錆びた王国とプラスチックの夢
✦錆びた王国とプラスチックの夢
むかしむかし……いや、
スマホの充電が切れる少し未来の話。
この星には、
「鉄が余って困ってる国」と
「鉄が足りなくて泣いてる国」がありました…
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❥鉄があふれるブリックスの国々
インドと中国の政府はこう叫びました。
「鉄を作れ! 雇用を守れ!」
その結果、
世界の7割の鉄がブリックスで生産され、
必要量の4年分が倉庫に山積み。
まるで“鉄の墓場”。
でも中身の半分は、
橋にも、戦車にも使えない、
「使えない鉄」でした。
安いけど、脆い。
“世界が欲しがらない鉄”が、
世界中にあふれていました。
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❥鉄が足りないヨーロッパ
ヨーロッパの工場では、煙突が静まり返っていました。
ロシアの天然ガスを失って、
電気代は日本の2倍、アメリカの3倍。
EU全体の生産は2017年比で20%減、
世界シェアも5%。
軍需で使われる鉄はたった10%未満。
戦争しても儲からない――
それが、いまのヨーロッパ。
それでもEUは2025年から
「安い鉄を締め出せ」と関税50%をかけようとしています。
鉄が欲しいのに、鉄に罰金。
まるで自分の足を撃つ兵士のようです。
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❥鉄の塊から、プラスチックの夢へ
日本では別のドラマが進行中。
昭和の車は60%が鉄の“走る要塞”。
今は3〜4割しか鉄を使っていません。
「軽くて燃費がいい」が合言葉。
でも、軽くなったのは車だけじゃない。
安全性も、誇りも、財布の中身も軽くなってしまいました。
その昔100万円だった車が、
今や600万円のプラモデルみたいな車になり、
ぶつかればペコン。修理代は夢より高い。
それでも若者はローンを組む。
金利が上がると、リボ払い10〜15%で先送り…
その姿はまるで、
“鉄を薄めた人生”そのものです。
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❥軽い家と重いローン
家も軽くなりました。
昔は鉄骨と木でびくともしなかった。
今は5000万円の新築でも、
壁を叩くとペコンと音が鳴る。
EUでは住宅の着工が3割減、
日本も同じ。
若者は背伸びして家を買い、
10年後、台風や地震で壁がはがれ、
修理代はまたローンに置き 変わる…
そんな、
夢破れて山河ありみたいな未来像を
描く日本人は誰もいない…
SNSには、
「#マイホーム完成 #夢が叶った」
と笑顔の投稿。
でも、
風が吹けば――夢も飛ぶんだよね。
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❥鉄の帝国の誕生
そのころ、海の向こうでニュースが流れました。
「U.S.スチールと日本製鉄が合併」
金の延べ棒を掲げたアメリカの元大統領が言いました。
「鉄は国家の骨だ。取り戻すんだ!」
新会社には、
“ゴールデン株”という魔法の仕組みが…
政府が鉄の流れをコントロールし、
鉄の帝国(Iron Empire)が生まれたのです。
でも庶民の手にあるのは、
薄いスプーンと折れた自転車、
そしてペコンと凹むプラスチックの夢だけでした。
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❥エピローグ ― 鉄の逆流
こうして世界は歪み始めました。
「余ってる鉄」と「欲しい鉄」は別物。
ブリックスは鉄を作りすぎ、
ヨーロッパは鉄を失い、
日本は“鉄を忘れた社会”になりました。
人々は気づき始めています。
錆びたのは鉄ではなく、
私たちの生活そのものなのだと。
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❥あとがき ― 鉄の鼓動をもう一度
“Quality means doing it right when no one is looking.”
― Henry Ford
本物の品質とは、
誰も見ていないときに
「正しい鉄」を作ること。
それを忘れた時代が、
この「錆びた王国」なのかもしれません。
だから私はヘンリー さんに
返事を書きます。
『叩けば響く ペコンの音が
明日への国の メトロノーム』
かすれた音の中にも、
まだ希望のリズムが残っていると信じて…




