分岐開始
ダンジョンに中国人女性と一緒に転送されることはなかった。俺はとりあえず脱法ドラッグをしこたま吸い込んで、死ぬほど吸い込めるか試してみた。作業はゴーレムに任せておけば良い。
〜最悪な〜〜気分〜〜
気持ち良いことなんて何もない。認識がおかしくなるだけで、何も気持ち良いことなんてない。
案の定俺は過剰に吸いすぎて死んだ、多分窒息死だろうと思う。寝ゲロってやつ。
「残念だったなあ、ようやく初心者期間があけたのに」
「え、マッチョ?」
どうしてか俺はマッチョの部屋にいた。
「これな、紹介した人間が死んだら終わりなんだよ。終わったら紹介元のとこに送られてくる」
「え?」
「お前さ、普通呼び出されたからって待機してなかったらお前んとこにすぐ行ったりできねえよ」
「あ、お前の紹介だったの?」
「そうだよ、それでお前も誰か一人にゲームを紹介できる。詳しいことはわからないから、俺に聞いてもしかたないぞ」
「そっかあ。実はお前も儲かってたの?」
「ああ、俺鎌倉に家建てたよ、日本に3台くらいしか入ってなかった筋トレマシン買って、めっちゃ良いラークオールっていう天然毛のベッド買ったわ、まじ最高」
「いいなあ」
「お前も楽しめよ」
「なあ、ダンジョンってこれからどうなるんだろ?」
「心配なら誰か紹介しろよ」
誰かに紹介する、紹介しても何のメリットもない、メリットはないが、紹介した相手は確実に人生好転するんじゃないか。
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客が突然目の前で消えたら、驚くか?いや、ちょっと薬の影響で幻覚でも見ていたんだろうか・・・しかし金をもらっていない、金をもらっていないのに逃げられたら、悔しい
マンションの一室で叫び出す中国人女性。次の日、その客が金を払いに来た。
「昨日の分、これ、それじゃ!」
「待ってよ!おにさん待ってって!!」
「おにさんなんで昨日消えたの!!」
「え、ごめんごめん!」
「いい、わかた、おにさんさ、ちょっと息子の面倒みてよ!」
「なんて?」
「子供この下の階にいるの!面倒みて!」
「え、何歳?」
「おっきいよ、大人じゃないけど!」
「えー」
「昨日家帰ってお客さん消えたて彼氏に言ったら逃げたよ!やれ!あんたのせい!」
「わかった、やるから静かにしてよ」
紹介を受けて母親の仕事が終わるまで面倒を見る羽目になるが、それはそれで面倒くさい。
「劉くんさ、学校行ってる?」
「行ってない」
「そうなんだー」
「あの人母親じゃないから」
「あ、そうなの?」
「俺、劉って言われてるけどさ」
「うん」
「俺この前わかっちゃったんだよね、交番に貼ってあったの」
「うん」
「俺あの人たちに誘拐されてたんだよ」
「え、ほんとに?」
「うん。俺と一緒に交番行ってくれない?」
「えー、それだと俺犯罪者になっちゃう」
「俺さあ、態度にでちゃうからさあ、昨日親父いなくなったしさあ、やばいと思うんだよ」
「それはお母さんがキレたからじゃないの?」
「違うよ」
「そうなんか」
「俺電話番号控えたんさ。俺あざがあんの、子供の頃からの、これ本当の家族に見せたらさ、なんとかなると思うの」
「そっかあ」
「電話かしてよ」
「でも俺事情聞かれちゃうもん」
「じゃあおっさん、俺が大きくなるまでで良いから育ててくんないかな」
「えーー」
「男の娘ってしってる?」
「わかるけど」
「これ見てくれよ」
少年は押入れからアルバムを取り出した。
「これ。これの撮影で金になんのね、俺の食費とか稼ぐからさ、頼むよ」
「やーでもさ、劉くんが誘拐されたって証拠もないじゃん」
「交番すぐそこだからみてきてよ、間違いなく俺なんだよ」
「だとしてもさあ、俺子供一人の面倒見れないって、人生抱えるとか重いもん」
「頼むよ」
「あー、俺部屋はいっぱいあるからさ、勝手に住んで」
「部屋あったって俺一人じゃなんもできない」
「いや、仕事ある」
「撮影とか、立ってるだけとかじゃないときつい」
「大丈夫。それは慣れる。死ぬ気になればなんとでもなるからさ」
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