アリス=クライス
◇◇◇
時間で表すと深夜の0時くらいだろうか。防音の部屋でもないのにとても静かだ。本当に争いが起きてる世界とは思えない。
「さてと、ちょっと抜け出してみるか。一応危険かもしれないからここにすぐ戻って来れるようにするか」
『《空間魔法》を創造しました』
窓の外へ瞬間移動した。
「もう慣れてきて簡単に作れるようになったな。よし、これでいつでも戻って来れるはずだ」
俺は《空間魔法》を使って城の外に出て家の屋根に乗りながら移動していく。
「一応周りからバレないようにしておくか」
『《隠蔽魔法》《探索魔法》を創造しました』
もう一つ便利な魔法を創っておいた。
「おーそれにしてもすごいなー。本当に異世界だ」
国は壁に囲まれていて壁の上に移動してきた。近くに軽く武装している兵士が居るが《隠蔽魔法》のおかげで気づいていない。大きい城に周りには城下町のように住宅が広がっている。
今度色々見てまわってみるか。さてと、《探索魔法》使ってどのくらい分かるか試すか。《探索魔法》。
心の中で唱えると円が広がるように頭の中に地図と人の反応が表れていく。遠くにある森から人ではない何かの反応がある。俺は《空間魔法》を使って森に移動した。そこには人ではない生き物がいた。木の影に隠れて様子を伺う。
お、あれが魔物ってやつかな。多分ゴブリンってやつだよな。そういや倒して良いんだろうか。もしかしたら有効的なのかも知れない。一旦試してみるか。
俺は《隠蔽魔法》を解いて魔物の前に現れた。
「あのーすみません。言葉わかりますか?」
魔物が声に気付き振り返る。俺を見た途端ニヤリと笑い持ってる木の棒を振りかぶって走ってきた。
「うわ、気持ちわる!よだれ垂らしてらし。まあ多分的ってことだよな?それならやっていいか。炎は森が燃えそうだしどんな魔法が良いんだろうか」
俺は手を魔物の前に出した。
「《大地魔法》」
そう唱えると地面から槍が無数に現れ魔物を串刺しにした。
「お、上手くいった。少し残酷だがこれも生きるためか。でも生き物を殺したのにあまり抵抗がない。これはこの世界に来た恩恵なのか俺が元々冷めた人間なのどっちだろうか」
「やっと追い着いた!」
後ろから声が聞こえた。振り返るとそこには金髪の女の人がいた。
「たしか、、王様の後ろにいた人か!なんでここに」
「君が城の外に急に現れたのを見てそのまま来たんです。ここは魔物が生息する森ですあまり勝手な行動はし、、え、、?」
王様の娘は話してる途中で魔物の死体に気付いた。
「これあなたがやったんですか?」
「襲ってきたしやったんだがもしかして手を出したらだめなやつだったか?」
「いえ、そういうわけではないのですがその魔法。あ、あなたって《魔法創造》の人ですか。つまり魔法を創って攻撃を。ならさっきの《転移魔法》もそういうことか」
なんかぶつぶつ言ってるな。
「あのーちょっと良いですか?えーっと、」
「アリスです。アリス=クライス」
「あ、光牙です。すみません」
「いえ、それより光牙さん。《転移魔法》といい《魔法創造》について少し聞きたいのですがいいですか?」
「あ、ああもちろん。でもその《転移魔法》ってやつじゃなくて俺のは《空間魔法》ってやつですよ」
「《空間魔法》?聞いたことないですね。似たような魔法なんですかね」
「まあそんなもんですよ。アリスさんは剣士なんですよね?魔法も使えるんですか?」
「ええ。《氷結魔法》は一応使えますよ。剣の方が得意ですけどね」
「《氷結魔法》か、そんなのもあるんですね。でも剣士かー、良いですね」
「そうですか?魔法は無限大ですから魔法の方がいいと思いますけどね」
「確かにこの《魔法創造》は楽しいけどね」
「気になってたんですよねその魔法。なんでも創れるんですか?」
「今のとこは魔力がある限り何でも創れますよ」
「ちなみに空を飛べる魔法とかって出来たりするんですか?」
「空を飛べる魔法?」
「空を飛んでみたかったんですよね昔から。伝説で《浮遊魔法》を使える人が居たらしいんですがほんとかどうかも分からなくて。でもそんな魔法存在しないですよね。すみません」
《浮遊魔法》か。まあ確かにそんな魔法あっても飛べるだけだもんな。まあでも空を飛ぶのはロマンあるよな。
「手借りても良いですか?」
「え、はい、、」
俺はアリスさんの出した手を握る。
「離さないでくださいね」
『《浮遊魔法》を獲得しました』
これはある程度創造しやすいな。
「《浮遊魔法》」
俺がそう唱えると体が風に包まれるような感覚になった。それから地面から足が離れていく。
「え、本当に浮いてる?!」
アリスは驚きが隠せずに居る。
「もっと上まで行きますよ」
俺はそういうと空へ一瞬で移動した。距離があった国の全貌が見えるほど高く上がった
アリスはスピードが速く目を瞑っていた。
「目を開けてみてください」
アリスは目を開けるとその景色に一瞬驚き、子供のようなキラキラと輝いた目を見開いている。
「おー!!」
「お気に召しましたか?」
「はい!こんなのも出来ちゃうんですね!」
「こういうための魔法ですよ」
「魔法を楽しむために使う物になれば良いんですけどね」
「そうですね。でも平和のために使う魔法も良いと思いますけどね」
「とても優しい方ですね。この世界の事を思ってくれるなんて」
「まあまだこの世界を知らないだけですよ。」
「巻き込んでしまって本当にすみません」
「来ちゃったことはもうしょうがないですからね、僕なりに協力しますよ」
「ありがとうございます。長々とすみません。そろそろ帰らないと明日から訓練も始まりますし」
「じゃあこのまま城まで戻りますか。一応《隠蔽魔法》も使っておきますね。それと訓練って全員参加ですか?」
城に戻りながらも話を続ける。
「《隠蔽魔法》も!?まあそうですよね。基本的には全員参加してもらいたいですけど光牙さんの場合はもしかしたら魔法の訓練は要らないと思いますけどね」
「なら剣の訓練一回だけ受けてみたいですけどね」
「それなら私が担当ですから時間がある時は教えますよ。明日も1日訓練しますからいつでも来てください」
「本当ですか?なら行けそうだったら行ってみますね」
「魔法を応用で使って武術と組み合わせたりもしますから光牙さんなら剣士としても活躍出来ますよ」
そんな話をしながら城の庭の上まで戻ってきた。
「わがまま聞いてもらってありがとうございました」
「こちらこそ新しい魔法を知れてよかったです」
「あ、そういえば敬語は使わなくて良いですよ。迷惑をかけたのはこちらですからそんな丁寧にする必要もありません」
「ならアリスさんも敬語はなしにしましょ」
「そ、そうかじゃあ遠慮なくいかしてもらう」
「ああ、これからよろしく頼むアリス」
俺たちは握手をかわしてお互い部屋に戻った。