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俺の切実なお財布事情〈後〉

おはようございますおやすみなさい(眠いです)

「な、な、な、なんじゃこりゃあああああぁぁぁぁぁぁ〜〜っっ!!?」


 突然の叫びに驚愕する俺と周りの連中。


 いや、ホントに何かやっちゃった?俺はただ昔狩った魔獣の素材の売却に来ただけなのだが。


 叫びから少しして、あの店主がズドドドドーー!と、物凄い勢いで店の奥から出てきた。ついでに鼻息まで物凄い。離れた位置にいる俺まで、その風が届きそうなくらいだ。


「ま、ま、ま、マスターナイト様!こちらにいらしてください!」



 呼ばれるままに移動することにした。・・・及び腰で。


「さて、一つお聞きしたいことがあります。マスターナイト様、わかりますか?」


「い、いえ・・・わかりません・・・」


「そうですか・・・では、単刀直入に。―――なんなんですかあれは!?

まず狼の魔獣の牙!アレは個体数が少ないと言われている、ウルフの上位種のブラッディウルフの物でしょう!通常の個体と違って牙が血のような赤なのですぐわかりますよ!はぁ、はぁ・・・

 次に熊の魔獣の爪!巨体のくせに風の魔法でやたら俊敏に動くシルフィードベアの爪に間違いない!うっすらと緑が混ざった色合いからして一目瞭然です!強力ゆえに素材が貴重な魔獣の一体ですよ!ふぅ、ふぅ・・・

きわめつけは虎の魔獣の毛皮とやらですよ!虎型魔獣といえば、どんな個体でも何らかの魔法が使えて、今まででも討伐記録は多くない魔獣の筆頭とも言えるやつじゃないですか!何でさらっと『虎の魔獣の毛皮』ですか!?

それはさておき、流石に私も、ぱっと見でどの種かはわかりませんでしたよ。まさか・・・まさか、『雷帝』とも呼ばれるダークボルトタイガーだったなんて!!どういう原理か、常に黒い雷を身に纏った白い虎!近づく者はすべて黒雷でその身を灼き尽くされると言われる恐ろしい魔獣!!まさかその素材を生きているうちに見られるとは、思っても見なかった!!!

 ぜぇ、ぜぇ・・・すみません、少し落ち着かせてください」


 ・・・まくしたて過ぎた店主が息を切らせている。一体何があったのだろうか?

 俺は店主の、歴戦の猛者もかくやと言わんばかりの気迫に秒で飲まれて放心していた。静かになった気がして戻ってみたら、店主がこうなっていた。


 あ、そうだ。ちゃんと買い取ってもらえるのか聞かなければ。


「店主、結局素材って「買い取らせていただきます」うおぁ!?」


 話しかけ始めた直後には既に、俺の顔と店主の顔がくっつく寸前になっていた。速すぎない!?怖いどころか恐ろしい、いや、絶望しかけるくらいだった。


 しばらくして、店主が奥からジャラジャラと鳴る袋を持ってきた。かなり重そうで、店主は額に汗を浮かべていた。


「金貨で300枚入っております」


 さ、さんびゃく・・・


「あ、ありがとう・・・」


「いえいえ、マスターナイト様にご利用されただけでも嬉しいですよ」


 また、マスターナイトかよ。そろそろ訂正させてもらわねば。


「店主、昔俺がなんて呼ばれてたかは知らないけど、今の俺はただのフィード。一人の()()冒険者だ」



魔獣紹介

No.1:ブラッディウルフ

 ウルフの上位種。黒い毛並みと真っ赤な牙が特徴。単体ではさほど恐ろしくはないが、他のウルフと連携を取られると厄介。ギルドによる危険度:C


No.2:シルフィードベア

 風の魔法が使える熊の魔獣。体の一部が緑がかっている。巨体のくせに速い。風の爪をつくって飛ばすこともできる。ギルドによる危険度:B〜B+


No.3:ダークボルトタイガー

 黒い雷を纏う虎の魔獣。雷帝の異名をもつ。黒雷に注意が向きがちだが、身体能力も高く、黒雷が効かなかった時は、自ら猛スピードで突っ込んで攻撃してくる。ギルドによる危険度:A+以上

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