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俺は町を出ようと思う

 お金欲しい・・・

 金貨300枚の重さを抱えて町を歩く。目指すは朝ぶりのギルドだ。要件はいくつかあるが、まずはこのジャラジャラの処理だ。

 ギルドに入ると、朝よりは数が増えている人が、ザワザワと騒ぎ出した。うるさいからやめて欲しい。

 とにかくカウンターまで行き受付嬢さんに話しかけた。


「あの、金を預けたいんですが」


「あ、はい!ではギルドカードをお預かりさせていただきます」


 便利道具、ギルドカード。実はこれを提示すると、ギルドに金を預けられるのだ。・・・ちなみにこれはさっき買取屋に行った時に知った。おいおい、一体何年冒険者やってきてたよ俺は?これじゃあまるで初心者じゃないか。


 それはさておき、ギルドカードと一緒に有り余る金も出す。


ジャラッ!


 その重たい音に、ギルド中の人間の目が金貨のように輝いた。なんか、買取屋とは違う意味で怖い。


「・・・っで、では、こちらはギルドで預からせていただきます」


 金貨マークの目から復活した受付嬢さんが慌ててそう言った。

 ギルドの奥へ金貨が運ばれていくのを見ていたが、やはり重そうで、途中から他のギルド職員さんたちとバケツリレー方式で運ばれていった。お疲れ様です。


「他に何かご用件はございますか?」


 横から声をかけられたと思ったら、朝の受付嬢さんだった。

 にしても、他の用件か・・・あ、これだけ金が集まってるなら・・・


「王都へ行く方法を教えてください」


 今すぐこの町を出たい。その為には金が必要だったが、予想を大きく上回る金が入手できたので、出れるなら出てしまおう、というわけだ。


「王都への護衛依頼は・・・なさそうですね」


 受付嬢さんがまず考えたのは商人などが出す護衛依頼だったようだ。しかし、様子を見るに、今は特になさそう。


「ちなみに、急ぎですか?」


 急ぎたいが、緊急というわけではないしな・・・


「可能ならはやい方がいい」

「では個人で行く、と?」

「乗り合いがあるのか?」

「・・・10日後にあります」


 10日か、少し長いな。


「じゃあ個人で」

「わかりました。ではこちらをご覧ください」


 そう言って受付嬢さんが取り出したのは地図だった。


「この町の東の門からでて、この道にそって進めば王都です」


 指をつつつーと滑らせながら説明してくれた。


「どれだけかかるんだ」

「およそ一月、最短で20日ですね」


 な、長いな。

 と、そこで俺は一つ気づいた。


「受付嬢さん、この森をつっきるのはだめなのか?」


 それはこの町の北に位置する、大きな森だった。それは王都の近くまで続いていて、直線で行けるルートだった。今思えば、先程のはこの森を迂回していたように感じる。


「それは・・・その、あまりおすすめできません」

「なぜ?こちらの方がはやそうなのに」

「・・・その森は『幻惑の森』と呼ばれている、危険な場所だからです」


 幻惑の森、か。名前を聞いただけで危なそうだな。


「ここにはあまり見られないような危険な魔獣がいる上に、方向感覚が狂わされやすいとしても有名です。さらに稀にですが、濃い霧が発生して、その中で幻のような『何か』を見た、という人が多くいたことからこの名がつきました」

「ちなみにどれくらいかかるんだ?」

「最短で、10日です」


 そりゃぁいい!たが、危ないのか・・・


「行くというなら止めはしません。我々ギルドにはその権利はありませんし」

「なら、森を抜ける方にする。はやく王都に着くならその方がいい」


 それに、冒険者は冒険する(危険に突っ込む)から冒険者なんだ。


「わかりました。せめて、気をつけてくださいね」


 そうと決まれば善は急げだ!幸い、まだ昼にはなっていない。なら、今から準備して昼飯を早めに食べて出発するとしよう。


 こうして俺は、新たな道を歩みだそうとしていた。

 ・・・別に人生の道と王都への道を掛けてるわけじゃないからな?ホントだぞ?




 読んでいただきありがとうございました。

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