表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Koloroー私は夜空を知らないー  作者: She Line
太陽に憧れる女
29/35

第二十七話 そして私は旅立つ

馬車で家に着いたころ、私の頭はようやっと冷えた。気がしていたが、やはり突然のことに頭はついていってなかったようだ。

ルーノがこの街を出るというのだ。馬鹿げたことを彼は突然言った。


この街を出るということは、この教会を置いて出て行くということ。

この教会に来る人達はルーノの力が無いと生きて行けない人達で、私達はそれを見捨てて違う街に行くのだと、彼は言ったのだ。

この世界に来て初めて、彼の言っている意味が、いや、意図が分からなかった。

馬車で吐血したから?だから治療が必要なの?その問いに彼は答えてくれなかった。


家に帰ってくると、公爵家の家にいたはずの蛇王さんが勝手に我が家のソファで寛いでいた。私はそれに突っ込む余裕もなく、茫然と見つめているとルーノも驚く様子なく彼女に問いかけた。

「聞いてたのか」

「うん。でもまぁ、一応念のため思ってな。あんた、言わんと思って」

「…黄の街(イエロータウン)へと行く」

「正しい選択やな。【二回目】、やもんねぇ。

あいつらもそろそろ気づき始めてるわ。こっちじゃどうにもできひん」

「…悪い」

「部屋にすっこんで支度しぃ。うちが説明しといたる」

彼は彼女の言う通り、部屋の奥へと入っていくと彼女は私を机のほうへと招いた。

彼女がパチリと指を鳴らすと空のコップに温かいお茶が入った。魔法を使ったようだ。

「あの、蛇王さんは、なんでここに…」

「ほんとはな。適任者がもう一人おってんけど…。まぁ、忙しくて。

で?急な引っ越しの内容はわかっとるん?」

「正直、何が何だか…」

彼女はマイコップを持ってきていたのか、見たこともない鮮やかな白藍(しらあい)のコップで同じ飲み物を飲んでいるようだった。中身は煎茶。飲んでみると懐かしい日本茶の味がした。

「ルーノとうちの共通点ってなんやと思う?」

「え」

「っていってもわからんわな。はい答え」

彼女はポケットから八角星のピアスを出した。何故、身につけていないのだろう。

「あいつもこれ、持っとるねん」

「え」

即ちそれは、お揃い…。

「ある組織っちゅうの?のメンバーのみが持ってることを許されるピアス。わかるな?」

「…ある、組織…」

「うん。で、まぁ、その組織のこと詳しく話すつもりはないねんけど…。

いや、話さなあんた気ぃすまへんわな」

「あの」

「【黒の竜(ブラックドラゴン)】。あんたならどっかで聞いたことあるやろ」

彼女の言葉に驚愕した。


彼女とルーノを繋ぎとめるのは【黒の竜(ブラックドラゴン)】。

ある、組織の名前。それはビターくんから聞いた名前で。

確か、連合軍だったはず。それにルーノが加入している。

だからビターくんはルーノの妹である私なら知っていると思っていた、のか。


「【黒の竜(ブラックドラゴン)】の反対組織が【白の翼】。

で、【白の翼】はあんたの命を狙っとる」

「私の?」

一体なぜ。

「うん。ちょっと今回、やりすぎちゃったし」

「やりすぎたって何が」

「ちょっとな。あんた二回も魔法暴発させたし。

うちらも収集つかないくらい…まぁ、仕事したんや」

彼女の言葉に私は首を傾げた。いや、首を傾げるどころではない。

「待って。魔法を暴発?私が?」

「…あれ、無自覚やったん…!?あんな巨大魔法を!?」

「巨大魔法って?いつ?」

「…いや、まさか…。いや、うん。そこまで何もわかってないとは…」

私の言葉に彼女は手に持っているコップをくるくると回し始めた。

「兎にも角にも、あんたの魔法は人とは違う。それを狙い、殺すのが【白の翼】や」

じゃあ、私が無自覚だったとしても魔法を暴発させたことによってその人達に狙われる対象になったってこと…?だから、この街から出なきゃいけなくなってしまったということ…?

「あんたがその魔法を使えることは…この世界に来た時からわかってた」

「え」

この人、私がこの世界に異世界トリップしたってこと知ってるの!?

ルーノの友人だから?それとも【黒の竜(ブラックドラゴン)】に入っているから?

「なぁ、あんたの魔法。特別って言ったよな」

「は、はい」

「この世界の魔法は何がエネルギーかは、知ってるやんな」

彼女の問いに私はもちろんと頷いた。必死にこの世界のことを勉強してきたのだ。間違えるわけがない。

「…命、ですよね」

「そう。でもあんたの魔法は命を使わない魔法」

私は彼女の答えにどう反応していいのかわからなかった。驚き、それでいて何とも言えない心の靄が広がっていくこの感覚。一体私の体の何処にそんな魔法を使える力があったのだ。

「あんたが暴発させたんは仕方ないねん。それはやり方を知らないとあかん」

「やり方…」

「使い方って言うの?まぁ、兎にも角にも、これ以上暴発させたら新しい場所でもまた奴らはあんたの命を狙う。その度に移動するなんて面倒なことこの上ないやろ」

つまり、は、だ。私がこのまま無自覚でも自覚があっても魔法を暴発している以上、私の使う魔法を気に入っていない【白の翼】という人達が私を殺しにくる。その度に、身を隠すために旅を続けなければいけない、ということ。

…それはわかる。だが、何故、私の魔法が使うことをその人達は気に入っていないのだ。

「…その魔法を使うには感情をコントロールせなあかん」

「…感情…?」

「あんた。感情幾つか欠落しとるやろ」

「え…」

「この世界に来る前も、来た後も、あんた大人しいいい子ちゃんしてたんちゃうの?」

彼女の言葉に唖然として、茫然とした。いい子ちゃん?私が?

