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熊王伝  作者: ウル
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第13話 信じるという判断

 次の日の朝、昨日と同じように俺は自分にスタミナをかけて街道を走る。

 そして、正午前にはリズボーンの町が見えてきた。中途半端な時間だ。


「ご主人、リズボーンの町が見えてきたがどうする?」

 俺はトムソンに振った。

 まずは、指示をする癖をつけて貰うところから始めないと。


「そうですね。

 ざっと情報を聞いて、減った分の食料を調達したら先に進みましょうか。」

 トムソンが答える。

 もう少し自信を持って言って欲しいが、トムソンなら上出来か。


「了解した。

 では、指示通りリズボーンの町に入る。

 門での話は任せたぞ。」

 俺はそう言って、リズボーンの門の前に来る。


「コインブラからの支援要請を受けてハイネから派遣されたトムソンです。

 現在分かっている状況を教えてください。」

 トムソンが説明する。

 一応ハイネの門番隊長をやっているだけあって、しっかり話せているようで安心した。


「モンスター使いですか。

 ハイネからの派遣はあなただけですか?」

 おそらくここの門番長と思われる人間が聞いてくる。


「いえ、協力してくれる冒険者もこちらへ向かっていますが、僕はモンスターに乗って走れば早く行けるので、先行して来ました。」


「そうですか。

 それは助かります。

 まず現在の状況ですが、コインブラ周辺で大量にモンスターが発生しています。

 コインブラでは安全のため近隣の農家に町の中に避難して貰っている状況だそうです。

 それだけでなく、隣町であるここリズボーン近郊でもはぐれモンスターの数が増えています。」

 お互い門番長だからか問題なく話が進んでいるようだ。


「分かりました。

 僕は食料とか補給してこのままコインブラへ向かいます。」

 トムソンは答えるが、


「お一人でコインブラに向かうのは危険ですよ。

 後続の方を待った方が」

 向こうの門番長が言う。


「しかし、応援は早い方が」

 トムソンが言いかけるが、


「ご主人、リズボーンからの派遣はいつ出発したか確認。」

 俺が後ろから小声で話す。


「連れている★3グリズリーは賢いですね。

 リズボーンからの派遣は既に昨日出発しています。」

 門番長が答えてくれた。

 俺が向こうの話が分かるのだから意思疎通魔法は使っているよな。

 まずかったか。


「昨日出発したリズボーンからの派遣は、人間は徒歩ですか。」

 トムソンが聞く。

 上手く話をかわした。トムソンやるじゃねえか。


「そうですね。

 なるほど。

 確かに熊に乗って高速で走るなら追い付けると思います。」

 向こうの門番長は勝手に納得してくれた。

 もちろんそうするつもりだが。


 無事門を抜け、必要な補給を済ませた後、俺達はリズボーンの町を抜けさらに北を目指す。

 そして、昨日と同じように野営をする。


 そして、寝て間もない頃、何かが近づいてくる音で俺は目が覚めた。

 俺達熊族モンスターは寝ていてもある程度大きな音がすれば目を覚ます。

 ゼル、ウィル、アリサも起きたようだ。

 俺はウィルにトムソンを起こさせ、その間に耳を澄ませた。


 数は20匹くらいか。多いな。群れで動いている。

 しかもこちらに近づいてきている。


「ガイン、何が近づいてきているんだい?」

 トムソンが聞いてくる。

 昨日散々練習したからか口調はもう大丈夫になってきた。


「狼の可能性が高い。群れで動いているようで数が多い。20匹ほどいるな。

 こちらに向かってきている。」

 俺は答える。


「狼じゃ逃げるのは難しいね。

 それじゃあみんな、支援技で強化して迎え撃とう。」

 トムソンが指示を出す。

 悪くはない。

 だが、全部★2だとしても20匹もいたらゼル達は厳しい。


