幕間 恋バナがしたい看板娘
日常系短編です。
「ジェイさんって、恋愛経験あるのー?」
店内には客が俺一人。
そのせいか、暇なアイシェが話しかけてきた。
「恋愛経験くらいある」
「まあだよねー。モテるもんねー」
「……かどうかはわからないが、一通り経験している」
「イイ歳だもんね。どういう人がタイプ?」
改めてそんなことを訊いてくるアイシェ。
興味津々といった様子で、他に仕事もないため話をそらしてもすぐに戻されるだろうな。
内心小さくため息をついた俺は、アイシェの暇つぶしに付き合ってやることにした。
「優しい子」
「もっと具体的なのちょうだいよ」
「気遣いができて、下品じゃない程度には品があるような感じの子だ」
「歳は? 下でしょう、ジェイさんは」
「なんで決めつけるんだよ」
「だって、頼りがいありまくりだから。年下女子としてはセンサービンビンな感じなのよ」
「なんなんだよ、それ」
「じゃあフェリクは、範囲内だね」
「……まあ、そうだな」
にんまりとアイシェが笑う。
「ツンデレはいかがですか、お兄さん」
「……失礼なことをしないのならアリ」
「じゃあフェリクだ」
「……誘導されている気がするんだが」
「そんなことないない! 健気で幸が薄い、でも品があってちょっとだけ意地っ張りで美人の子がジェイさんは好きなんだね」
ほぼフェリクのことだな。
「フィーリングだからな、そういうのは。価値観とか、そういうの。条件に合うから良いってもんじゃない」
「うわ、逃げた! あやふやな基準に逃げた!」
「なんとでも言え」
「ジェイさんってば、そういう『オトナのかわし方』するんだもん。ずるーい」
「ズルかないだろ」
「まあともかく――」
アイシェが良い笑顔で親指を立てた。
「アリだったってフェリクには報告しとくね」
「やめろ。ややこしくなるだろ」
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まだ5万字と短く、キリのいいところで締めているので読みやすいかと思います。
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