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死後世界の生死生活(ダイライフ)  作者: アンティア★
2/4

過去の生活(ライフ)

「今日はついてないだろうなぁ〜」

こんなことを呟きながら登校するのは、僕は初めてだった。それも仕方あるまい。だって、いきなり女の子がぶつかってきたのだから。


まだ、頬が少し痛い。

さっきので少し時間を食らったから急がないと……

そう思いつつも、体が痛くてそれほどペースが上がってない。さっきの衝突で、少し擦りむいたのか血が出ている。深くはないが痛みはある。

学校着いたら、保健室で手当てしてもらおうか……

そう呟きながら、僕は歩き続けた。


周囲の目を引き寄せながら……


それにしてもさっきの子は、一体なんだったんだろう?


ぶつかるのはよくあるギャルゲーのことだ。そこからいろんな展開へと進化していくのが常識だ。ただ、僕の場合はまた別だ。スカートの中が見えてしまうのは仕方ない。だが、見えたものがアレ……そして、頬を引っ叩かれ逃げられて終わり。

あれ?なんか悲しくね?

普通だったらこう、そこから二人は恋に落ちていくパターンじゃないのか?

それは二次元か。まぁいい。今は早く学校へ行って傷の手当てを……!


「ど、どいて〜!」

「またかぁぁぁ!」

ガシャン!

「「いっててて……」」

いや、同時に言うなよ……

今度は、背後からの衝突だった。とても痛かった。でも、そんなことより向こうが派手に倒れているので心配になった。


「だ、大丈夫ですか…?」

倒れている子に声をかけてみた。

「あ、いえ、そちらこそ大丈夫ですか?」

「え、あ、僕は大丈夫ですよ」

「はぁ……良かったぁ〜!」

へぇ〜、意外といい笑顔するじゃん。

って、何考えてんだ俺……


「君は僕と同じ使音峯(しおとね)学園の生徒?」

「はいっ、そうですが……」

「そっか。僕は天宮司空音(てんぐうじそらね)。一年生で文芸部に所属してる。」

「私は中塚(なかつか)智絵(ともえ)って言います。私は今日からこの学園に転入することになっています」

「転校生さんっ?!」

「はいっ!これからよろしくお願いします!」

「あ、う、うん、こちらこそ……」


……って待て待て待て待て待て待て待て待て待て待てぇぇ!

この展開って……まさか……!


「あの〜、どうかしましたか?」

「えっ?!」

やばいっ!変な顔になってたか?!

「う、ううん、別になんでもないよ!」

(この返し方って100パーセント裏があるってわかるんじゃないのかっ?!)

「ふ〜ん」

察してはいないようだった。

「良かったぁ〜」

僕は少し小声で呟いていた。


……

沈黙。

……

まだ沈黙。

……

まだまだ沈黙。

……

どうしよう……?

……

この状況どうしよう……?

……

ねぇねぇ?

……

ねぇねぇねぇ?

……

誰に問いかけたんだ、僕?

……



「あ、あの〜?」

僕の心の声が聞こえたのかぁぁぁ?!

「は、はいっ!」

少々同様してしまった。

「よかったら、学園まで案内してもらえませんか?」

「えっ?!」

えっ……いま、なんて……?

「ごめん、もう一回言ってもらえるかな?」

聞き間違いじゃ……ないよな……?

「よかったらでいいので、学園まで案内してもらえませんか?」

「も、もちろんっ!」

僕、即答。

智絵さんは……

「ありがとうございますっ!」

最高の笑顔 (だと思う)を僕に見せてくれた。



その後は、しっかりと智絵さんを学園まで案内し職員室前で別れた。


保健室に行くの忘れてた……



放課後、


「なぁ空音?お前、転校生のこと知ってるか?」

阿良翔(あらと)か。どうしたんだ急に?」

「美少女で、いまそのクラスで大人気って噂が流れてんだ。空音は知ってんのかなと思ってな。」

「知ってるも何も、今朝登校中に背後から激突してきたんだよ。」

「何じゃそりゃ!」

「声がでかい……!」

「あ、悪りぃ」


……


この人は、獅子比(ししくら)阿良翔(あらと)。中学からの付き合いで、僕らの関係は普通の友達だ。とても活発的な人で見た感じ頼り甲斐があるように見えるが、実際はそうではない。

委員会の仕事で荷物を運ぶ時、阿良翔は決まってこける人だ。何もない普通の廊下で。


「それじゃあ空音、いまから見に行かないか?」

「なんで僕が一緒なんだ?」

「知り合いがいればまだ少しは話しかけやすいだろう?」

「あれを知り合いと受け止めるのは、どうかと思うが?

「まぁそう言わずにさ。一人だと心細いんだ、早く行こうぜ。」

地味に本音で語ってるが、そこは突っ込まないでおこう。

「わかったよ。トイレ済ませてから行くから」

「漏らすなよ!」

(誰が漏らすかっ!恥ずかしいどころじゃないわっ!)

内心で突っ込みつつ、僕はトイレに向かっていった。



……



静かだなぁ……

こういった場所は少し落ち着く……

……い、いまのはトイレがいいって言ったわけじゃないぞっ!


だから、誰に言ってるんだ僕は……?


……



やけに静かだな?


この学園のトイレは中の音は聞こえないが、外からの声は嫌ってほど聞こえてくる。でも、いまはその声が全く聞こえない。

みんなどうしたんだろう?



トイレを済ませた僕はトイレから出た。



……



でも、出てきた先にあったのは、いつもの光景じゃなかった。

少し明るいはずの放課後でも、ここは真っ暗だった。


何も見えない。


何も感じない。


何も聞こえない。


(……ね、 ……ね……)


ん?なんか聞こえたような、そうでもないような?


(……ね、 ……らね……)


うん、なんか聞こえる。でもうまく聞き取れない。


(……らね、 ……そらね……)


僕の名前を呼んでいるのか?でも、いったいどこから……?


(……そらね…… ……こっちです……)


後ろにいるのか?

そこから聞こえたので僕は後ろに振り向いた。



……




でも、もう何もすることができなかった……



けど、わかったことが一つだけあった。



それは……




僕が今から、殺されることを……


















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