「ご主人、ストレングスは俺が全部かける。

 俺がかけた方が効果が遥かに大きいからな。」

 俺がかければゼル達は★3よりちょっと弱い位には強化されるはず。


「分かった。そうしてくれ。」

 トムソンが言う。

 口出ししすぎただろうか。


 そんな事言っているわけにもいかないので、俺は手下に1匹ずつストレングスをかけていく。

 これで手下達は★3弱、俺は★4弱の強さになった筈だ。

 そんなことをしているうちに狼の群れが俺達を取り囲んだ。

 ★3が1匹、残りは全部★2のようだ。

 だが、こちらは実質★4が1匹、★3が3匹くらいの強さにはなった。

 敵の狼も俺達の大きさを見て驚いているのか攻撃を躊躇している。


「ブレス」

「モラル」

 トムソンが魔法をかける。

 どうやら俺達を強化する魔法のようだ。

 全体強化かよ。

 トムソンやるじゃねえか。


「みんな、僕は自分の身くらいは守れるから追い払って。」

 トムソンの指示が飛ぶ。


 するとゼルが突っ込んで行って★2ウルフたちを蹴散らしに入る。


「行くぞ。」

 俺は唯一の★3狼に向かって突撃する。

 狼は手下の★2狼に横から攻撃をさせることで俺の勢いを止めに来る。

 だが、★2程度の力では★4弱の強さになった俺を完全に止める事はできない。


「ライトニング」

 その時、敵の★3狼が技を放ってきた。

 結構痛いじゃねえか。


 それだけじゃない、俺を止めようとしていたウルフ達が、今度は俺に電撃をぶつけてくる。

 まだ耐えられるとは言え不味いな。

 俺はまずは自分の近くの★2ウルフたちを蹴散らした。

 その隙に周りを見渡すと、ゼルとアリサも必死に★2ウルフを追い払いまくっている。2匹とも多くの敵相手に優位に戦っているようだ。

 ウィルはトムソンの護衛に入っていた。

 確かにトムソンを守る奴も必要だな。


「ガイン、早くボスを潰して。」

 トムソンが言う。

 そうだ。

 まだボスらしき★3狼が残っていた。

 技の精神集中をしている。

 さっきの電撃技か。

 させるかよ。

 俺は★3狼に突っ込んだ。さっき吹っ飛ばしたから、今度は邪魔する★2ウルフもいない。


「ジャンプアタック」

 俺は★3狼に突っ込んで吹き飛ばす。


 すると、

「撤退だ。」

 ★3狼がそう言うと、狼達は逃げていった。

 これで終わったな。


 落ち着いた後、俺は回復技で全員の傷を癒す。

 即効性はないが持続的に体力を回復させることができる。


「ガイン、敵のボスが精神集中してるの気づいてなかったの?」

 落ち着いた後、トムソンが聞いてくる。


「悪い。

 気づいてなかった。」

 事実だし、俺はそういうしかなかった。


「ガインは前に出ているのに全体を見ようとして欲張るからだよ。」

 トムソンがさらに突っ込んでくる。


「ご主人の判断が心配だからだろ。」

 俺は言い返すが、


「僕も一応訓練は受けてるよ。

 少しは信じて欲しいな。

 ガインにばかり負担をかけさせたくないからね。」

 トムソンにそう言われ、


「分かったよ。」

 俺は答える。

 俺は今まではゼル達を率いてやってきた。だが、ゼル達に判断を任せる事はできなかった。

 だから全部自分で判断するしかなかった。

 だけど、トムソンは自分で判断ができる。しっかり訓練も受けている。

 なのに、俺はトムソンを全く信じず全部自分だけで何とかしようとしていた。

 今後も戦闘になったら俺は前に出ざるを得ない。

 とても戦場全体を見渡すことはできないだろう。

 俺はトムソンの判断が甘いとか言っていたが、変わらなければいけないのは俺の方だったようだ。


 そんなことを考えていると、トムソンは自分の判断でトムソンを守ったウィルの事を褒めていた。

 なんだか本当に主人ぽくなったな。

 今後も余裕のある時は突っ込むつもりだが、もっとトムソンの事を信じてみようと俺は思った。


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