私の特別な人
受験勉強を頑張り、憧れの西条健太と同じ学校に入学することができた白鷺薫。先輩に一緒にいる時間を増やすために同じ部に入部し、告白の機会をうかがいます。はたして無事告白は成功し、付き合うことはできるのか。
白鷺 薫この物語の主人公
西条 健太薫の家の近くに住んでいる1年上の先輩
栗原 満薫の同部屋の同級生
①プロローグ
私は白鷺薫。私立新緑高等学校(以下:新緑高校)の一年生で文芸部に所属している。この物語は、コンクールに出す予定の作品である。そして、今年最後の作品で、私にとってはそれ以上に大切な意味がある思い入れのある作品である。
②私の入学体験談
私、白鷺薫には好きな人がいる。小学生のころ一緒に遊ぶことが多かった1歳年上の西条健太先輩だ。遊ぶことが多かったと過去形になっているのは中学生になってから遊べることが減ったからだ。
今、私は中学三年生で、受験勉強をしている。そして、少しでも先輩と一緒にいられる時間を増やすため、先輩が入った高校と同じ新緑高校を目指している。5月になり、三年生になって最初の模試があった。第一希望に書いた新緑高校の結果をみるとD判定だった。全くだめだったわけではないが、とても合格出来る確率は低かった。そういえば、先輩は成績が良かった。それに比べ、私は成績が悪いわけではないが、いつも平均前後で、先輩とは比べものにならないほどだった。私は最初の模試で絶望しながらも、先輩と一緒になりたいと思い、必死に勉強した。すると成績が、どんどん上がっていき、本番直前の模試では、A判定になっていた。そして、入試にも合格できた。私は嬉しい気持ちになり、ソワソワしながら入学できる日を楽しみにしていた。
④新生活
新緑高校は全寮制の学校のため3月末には寮に入ることになってた。寮に入ると、寮母の人が寮の正門から見て右が女子寮、左が男子寮互いの寮に入ることは禁止、消灯時間は23時などの寮のルールを教えてくれた。指定された部屋に入るとすでに先に入って荷ほどきしている人がいた。どうやら寮は2人で一部屋のようだ。
私は、「こんにちは。私は白鷺薫と言います。よろしくお願いします。」とあいさつした。「栗原満と言います。よろしくお願いします。」と相手も返してけれた。「よろしくね。栗原さん」と返して私は自分の荷物の荷ほどきに取り掛かった。荷ほどきが終わり、入学式まで学校に行くこともなく、基本的に部屋にいたため、栗原さんと話すことが必然的に増え、自然とため口で話せるようになり、それぞれ名前で呼び合う仲になった。
⑤入学式
新緑学園の入学式の日、私は満ちゃんと一緒に部屋を出て、しゃべりながら登校した。新入生は全員で約200人。その全員が体育館に集合して、入学式が始まった。1時間半ほどして入学式が終わり帰る前に体育案の出入り口で、冊子の入った袋が配られた。部屋に帰り見てみると、部活紹介と校則や届け出のことなどが書いてある分厚い冊子が入っていた。私はそれを見るなりすぐに部活紹介のページを開き、写真の中に先輩が写っていないかを必死に探した。そして文芸部の写真の中に見つけた。そして私は文芸部に入ろうと決意した。
⑥再会
授業初日、私はソワソワしながら授業が終わるのを待った。ようやく6時間目が終わり、担任の先生がやってきてホームルームが始まった。私はホームルームが終わると一番に教室を飛び出し、文芸部の部室に向かった。部室に着くと数人が集まっていて、その中に、先輩がいるのが見えた。私は、「西条先輩。」と呼んで、手を振った。先輩もこっちに気づいて手を振り返してくれた。その後、部長から活動についての説明があり、その後は各自活動に熱中して一日が終わった。
⑦青天の霹靂
俺、西城健太には女の子の幼馴染がいる。それが白鷺薫だ。小学校入る前から一緒で妹のように見て来たが、中学に入学してから妙に可愛く見えてきて、話すことすらままならなくなってしまった。俺はこの気持ちに整理をつけるために自分の学力で行ける最高峰の学校である新緑学園に進学した。薫は学力は高くないからこの学校に来ることはないだろうと考え、3年間かけてこの気持ちの整理をつけようとしてた。そして入学してから1年が経ち、俺が2年生に進級し、最初の部活の日、驚きのことが起きた。なんと薫が部室にやってきたのだ。呼ばれたから手をふりかえしたが、俺は内心驚いていた。そして、それは俺の計画の崩壊も意味していた。
⑧理想との違い
入学から一週間がたち、私は文芸部に本入部した。しかし、活動を続けていくうちに自分の理想と違うことに気が付いた。私の理想は周りと和気あいあいと話しながらその流れで西条先輩とも話せると思った。しかし、実際はみんなは、指定された椅子に着き、読書をしているか、作品を原稿用紙に書くか、パソコンに打ち込むかして小説を作っており、ほとんど喋らず、黙々と作業していた。最初の狙い通り先輩と一緒にいられる時間は増えたものの、しゃべれないだったら意味がないと感じ始めたが、この部をやめると接点がなくなると思った私はこの部に残り続けることに決めた。
