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熊王伝  作者: ウル
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第1話 ハイネの用心棒

 俺の名はガイン。

 ハイネの町の平和を守っている用心棒だ。


 と言っても、俺は人間じゃないけどな。

 グリズリーという熊型のモンスターだ。

 そして、俺には2匹の手下がいる。


「大将、今日は平和だな。」

 手下の1匹であるゼルが言ってくる。


「平和なのはいいことだ。」

 俺は答える。

 用心棒が忙しい時点で町の平和が危ないだろ。


「ガイン、退屈そう。」

 もう1匹の手下のアリサが言ってくる。

 余計なお世話だ。

 まあ平和で退屈しているのは事実だけどな。


 ちなみに俺たちは全員、四本足の熊型モンスターだ。

 俺は★3グリズリー。

 ゼルとアリサは★2ブラックベア。

 ★の後ろの数字は進化レベルと言って、数字が大きくなれば進化して強くなる。

 体も大きくなるし、覚えられる技も増える。


 町の連中は俺のことを「荒くれ者」とか「でかい熊」とか好き勝手言うが、そう言いながらも殆どの連中は町の平和を守っていると感謝してくれている。

 俺は形上はハイネの町の領主であるブランタンが飼っていることになっているらしいが、俺は気にしていない。

 本来は俺達のようなモンスターを飼う時は支配契約と言って主従関係を結ぶらしいが、俺達はしていないからな。

 まあ、餌とかはブランタンの手下が用意してくれるが、用心棒として働いているのだから当然だろ。


 そんなわけで、俺は手下を引き連れて、今日も町の中をパトロールしていた。

 実際、ハイネの町は平和だから、住民と雑談して回っていることの方が多いけどな。


 この日、丁度門の所で、門番長のトムソンと雑談をしていたら、門の外で怪我をした商人がこちらに向かって必死に走ってくるのが見えた。


「救出に行くぞ。ついて来い。」

 俺はゼルとアリサを連れて、商人の方へ走る。


「大丈夫か、何があった?」

 俺が聞くと、


「ガインさん、助かった。

 モンスターに襲われた、小型だがドラゴンだ。」

 商人が言う。


「俺の背中に捕まれ。

 町の中まで送る。」

 俺はそう言って、商人の前で伏せる。

 そして、商人が背中に捕まったのを確認して、町の門の中まで運んだ。


「大丈夫ですか?」

 門にいたトムソンが商人に話を聞く。


「ガインさんのおかげで助かりました。

 町に帰る途中で、小型ですがドラゴンに襲われたのです。

 ドラゴンは途中で別の獲物を見つけたのか、追ってこなくなったので、何とか逃げてきました。」

 商人が答える。


 別の獲物?

 そいつが危ないんじゃないか。


「ドラゴンに襲われた場所はどこだ?」

 俺は商人に聞く。


「隣町のリズボーンから戻る街道の途中西の森から出てきました。」


「トムソン、ロウエンに報告しておいてくれ。俺はすぐに現場に向かう。」

 俺はそう言って、衛兵隊長ロウエンへの報告を任せて、そのまま現場へ向かった。


 俺は商人の情報をもとに街道から西に外れた森を探す。

 すると、遠くで足音や羽音が聞こえて来た。

 こっちか。


 俺が音のする方へ向かうと、俺達と同族のまだ小さな熊族モンスターが1匹小型のドラゴンに追い詰められていた。

 小熊は間の木の陰に隠れながら必死に逃げ回っていたらしい。


「いくぞ!」

 俺はゼルとアリサに言うと、前脚をぐっと沈める。

 筋肉に力をためる。


 これは俺達が使える技の中でも、一番基本的な技「ジャンプアタック」のためのためだ。

 屈伸して、ためを作ってから一気に跳ぶ。

 ただ飛びかかるだけじゃない。

 ためを入れることで、より速く、より高く跳べる。

 四本足モンスターなら大体持っている、いわば基本技だ。


「ジャンプアタック」

 俺は地面を蹴った瞬間、一気にドラゴンとの距離を詰める。

 ジャンプアタックは上にも飛べるが、今回のように横に飛べば走るよりも速いスピードで近づける。

 俺は、一気にドラゴンとの距離を詰めて、右前脚の強力な爪でドラゴンを引っ掻く。


 ドラゴンは、直撃こそかわしたものの、俺の一撃を喰らって体勢を崩す。

 だが、ドラゴンは空中にいる。

 俺の最強技である「トリプルスラッシュ」を喰らわせたいが、空中にいる敵には届かない。


「ジャンプアタック」

 そこへゼルのジャンプアタックが飛んでくる。

 だが、体勢を崩しながらもドラゴンは攻撃を予想していたようで上に飛んで避ける。


 さらにアリサのジャンプアタックも来たが、上に飛んでかわさせてしまった。


 ここまで高く飛ばれると、ジャンプアタックでも届かない。

 だが、逆に言うとドラゴンのブレスも届かないだろう。

 俺はドラゴンの方を睨みつけていたが、流石に俺達3匹を全部相手をするのは無理だと悟ったのかドラゴンは逃げて行った。


「ふん。二度と来るなよ。」

 ゼルが勝ち誇ったように言った。


「大丈夫か?」

 俺は、襲われていた小熊に話しかける。

 ★1ヤングベアだな。俺も子供の頃は★1ヤングベアだった。


「ありがとうございます。」

 助けた小熊は、震えながら俺を見上げると、丁寧にお礼を言ってきた。


「無事でよかった。

 親はいないのか?」

 俺が聞くと、


「それが、ドラゴンに殺されてしまって」

 小熊は言う。

 この子がこの先生き残るのは難しいな、とか考えていると・・・


「お願いです。僕を……あなたの手下にしてください!」

 小熊が言ってきた。

 俺もそれを考えていたところだが、本人の意向を聞いてからと思っていた。


「名前は?」


「ウィルです。」


 俺は腕を組み、少し考える。

 決意は固そうだな。


「俺の名はガインだ。」


「ガイン様……!」


「手下になるなら、町で悪さは許さねぇ。それでもいいか。」


「はい!」

 こうして、俺に新しい手下が1匹増えた。


「大将、仲間が増えたな。」

 ゼルが笑う。


「弱いけどな」

 アリサが容赦なく言うが、


「まあ、鍛えりゃいい」

 俺は答えた。


 ジャンプアタックも、トリプルスラッシュも。

 最初は誰だって使いこなせない。

 俺はウィルを見下ろし、言った。


「安心しろ。

 俺が面倒を見てやるぜ。」

 俺はウィルにそう言って、ウィルを連れてハイネの町に帰った。


 ハイネの平和は、俺が守る。

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