俺は少女を説得する〈2〉
お久しぶりです。
お読みくださりありがとうございます。
「キミ、ここで何してるの?」
とにかく聞かなければ始まらない、と考えて話しかけてみたものの・・・
「うっうっ、ひっく・・・」
会話にならなかった。そりゃぁ幽霊さんも投げ出したくなるわ。もう俺も投げ出したいもん。
しかし、説得して連れて行かないことにはここから出してもらえなさそうだし・・・はぁ。
「え〜と、飴玉いる?」
ポケットに入っていた、疲れた時に舐る用飴玉を取り出すと
「ッ」
目にも留まらぬ早業で奪い取られた。反応がやばい。なんつーか、とにかくやばかった。ってか、ウソ泣きだったの?と思ったら
「すん、すん、甘い・・・おいしい・・・」
鼻を鳴らしながら感想を述べていた。ただし、立ち上がる気配は微塵もない。そうですかおいしいですかならよかったですよはい。完全に無駄に飴を消費しただけになった。俺の飴玉(ただし気分的なもの)が・・・
さて、第一作戦『飴でつる』は失敗したわけだが、どうするかな。強引に連れて行くという誘拐犯のような手段は最後にまわして、う〜む・・・ぬいぐるみとかあったかな・・・
そんなカンジに必死に案を考えていると、『バッ』という音がして手のひらが突き出された。え、なに?もう一個寄越せ?わかりましたよこんちくしょう。赤くなった目元がこちらに睨んできたため、仕方なく飴玉を提供する。
「もうないからな、それ。なけなしの所持金で買ってたやつの残りなんだから」
素材を売る前の俺が買っていたものだから、さっきの二個目がラストだ。『SOLD OUT』の看板をたてなきゃ。
「むぅぅ〜〜!」
いや、むくれられても知らんがな。リスよりほっぺたを膨らませた少女だったが、やがて諦めたようにうつむいた。おいおい、また振り出しからとか勘弁だぞ!
「あ〜、飴はないけどいいもんやるから、代わりにキミの話を聞かせてくれる?」
口調がごちゃごちゃだった気はしたが、少女がこちらを見た。よし、反応アリ!ただ、またこちらを睨んでいる。『いいもん』の正体を知りたいのだろうか。とりあえず、その正体を実際に見せてやる。
「ほら、これ」
「!」
少女が僅かに目を見開いた。俺が取り出したのは、元彼女への誕生日プレゼント。どうせ渡す機会はないんだし、使わなきゃ勿体ない。だが、だからといっても自分では使いたくない。ちょうど邪魔だったから、処分できたらこっちはハッピー、あっちもいいものが貰えてハッピー。完璧にウィン・ウィンな関係だ!
「話してくれるか?」
コクリと頷く少女。やっとスタートラインかよ、長ぇわ!
ともあれ、ようやく交渉ができるな!よくやった、俺!
次は早くても20日か21日ですかね・・・すみません。