勉強だって適当にしかしなかったし、掃除だって完ぺきとはいえなかった。やることはやってたけどやらないことはやらない。これのどこがいい子ちゃんだと言うのか。

私がいつ、いい子ちゃんでいたのか。

「ゲタゲタと転げまわるように笑った?」

彼女は問いを続ける。

「ちょっとしたことで怒り狂ったことあった?何かに夢中になって時間忘れたことある?誰かと比べて嫉妬しまくったことなかった?どうでもいいことで悲しくて泣きじゃくった日は?」

彼女が怒涛のように並べられた感情たちは、ここ最近なかったものだ。


だって、この世界があまりにも平和すぎて…。


…この世界?いや、元の世界でも、なかった…?。


(仕方ないから)

(私のほうが大人にならなきゃ)

(私が我慢すれば)

(私が、我慢すれば…)


でもそれは、正しいことなのではないのか?転げまわったって、怒り狂ったって、夢中になりすぎたって、嫉妬しまくったって、泣きじゃくったって、何にもいいことない。

「これ、感情欠落してるんじゃなくて、大人になった証だと」

言い返してやりたかった。自分を否定された気分だった。

でも、私より彼女の方が強く言葉を発した。

「大人になるんが感情の欠落やなんて思うとるん。阿保やな。阿保くさ」

言い返そうとしたら言い返された。なんだか、どうしていいのかわからなくて、自分が感情を失ってるなんて嘘のようで。何かを彼女が間違えているのではないか、なんて。

そもそも、つい最近出会ったばかりの彼女に何をそんなに言われなくてはならないのか。私にも嫌がる気持ちや、辛い気持ちがあって…あって…。

「別に、あんたが悪いんちゃう。でも、このままやったらあかん」

彼女の言葉が頭の中で木霊した。このままではいけない。

「正しい感情を持つことが、正しい魔法を使う大きな手段。このままじゃあんた、逃げ続けなあかんくなる。その魔法の力も知らんまま。我慢していい子ちゃんして、聡明で賢いフリして空気読めたら魔法が使えるなんて馬鹿な話あらへん。あんたは、あんただけでも正しい感情取り戻さないとあかん!!!」

彼女の言葉が静かな家に響き渡った。彼女は怒ったのだ。私のために。

「…ごめん。怒鳴るのは、違うよな」

それは辛い感情に感じるが、私が感情を失ったことを責めているわけじゃない。

でも、彼女の正しい感情の意味が分かっていない私は…。

「【白の翼】から逃げるため、あんたの感情取り戻して魔法を正しく使うため。

そんで、あんたがこの世界で…何を学び、何を感じ取り、何を選ぶか。

…ルーノは…あんたを正しく導いてくれる」

彼女は何故、こんなにも私に必死になってくれているのだろう。

「私が、正しく魔法を使うことは…貴方達(黒の竜)の為に、なるの?」

それは、ルーノのためにもなるのだろうか。この場所に居続ける以上のメリットがあるのか。

「…それはあんたの目で確かめ」

彼女は強い瞳で私を見つめた。


この街から出ること、それは悪魔祓いを受けに来ていた子達を見捨てること。


“ウサギさんが…”


あの時、悪魔(インクーボ)の憑りつかれていたあの子を私が救えたのは…。

もしもこれが、もっともっと多くの人達を救う力になるのなら。


「私、行きます。【黄の街(イエロータウン)】へ」


私は皆を救う太陽になりたい。

それが、ルーノの救いになれるのならば。





【Black town He side】


【ルーン】を正しく使うこと。それは自然と共鳴すること。

自然とは四元素であり、火、風、土、水。そして闇と光がある。

空には太陽が一つあって、対になるように月が二つある。

自然から祝福を受けることで初めて【ルーン】を使うことができ。

それは世界の脅威となり加護となる。


空を覆うのは濃鼠(こいねず)の雲。地面を覆うは白鼠(しろねず)の雪。

彼女の愛憎、()(太陽)


彼女への悲願、黒羽(くろは)色のこの姿。


北に輝いた白花(しらはな)色の星は地平線(世界の外)へと堕ちた。

空に輝いていた薄桜(うすざくら)の太陽は火色(ひいろ)に焼かれた。


月白(げっぱく)(乙女)が観ているのはどんな夢か…。



雪色(せっしょく)の神子は何を見る。


「本当に…俺達の人生は…物語(ドラマ)のようだ」


片割れのあの子に声をかけた。

まだ俺の声は、彼女に届くだろうか。


遠くの街で狼が鳴いた。



Next place……Yellow town………


His name……Jaune…He is the……………………………





【第二章 男が鳴らすは終焉のらっぱ】

今回も読んでいただいてありがとうございます!


最近は、寝たっきりだったり、起きたら起きたで何かと用事があってなかなか時間が取れず、更新が遅くなってしまったのに、あまり長い内容でなくて申し訳ありません…。

そして、今回にて第一章「太陽に憧れる女」は終了です!


また黒の街には戻ってきたいなーとは思うのですが、戻ってこれるかな…←


今度の黄の街は喜びの街。芸術の街です。

音楽から、舞台や絵に…と、色々と見せれたらなと思っています。

そう考えると何にもなかったな、黒の街(笑)


基本、教会と家の行ったり来たりでしたからね。

今度からは場所もどんどん広がりますから、迷子にならないようしっかりついてきてください!


それでは第二章に参りましょう!!


いつもご愛読ありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