⑨中間試験
5月のGWも終わり、ついに中間テスト一週間前になった。新緑高校では、テスト一週間前から部活が禁止になり、さらにテストで赤点をとったら部活への参加が禁止となる。それを聞いた私は、先輩と一緒にいる時間を減らしたくないという一心で、一週間必死に勉強し、難しい試験で何とか赤点は取らずに済んだが、結構ぎりぎりだった。
⑩初めてのコンクール
中間試験も終わり、6月となった。部室に行くと部長が全員を前に集合させていた。「今年度最初のコンクールが開かれた。期限は7月末まで。よってそれまでに全員一作品は出すこと。二人以上の合作でも構わない。では各自、作業に取り掛かるように。解散!」と説明を受けた。しばらくはコンクールに集中するため、このコンクールの結果が出るころに先輩へ告白しようと考えた。そうと決めた私は、さっそく作品のアイディアを考えた。まずはジャンルからだ。ファンタジー、SF,異世界転生、恋愛もいいなと思った。いろいろありすぎて一週間悩んで、ようやく恋愛にしようと決めた。構成は定番の幼馴染同士の再会を軸にしようと考えた。そして期末試験後の7月中旬ついに完成にした。題名は『君の瞳は桜色』だ。私はできた原稿を部長に提出し、「コンクールに提出します。」と宣言した。部長は受理してくれ、私の夏休み前の活動は終了した。
⑪杞憂
俺は薫が来て一つ心配していたことがあった。それは夏休み前のコンクールだ。もし薫が隣や、向かい側の席になったら集中できないからだ。しかしそんな心配はなかった。薫の席は俺の席の7つぐらい左だったからだ。俺はコンクールに出す作品を集中して書くことができ、期末テスト前に書き終えることができ、部長に提出した。
⑫コンクールの結果
何事もなく夏休みが終わり、2学期が始まった。2学期が始まってから2週間ぐらい経ったある日部室にコンクールの結果が張り出されていた。この学校からは3人ぐらいが佳作に選ばれていた。残念ながら私や先輩は選ばれなかった。コンクールの結果が出たことで私は告白の決意が固まり、次の部活の日少し早めに部室に来て、先輩の机の上に手紙を置いた。
⑬置き手紙
ある日部室に行くと机に手紙が置かれていた。読んでみると部活の後に寮の裏門に来てほしいということだった。寮の裏門は普段締め切られていて、ほとんどだれも通らないのだ。しかし、差出人の名前は書いてなかった。俺は不思議に思いながら部活後、寮の裏門に向かった。そして向かった先には薫が経っていた。
⑭告白
私が寮の裏門の近くで待っていると先輩がやってきた。先輩は「薫だったのか。差出人ぐらい書いておいてくれ。」と言ってきた。しかし、私はそんなこと気にせず、先輩に近づき、先輩の目を見ながら「私は小学校のころから成績優秀で優しい先輩のことが好きでした。私と付き合ってください。」と言った。先輩は少し間を置くと私を抱きしめていた。そして抱きしめながら「俺も好きだったよ。中学入学してから薫が可愛く見えて仕方なくて自分の気持ちに整理をつけるために薫から逃げるようなことをしてしまった。ごめん。こんな俺でよければ付き合ってほしい。」と返してくれた。これで私と先輩は恋人になった。
⑮気持ちの整理
俺は薫に告白されたあの日、俺は思った。とっくに自分の気持ちはわかっていたのに俺は薫から逃げていただけだったと。俺の計画は薫がこの新緑高校に入学して崩れたが、気持ちの整理がつき、おまけに恋人にもなれた。そのことに俺は薫が入学してくれてよかったと心から感謝した。
⑯2回目のコンクール
私が健太君と付き合い始めて、一か月後、今年最後のコンクールのお知らせがされた。私はどうせなら健太君との合作で作りたいと思った。私は、健太君に声をかけ、健太君は了承してくれた。そして私たちは、好きになってから付き合うまでの物語を書くことにした。そしてそれぞれの視点で書いて、同じ部分を削ったり、少し表現を変えたりしながら完成させることができた。まだ期限までは時間があったため、私たちは読み返しながら変なところがないかなどを確認した。 END
初めまして(こんにちは)桑原大樹です。最後まで読んでいただきありがとうございました。私の特別な人どうだったでしょうか?先輩と付き合うことができた薫子が書いた作品は先輩との合作として物語を作りました。この物語こそ恋人と一緒に作った私にとって思い入れのある作品だったのです。最後に宣伝させていただきます。夏休み前に薫が書いていた、『君の瞳は桜色』という作品はまだ描き途中ですが私が書いた作品の一つですよければ読んでみてください。