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撫子国王女、育成計画  作者: Mimiru☆
25/26

終幕、真実に込められた愛

激闘の中、とうとう明かされたボスの正体は・・・


長きにわたった戦いが、いよいよ終幕!!

『私ね、宝石とかキラキラしたものが大好きなの。絵里香ちゃんは興味ない?』

昔からヒナは、宝石が好きだった。

女の子なら誰だって憧れるから、何も不思議に思ったりはしなかったけど。

今なら、なんとなくわかる気がする。

力づくで押し倒した敵のボス、パール。

その仮面の下に隠されていたのは、僕がよく知っている顔だった。

「嘘……なんで、ヒナが……?」

「驚いた?」

「驚いたも何も……どういうこと? 撫子国をこんなにしたのは、君なの?」

「ごめんね、絵里香。私、こう見えて宇宙人なのよ」

そう笑う彼女は、いつもと変わらないヒナそのものだった。

信じられないというように見ているのは、僕だけでない。

彼女を見たことがある、紫苑も同じだ。

透君は傷ついた箇所をかばうように、体を起こす。

「パール……様……あなたは……」

「薔薇帝国が滅びた時、私は小学一年生だった。ここにいるジェードとガーネットともに、地球で暮らしていたの」

そういえば、ヒナは途中から転入生としてやってきたような……

昔から一緒にいるのが当たり前だったせいか、すっかり忘れていたけど。

「地球で暮らす半面、許すことができなかった。国を滅ぼし、自分たちのやりたい放題やっている撫子国が。そんな時、国の最後の砦であるあなたと出会った」

「僕が砦だって、最初から知ってたの……?」

「ええ。しらしめてやりたかったの、国を失ったものの末路を。自分の過ちに気が付いたのは、呉羽君がこの星にやって来た時だった。だから始めたの。撫子国王女の育成計画を」

えっと、つまりどういうことだ?

敵だと思っていた彼女達は味方で、根っからの悪人じゃないってこと?

ううむ、難しいことは相変わらずわからん!

「つまりはなから、俺達を殺す気はなかった……そういいたいのか」

「今あなた達に見せているこの宝石の拠点は、あくまでも幻覚。ここまで演技するの、大変だったんだからね?」

「じゃ、じゃあ四つ目の花も……!」

「もちろん、渡すわ。十分絵里香は、撫子国王女にふさわしいってわかったから」

ヒナの笑みに、思わず力が抜ける。

ぺたんと座り込みながら、はあっと深いため息をついてしまった。

これでやっと、終わったんだ……

「……なんというか、すっきりしねぇ終わり方だな」

「あら、不満? 呉羽君は戦いで蹴りをつけたかったの?」

「お前のやり方が不満なんだよ。こいつにかかわる奴は、変わったやつばっかりだな」

そういう紫苑の顔は、なんだかすがすがしく思えた。

僕自身も、うれしい反面本当に終わったのかと疑いたくもなる。

思えば、色々あったもんね。僕達。

「ジェード。ガーネットの様子は?」

「あれくらいで死んでくれたら、僕的にも助かるんですけどね。そう簡単に死にませんよ。まったく、ひどい仕打ちですね。演技とはいえ」

「命かけてくれるって言ってくれたでしょ?」

「……まったく、あなたって人は」

呆れたように話している透君を、ちらりと横眼でみる。

彼は相変わらずの微笑で、僕に笑いかけて見せた。

「絵里香」

呼ばれて振り返ると、紫苑が笑っていた。

優しく、ふっと。

彼の手には、今まで取って来た三つの花があった。

後ろの方に桔梗さんも、カトレアさんも見守るように僕を見ていて……

僕が三つの花を手に取ろうとすると、同時にきれいな光を帯びた。

するとヒナの方にあったたであろう最後の花が、顔を出す。

四つの花が、僕を囲むように光り輝く。

『撫子国最後の砦、奥村絵里香様。確認。願い事は何でしょうか』

願い事……

思わず紫苑たちの方を見る。

彼は何も言わず、こくりとうなずいて見せた。

そんなのきかなくてもわかってる、からね。

最初から願い事なんか、決まってた。

僕にできることは、これくらいだから。

「撫子国を、蘇らしてほしいですっ! 花も緑もあった、昔と同じように!」

僕の叫びに呼応するように、光りがばあっと開けてゆく。

あまりのまぶしさに、僕は目を閉じたのだった。

ゆっくり目を開けると、そこに広がっていたのはきれいな緑だった。

きれいな花が一面に咲き、数々の花びらが風で待っている。

宝石だらけだったのが嘘のよう、町や城まで元通りだ。

「これが、撫子国なんですね……! 桔梗さん!」

「ええ、間違いなく元通りですよ」

「……これが……滅ぼされる前の……」

感動しているのか、紫苑の顔は心なしかうれしそうにも見えた。

桔梗さんに回想で見せてもらったのと、全く同じだ。

これで、本当に……

「終わったんだね、何もかも……」

元に戻った撫子国を眺めながら、僕は静かに涙を流したのだったー


「ガーネット~いつまで寝てるの~? 撫子国、もう蘇ったよ~?」

聞きなれた声がする。

ぱっと目を開けると、彼女の目の前には透がいた。

彼女―ガーネットは勢いよく体を起こすと、思いっきり透の顔と当たった。

「いった……なんなの、急に」

「それはこっちのセリフや! 何がどうなっとるんねん!」

「まんまとやられたんだよ、パール様の演技にね」

呆れるようにつぶやく透の視線の先には、すっかり元に戻った城がある。

かつて住んでいた人民たちも生き返り、歓喜でにぎわっている。

すれ違う人たちは、寄せ集められるように城へと走ってゆく。

まるで何かが始まるのを待っているかのように。

「なんかようわからんくなってきたわ……んで、うちらはどうなるん?」

「ここに住んでもいいし、地球に戻ってもいいって言ってたよ。僕は絵里香ちゃん次第かな」

「あんたはこのままでええんか? あの女のこと、本気で好きだったんなら、横取りしようとか思わへんの?」

「それはないよ。あの子はいつも、まっすぐ彼を見ているから」

そういいながら透は、くすっと笑って見せた。


(続く・・・)

予告通り、えっ!? という展開になってます。私の力量不足でごめんなさい・・・

ラブ&ピースってことで、これでいいですよね笑


次回、堂々の最終回です!!!

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