俺の悩みはノエルの事情
お久しぶりです!
お待たせしてごめんなさい!
・・・なんか、しょっちゅう謝ってる気がする。
ノエルに名乗ってないことを指摘されてからすこしして。
「・・・じゃあ、フィードさんはこれから王都に行くの?」
街を出た後のことを説明すると、ノエルがそう質問してきた。
「ああ。とりあえずは王都に行って、ギルドでランク上げと生活費や装備代稼ぎをかねて依頼をこなすかな。まぁ、今は最低ランクだから簡単なやつとか雑用しか受けられないだろうけど」
「・・・そう、そっか。そうなんだね」
「え、何?どうしたんだ?」
忘れていたが、ここはそこかしこを青い影が漂う幻惑の森だ。こんな場所でどんよりした雰囲気を纏わないでよ、怖いから。
「・・・言ってなかったけど、わたしは王都から来たの。だから・・・」
「あ、もしかして、元パーティメンバーと遭遇しやすい?」
コクリ
どうしようか。一緒に行くにあたって、すぐに再会とかは心情的によろしくないよな、多分。
「・・・気にしないで。わたしは勝手についていくから」
と言われてもなぁ・・・
再登場は突然だった。俺は必死に思考をめぐらせていたから気づかなかったのだろう。
「話ハ済ンダヨウダナ」
「うわあぁっっ!?」
いつの間にか俺の背後にあの幽霊さんがいた。おい、今絶―対に寿命縮んだぞ・・・このやろうめ。しかし、そんな俺の様子を気にする―素振りも見せない幽霊さん。
「森ヲ出ルノカ?出ルノダロウ?ヨクヤッテクレタ」
おい、半透明幽霊のくせに目を輝かすな。キャラがぐちゃぐちゃだぞ。
「いや、まだ出ていけないんだ」
「ナゼダ!?」
ずいっと詰め寄ってくる幽霊さん。いつかの店主を思い出す光景だ。つい少し前の話だけど。
「えっと、だな。実は―――――――」
◇ ◇ ◇
数時間後、俺とノエルは森を抜けて、もうすぐ王都だというところまで来ていた。
ん?最短でも10日かかるハズだろって?それがなんと、幽霊さんが手伝ってくれたのだ。なんでも幻惑を逆の利用の仕方をして、ないものを見せるというのをあるものをなくすにしてしまったらしい。反則だろ、そんなの。
そんなわけで、内心は必要日数を1/10にしてしまった幽霊さんの謎のチカラに首をかしげつつ、王都への道を歩いているのだった。
もうすぐ王都!
ちなみに、ノエルの遭遇対策もちゃんとあります。