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錆びた王国とプラスチックの夢

作者: 徒然生成
掲載日:2025/10/08

✦錆びた王国とプラスチックの夢


むかしむかし……いや、

スマホの充電が切れる少し未来の話。


この星には、

「鉄が余って困ってる国」と

「鉄が足りなくて泣いてる国」がありました…


---


❥鉄があふれるブリックスの国々


インドと中国の政府はこう叫びました。

「鉄を作れ! 雇用を守れ!」


その結果、

世界の7割の鉄がブリックスで生産され、

必要量の4年分が倉庫に山積み。

まるで“鉄の墓場”。


でも中身の半分は、

橋にも、戦車にも使えない、

「使えない鉄」でした。


安いけど、脆い。

“世界が欲しがらない鉄”が、

世界中にあふれていました。


---


❥鉄が足りないヨーロッパ


ヨーロッパの工場では、煙突が静まり返っていました。

ロシアの天然ガスを失って、

電気代は日本の2倍、アメリカの3倍。


EU全体の生産は2017年比で20%減、

世界シェアも5%。

軍需で使われる鉄はたった10%未満。


戦争しても儲からない――

それが、いまのヨーロッパ。


それでもEUは2025年から

「安い鉄を締め出せ」と関税50%をかけようとしています。


鉄が欲しいのに、鉄に罰金。

まるで自分の足を撃つ兵士のようです。


---


❥鉄の塊から、プラスチックの夢へ


日本では別のドラマが進行中。


昭和の車は60%が鉄の“走る要塞”。

今は3〜4割しか鉄を使っていません。

「軽くて燃費がいい」が合言葉。


でも、軽くなったのは車だけじゃない。

安全性も、誇りも、財布の中身も軽くなってしまいました。


その昔100万円だった車が、

今や600万円のプラモデルみたいな車になり、

ぶつかればペコン。修理代は夢より高い。


それでも若者はローンを組む。

金利が上がると、リボ払い10〜15%で先送り…

その姿はまるで、

“鉄を薄めた人生”そのものです。


---


❥軽い家と重いローン


家も軽くなりました。

昔は鉄骨と木でびくともしなかった。

今は5000万円の新築でも、

壁を叩くとペコンと音が鳴る。


EUでは住宅の着工が3割減、

日本も同じ。

若者は背伸びして家を買い、

10年後、台風や地震で壁がはがれ、

修理代はまたローンに置き 変わる…


そんな、

夢破れて山河ありみたいな未来像を

描く日本人は誰もいない…


SNSには、

「#マイホーム完成 #夢が叶った」

と笑顔の投稿。

でも、

風が吹けば――夢も飛ぶんだよね。


---


❥鉄の帝国の誕生


そのころ、海の向こうでニュースが流れました。

「U.S.スチールと日本製鉄が合併」


金の延べ棒を掲げたアメリカの元大統領が言いました。

「鉄は国家の骨だ。取り戻すんだ!」


新会社には、

“ゴールデン株”という魔法の仕組みが…

政府が鉄の流れをコントロールし、

鉄の帝国(Iron Empire)が生まれたのです。


でも庶民の手にあるのは、

薄いスプーンと折れた自転車、

そしてペコンと凹むプラスチックの夢だけでした。


---


❥エピローグ ― 鉄の逆流


こうして世界は歪み始めました。

「余ってる鉄」と「欲しい鉄」は別物。


ブリックスは鉄を作りすぎ、

ヨーロッパは鉄を失い、

日本は“鉄を忘れた社会”になりました。


人々は気づき始めています。

錆びたのは鉄ではなく、

私たちの生活そのものなのだと。


---


❥あとがき ― 鉄の鼓動をもう一度


“Quality means doing it right when no one is looking.”

― Henry Fordヘンリー・フォード


本物の品質とは、

誰も見ていないときに

「正しい鉄」を作ること。


それを忘れた時代が、

この「錆びた王国」なのかもしれません。


だから私はヘンリー さんに

返事を書きます。


『叩けば響く ペコンの音が

 明日への国の メトロノーム』


かすれた音の中にも、

まだ希望のリズムが残っていると信じて…

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