ランキングを見ていて思う。そろそろ、【バカ】ではなく【クズ】を見たい ~せめて、メインのざまぁ対象の知能指数を上げてくれ!~
ランキング作品のざまぁ対象者は馬鹿である。
よく聞く意見としては、『主人公も馬鹿だから、周りを下げることで主人公の賢さを確保している』というものだろうか。
まあ、なにより『わかりやすく』するためには、そのくらいバカの方が良いということなのだろう。
ただ……そろそろ、バカは食傷気味だ。
そろそろ、『自覚している奴』を見たい。
最低限の知能指数が確保されているやつが見たい。
単にバカなだけな奴は、【理不尽】じゃないからだ。
ざまぁって言うのは、【理不尽】をぶっ叩くことでカタルシスを得るものだろう。
ざまぁ対象を『信じられないほどの馬鹿』にして、落ちぶれていく様子を書くのは、確かになれれば書きやすい。
ランキングを見れば、その手の作品ばかりなのでよくわかる。
だけど、筆者はその手の作品に、ポイントは入れないし、★5も入れない。
意外性がないからだ。
不変だからだ。
もうすでに、『日常』だからだ。『普通』だからだ。
いつも食べている白飯を売っている店に、何らかの高評価をするか?筆者はやらないよ?
もっと言うと、『追放ざまぁのテンプレ通りに書いた作品を読む』ことと、『筆者がブクマ登録をしたり★5を入れたりする』という行為に、因果関係は一切ないのである。
もちろん、現在のランキング作品の実態を見れば、ランキング作品だけを周回し、ランキング作品にだけブクマや★5を入れる『層』のようなものがあるのはわかる。
その『層』を狙ってテンプレ作品を書いているのは、『執筆初心者だろうと作品を出せるなろうというサイトにおいてあるべき姿』とすら思えるので、テンプレで執筆することを否定はしない。
否定はしないが、筆者はブクマも★5もしない。
ちなみに、この前提に異議がある人は、書籍化や収益などの『金』の話があるからギスギスしているだけだろう。
脱線したので戻そう。
バカはバカだ。悪でもクズでもない。
何も企んでいないし、何の後ろ盾もない。
ただ、無謀で陳腐な野望があるだけ。
『主人公が何の覚醒をしていなくても、ざまぁ対象を倒せるほどの実力がある』上に、『ざまぁ対象者に何の後ろ盾もない』など、なんで組織に縋りついているのかわからない。
一度冷静になってしまうと、主人公に対して感情移入できない。
せめて、ざまぁ対象者に『実力』か『後ろ盾』くらいはつけてほしい。じゃないと、全然【理不尽じゃない】のだ。
もうちょっと、知能指数を上げていただきたい。
作者諸君は自覚していただきたい。
もうすでに、なろう読者は、『多少に狂気なんて慣れすぎてる』のだ。
カタルシスを最大限溢れさせるために、【理不尽】を描くことを考えてほしい。
★
キャラの差別化において便利なツールとしてマトリックスがある。
が、そんなものを使うまでもなく、現在のランキングのざまぁ対象者は『自分の実力が分かっていない』し、『主人公の実力が分かっていない』のだ。
しかも、パーティーメンバー全員が、である。
そりゃ、全員が同じ顔に見えるわけだ。
要するに筆者は、ざまぁ対象者が『自分の実力をわかっている』し、『主人公の実力も分かっている』という状態の作品が読みたいというわけだ。
それくらいの知能指数がある奴でいてほしいのだ。
そんな状態でどうやって主人公を追い出せばいいのかわからないという方は、もう少し、【嫉妬】という言葉を勉強していただきたい。
「主人公が強いのは分かっている。でも認められない。認めたくない」
プライドが高ければ、『嫉妬』なんていくらでも湧いてくる。
どれだけパーティー内で貶そうが、ギルドの受付嬢や宿屋の看板娘が好意的な印象を主人公に抱いていたら、『嫉妬』する。
そんな中、収納スキルを持つ主人公の性能を超える『マジックバッグ』を手に入れたら?
そりゃ、主人公に『お前は不必要な存在になったんだよ!』と罵詈雑言を浴びせて追放するだろう。
嫉妬というのは、羞恥にも怒りにもなる。
だからこそ人間らしい。
もちろん、そんな人間らしい奴に読者が感情移入したら、酷い目に合わせることはできない。そうなるとざまぁは書けなくなってしまう。
だが、だからこそ、『更生』の余地がある。
こういうことを書くと、『ざまぁを貫徹させないとダメでしょ』という感想が出てきそうだ。
だが、逆に聞きたい。
『ざまぁ対象者が主人公を追放した後、落ちぶれていく意味がどこにあるんだ?』
★
『落ちぶれていく』ということと、『没落』は大きく意味が違う。
ちょっとひどい目にあって落ちぶれていくざまぁ対象を見て、慌てふためくさまを楽しんで、主人公がとどめを刺して本を閉じる。
……なるほど、手軽に、気軽に、とにかく『軽い作品』を書くのなら、それでいいと思う。
普遍的な味で、大した量のないビスケットの袋のようなものだ。それがランキングで群雄割拠しているのだから、別にそれはそれで構わない。
だが!
最もカタルシスを得られるのは、『人間を人間とも思わないクズを、主人公が人生の絶頂から【一撃】で叩き落すところ』だと、筆者は最近思うのだ。
そう、『クズ』だ。
怒りが沸き上がるような、そいつによって苦しめられた人間に思わず感情移入せずにはいられないほどの、【クズ】が見たい。
そして、そんな人生を謳歌しているクズを叩き潰す、主人公の『絶対的な一撃』を見たい。
その『高低差』を味わうのが、【カタルシス】というものではないだろうか。
バカが落ちぶれていく様子を見るのは楽しいかもしれない。
けどさ。もう読み飽きただろう。
だから、何度でも言おう。クズが見たい。
主人公を追放した後も、他の人間を虐げ、奪い、己の愉楽のためだけに行動するクズ。
そして、そんなクズを、人生の絶頂から、【一撃】で叩き落す主人公がみたい。
そこに、フルコースのメインディッシュがあるのではないだろうか。
そんな重い物、ランキングで読まれない?
そんなのどうでもいいから投稿するのが、作品に愛を持つということだよ。
あ、どんな作品でもいいけど、長文タイトルは必須な。そもそも読まれないから。
時々、『タイトルが長すぎる』というコメントを見る。
なら聞こう。
『タイトルが長くなかったら、そもそも君、この小説読んでる?』と。
開き直ってしまえばいいのである。まずは、『それでいいんだ』という概念を、とにかく集めることだ。