」
俺が戻ると、トムソンが心配そうに聞いてきた。
「例の洞窟から、桁違いの強い気配を感じた。
原因は洞窟の中で間違いない。
だが、気配が強すぎる。
長時間耐えられるかは分からない。」
俺は、偵察した状況を報告した。
俺の報告を聞いて、ロベールさん達が相談をはじめた。
だが、体調を崩すほどの気配があるにせよ、このまま放ってはおけないこと、敵らしき存在がないことから、
全員の体調を確認し、行けるものだけで先に進むことになった。
だが、今から進んでも洞窟に着くころには夜になる。
洞窟の近くはここよりも遥かに気配が強い。
そのため、今日はここで野営し、翌日の朝出発することになった。
翌日、体調を崩したものをこの場に残し、洞窟に向かって出発する。
昼頃には洞窟につくが、誰もが気配の強さに冷や汗をかいていた。
無理していた者達は、ついに耐えられなくなって体調を崩してしまった。
そして、ついにウィルも体調を崩したので、洞窟の外の少し離れたところで待機してもらう事にした。
それでも、行けるものだけで洞窟の中に進むしかない。
俺は音や匂いである程度分かるということで、先頭で洞窟の中を進んだ。
奥から何か声が聞こえてくる。
人間の声だ。
「奥から人間の声がする。
1人だけのようだ。」
俺はトムソンに報告する。
「1人だけなら、この数で攻めれば勝てるでしょう。
ここまでの事件を起こした以上、最悪殺すことになっても構いませんか。」
トムソンが聞く。
影響の大きさを考え、ロベールさんもゾマさんも同意した。
そして、俺達は洞窟の先に進む。
洞窟の奥の広い部屋には、大掛かりな魔法陣が書かれており、その中央で人間が何かを口走っていた。
だが、意思疎通魔法を使っていないようで俺には何を言っているのか分からなかった。
「何か儀式をしているようだ。
戦闘準備をして突撃するぞ。」
ロベールさんの指示で、俺はついてきているモンスターのメンバーにストレングスをかけた上で、人間のいる部屋に飛び込む。
「そこまでだ。」
ゾマさんが言う。
人間は俺達が入ってくるのは想定外と言う顔をしていた。
俺は人間に飛びかかりたかったが、地面に書かれて淡く光っている魔法陣が危険なものかもしれないので、いつでも飛びかかれる準備をするだけにしておいた。
「これで終わりよ。」
冒険者の1人が魔法陣に水をかける。
すると、魔法陣がくずれ、淡い光が消えていく。
それと同時にこれまで重くのしかかっていた嫌な気配が少しずつ弱くなっていくのを感じた。
こうなると多勢に無勢。
儀式を行っていた人間は有無を言わさず捕らえられた。
トムソン達が尋問すると、人間は世界中の欲望のエネルギーを集めて力を得るつもりだったらしい。
嫌な思い気配は、欲望のエネルギーが集めっていたためだったようだ。
魔法陣を破壊したことで、集めていた欲望のエネルギーが拡散されてだんだん楽になったようだ。
俺達は、無事事件を解決し、首謀者の人間を捕らえて無事コインブラに戻った。
正直、あの気配の中で長時間過ごすのは辛かったが、捕らえられたあの人間が最も気配の強い場所で無事なのは不思議だった。




