第二章 龍神の剣の世界へ(六)
朝早く起きて、ゲームをやった進。最近ではゲームの内容が面白くなってきて、はまり気味である。宗明の消息はいまだに不明。桑田とは口論をしたまま、そして金寺とは派手な喧嘩をしてしまう
眠たい目をこすりながら学校へ着くと、校門の前に立っている制服を着た金髪が見えた。
――やべっ!金寺だ――
オレに昨日の復讐をするために待ち伏せしているのかもしれない。
オレは平気なふりをして門を通過しようとした。
「おい。待てよ」
金寺が近づいてきた。やはり目当てはオレのようだ。
「何だよ」
と強気で答える。
「わかってんだろうな…」
「知らねえよっ。んだよ!」
とオレは声を荒げる。
すると金寺は顔が近づくぐらいの距離に近づき、
「ぶっ殺すからよ、いいな?お前は必ず殺すから」
それだけだった。そう言ってから金寺はオレより先にスタスタ昇降口の方へ歩いて行く。
オレは少しあっけにとられていたが、とりあえず何事もなかったことに胸をなでおろし、昇降口へ向かう。
その後は教室で仲間といつも通り過ごした。ゲームのことは桑田以外には言っていない。桑田の方からは相変わらず何も言ってこなかった。
二時間目が終わった後の休み時間に一度さっちんがオレに
「そう言えばあんた、昨日の現代文の宿題やった?」
と聞いてきたので、
「いや、全然やってないわ」
と言うと、
「ちゃんとやりなさいよ。今からでも遅くないでしょ。やりなさい」
と親みたいなことを言うので、
「面倒くさい」
と言うと、
「ちゃんと学生の本分を果たしなさいよ。それがいい学生ってもんじゃん」
などとしたり顔で言うので、
「ゲームの方がいい」
と答えた。
「テレビゲーム?あんた今何やってるの?」
と興味深そうなさっちん。こいつもゲームは好きなのだ。主にケータイのだが。
―やば。本格的にめんどくさいことになった――
「いや、ただの遊びだよ、遊び」
「そんなこと知ってるけど。で、ゲームのタイトルは?」
などと聞いてきたので、
「いや、何でもいいじゃん。ただのロールプレイング」
とだけ言う。昔のゲームで、しかも近所の兄ちゃんが行方不明になった事件を追っているなどと口走ろうものなら、どんな冷笑と軽蔑の視線を浴びせられるかわからない。よって、ここは自らに箝口令をしかなければならないのだ。
「ふーん。何か気になる。隠すなんて。最近元気ないし?」
「そうか?」
そんなふうに見えるのだろうか。まあたしかに今日は睡眠時間が削られたからな…。
するとさっちんは遠くを見て、整った片眉をピクッと持ち上げ、
「あ、桑田君。こっち来てよー」
と声をかけた。
オレが振り返ると、桑田が気まずそうにこっちを見ていた。
おそらくゲームの話をしていたので、例のゲームのことかと思い、興味があったのだろう。オレたちの方を見て、運悪くさっちんと目が合ったのに違いない。
ちなみに、さっちんも薫もオレと桑田がけんかして最近口をきいていないことは知らない。
「いや、いいよ…」
と桑田がばつが悪そうに断る。
「…変ね。最近」
と首をかしげるさっちん。
「ま、まあいいだろ。本人がそう言ってるんだし」
「まあ、そうね…ところで、あんた宿題やりなさいよ」
「その話に戻るのかよ!」
…とまあそんな感じの会話があったのだ。
桑田はよりを戻したいように見えなくもない。だが、また宗兄の話をすれば意見が対立して喧嘩になるかもしれなかった。まあオレがあのこうもりの魔物を見つけて、写真を撮って見せれば桑田も信用するだろう。そうすればまた友人関係に戻れると思う。
まあ何より早く見つけることだ。今日もあのゲームを黙々と進めなくては。
その後、オレはいそいそと学校から戻ると、着替えもせずに制服を着たままゲームに没頭。しばらくそんな日々を送り、二日間で、ボスキャラの赤大蛇と青大蛇を倒し、その蛇を祭る神官やら巫女やらも倒した。ちなみに巫女もすすむを見て「かつての東の村の子ではないか!」と叫んでいた。いよいよ「すすむ」の運命はやばい。
その後、いかなる大蛇をも倒す伝説の剣「龍神の剣」を手に入れるために試練の谷へ向かった。龍神の剣は龍のうろこから作られるのだそうだ。そのため湖に住む龍神の元へ向かい、うろこを授からなくてはならないのだ。そこにボスキャラがいて「わしを倒すことができたらうろこを授けよう」とか言い出す気がものすごくする…。
オレはコントローラーのボタンを押して、自分の分身である二頭身キャラの「すすむ」を歩かせた。




