現在(いま)の生活(ライフ)
またまた謎の場所『エンドオブワールド かも』で……
僕は、何かと対峙していた。なんなのかはわからない。だって初めて見る生き物なんだもの……
なにをすればいいのかもわからない。向こうがなにをしてくるのかもわからない。
ただわかることは一つだけある。 それは……
お互いに相手を見つめ合っている。
それだけだ。
うん。どうでもいいよね……
だからなに?……だよね……
こうなったのには訳がある。
僕は今、死後の世界にいるらしい。
でも僕は、死んではいない。
ではなぜ、僕がここにいるのか?
全ては……
あの大天使エリウルの告げたあの言葉から始まった。
こう考えていたにもかかわらず、初見の生き物はなにもしてこない。
この場から離れようか……
見て見ぬふりでいこう。
……と、僕が背を向けた時には、
もう……終わっていた。
ん〜?具体的にはどう説明したらいいのだろうか?
今、あの大天使の目の前にいるんだけど……
どういうことだろうか?
「はぁ〜……」
大天使は深くため息をつきながら、
「あなたは本当にこの世界をわかっているのですか?!」
「いやいやいや、来たばっかりでわかるわけないじゃん!」
これ、普通でしょ?!
「あなたはまだ、生きているのですよ。ここで死ぬことは許されません」
「死ぬことって……僕と出会った時、殺そうとしてなかったっけ?」
「さて?なんのことでしょうか?」
「おいっ!」
とぼけた!こいつとぼけやがった!
大天使そんなんでいいのかよ……
心の中でそう思いつつ、大天使は話を続けた。
「そんなことより……」
そんなことって、なんだよ……
「つい先ほど、あなたは『シル・ドローン』と遭遇しました」
「シル……ドローン?」
聞いたことないよ、そんな名前……
一体どこの生き物なんだよ……
あ、『エンドオブワールド』か……
「シル・ドローンとは、簡単に言えば普通のドローンのことです。ただし、ドローンは誰かが動かさなくてはなりませんが、シル・ドローンの場合は別です。シル・ドローンには生命が宿っており、意識的に体を動かすことが可能です。さらに、すごいのはそこだけでなく、体を変形できるところにあります。見たものを直接脳に焼き付け、それを体で覚えます。さらには……」
いつまで喋ってるんだ……?
「さらには、なんでも捕食するところです。変形した場合、その個体にあった食料を欲します。例えば、人型になった場合、人がいつも食べるものをシル・ドローンは欲しがります。このように……」
だから……もういい加減終わってくれないかな?
いつも僕の心の見透かしてたんじゃないのかよ……?
「先ほど、あなたが遭遇したシル・ドローンはケルベロス型でした……」
うん、初めっからそこからいってほしかったな!
「ケルベロスはこの世界では肉食系動物です。あなたのいた世界でいうライオンやトラの一種だと思ってください。」
「へ〜……ん?ということはつまり……」
まさかとは思うが……
「はい、あなたは捕食されそうになりましたよ」
「やっぱりそうか……」
じゃあ、僕が死にそうになったのをこの大天使が助けてくれた……ということなのか……
「なんか、借りを作ってしまったみたいですね……」
「いいえ。そんなものは必要ありません。私は、私の望みをあなたに叶えてほしいのです。ここで借りを作ってしまったのではこの望みは叶いません」
この時の大天使の目は、真っ直ぐで純粋で……
でも、少し哀しさを表している瞳の色をしていた。
「では、次は必ず身を危険にさらさないでくださいね?」
「はい、わかってます」
少し落ち着いた僕は、再び大天使の望みを叶えるために
あの『エンドオブワールド』に……足を踏み入れた。
でも、やっぱり……
「グガァァァァァァァァ!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
またしても、見たことのない生き物と出会ってしまった……
しかも今回は……どこかのSFに出てきそうな巨大なドラゴン……
に似てるが……少し違う。
だって、下半身が……
人型……なんだもの……
上半身ドラゴン、下半身人型……
なにここ……
こんな世界で大天使の望みなんか……
「僕が叶えられるわけないだろぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
と叫びながら全力疾走していた僕でした。
炎で焼かれたので、
下半身……
パンツ一枚のままで……