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おっさん

俺がダンジョンに行っている間、部屋はどうなっているのかと思って俺は監視カメラをセットした。金がどこから現れるのかも知りたい。


映像を見る限り、俺の体は部屋にあった、あったが、動画のはずが静止画のような・・・


つまりこれは、俺の部屋の中が時間停止していると考えて良い。

そして俺が戻ると同時に、現金と俺の意識が部屋にやってくると。


深くいところは考えないでおこう、金は増えていく一方だ。


しかし、数回ダンジョンに潜ってみて、いや、あれはダンジョンとはまだ言えない。通路もない。


ダンジョンはやはり迷宮のような道とか部屋とかがいっぱいあるもんでしょう。


そうすると、これだけ金もらってるんだから早く完成させてあげたい・・・


なんか悪い気がしてきた。ゴーレム働かせてるだけでこんなに・・・


まあ金ってそういうもんだよな。偉い奴ら()は額に汗せず金を集めてる。俺もそうなったわけだ、金ってなんなんだろうな。まあ一生働かないで暮らせる額はたまった、俺は恩を仇では返さない。


掘削と言ったら、ダイナマイトだろう。よし、ダイナマイトを買うぞ。


と思ったが、発破の資格があるわけでなし・・・検索したら墨田区に本社を持っている株式会社を見つけた、ここの倉庫に行って、時間になったら倉庫の火薬ごとダンジョンに飛べば良い。


俺は早速現ナマ持ってタクシーに乗った。首都高5号線を経由して20分弱で到着した俺は、アポなし、一応くたびれたスーツスタイルで話をさせてもらった。



「初めまして、営業部の橋谷と言います」

「すいません、いきなりだったのに」

「いえいえ、それで本日はどういったご用件で?」

「はい、実はダイナマイトを購入したいと考えていまして」

「申し訳ありません、ダイナマイトは現在製造も販売もしていないんです」

「え?」

「今はアンフォ爆薬というものを扱っていまして、こちらはダイナマイトよりも安定しているんですよ、だからもうダイナマイトは取り扱っていないんです」

「そうなんですね、ここに現物ってあるんでしょうか?」

「いや、ここにそんな危ないもの置いておけませんよ」

「それもそうですよね、倉庫とか近くにあるんですか?」

「あるにはありますけど、工事現場で使われるとか?」

「いや、実は山持ってるんですけど、最近の雨で土砂崩れが起きてるところがあって、そこ通らないと先祖の墓にいけないんですよ」

「それでしたら業者さんに相談したほうが」

「いや、この土地が先祖代々の土地なんです」

「資格のない方に販売することはできませんし」

「これでどうですか、倉庫内に置いておいてもらえたら有資格者を後で連れてきます」


俺は500万をテーブルに置いた。相手はうろたえて


「な、お客さん、しまってください」

「本当に買う気できたんです、もっとかかるなら払います、先祖の墓が・・・」


俺はちょっとやばい人間を装ってみた。


「あのですね、いやうちが小さな工場だったらまだわかりませんけどね、無理ですよ。扱ってるものは爆発物ですよ?そんなデタラメできません。有限会社じゃないんです、株式会社なんです。お引き取りください」


「じゃあ20万払うんで、小さな工場とか教えてもらえませんか、ちょっと分けてもらえるようなとこを・・・」


「・・・いやーちょっとそれは」


橋谷さんは、多分俺が若くて身分もはっきりしてなかったから同い年くらいの、これまたさえない感じの正社員だった。20万はでかい・・・ぐらついてる。これが金の力か。


「ほんとに俺は先祖の墓を守りたいだけなんです。20万でダメなら10万追加します」


「いやわかりました、わかりました。じゃあ30万、ただしですよ、ただし俺から情報もらったとか絶対に言わないでください、ぜっっったいですよ?」


金の力か・・・


俺はこれまたタクシーをすっ飛ばして、時間になるまでに到着せねばと1時間車を走らせて小さな工場にやってきていた。ここが何の工場かは言えないが、でかい倉庫の隅にアンフォ爆薬が置いてあった。


「有資格者が後できます、現金で支払いますから、ここのアンフォ爆薬を分けてもらえませんか?」


「え、誰から聞いた?」


事務所にいたおっさんはタンクトップに手ぬぐいで暇そうにお茶飲んでた。事務所と言ってもプレハブ小屋みたいなところで、俺はいけると踏んだ。


「橋谷さんっていう」

「ああ、橋谷か。いいよいいよ」

「すいません、早急に現物が見たくてこっちに言えば譲ってもらえるってことで」


すまない橋谷さん。これが一番スムーズそうだから。金もらってんだし、実際には使わないんだし良いだろ。


俺は倉庫の中のアンフォ爆薬を確認し、おっさんに無理言って使いかたのレクチャーを受けた。素人なりのやり方でも多分いける。なんとかならあな。


「野外なら問題ないとは思うけど、台湾であった粉塵爆発みたいなこと、炭鉱とかだと怒るっていうから、気をつけろよ」

「自分がやるわけじゃないんで、そこは有資格者に任せるんで」


俺は学校の体育館程度の倉庫の中にあるいろいろな物の説明も受けた。排水装置、トラクター、コンティニアスマイナーという掘削機械もあった。


「これはいかついですねー」

「こりゃあ今も現役だが、釧路の炭坑で使ってたやつをそのまま持ってきた。調子がよけりゃあ1日で50mは掘れる」

「すごいですねー」


ガソリンの問題もあるだろうし、これはいらない。燃料があっちでどうなるか心配だし、息苦しくなりそう。


「この鉄の箱みたいなのなんですか?」

「こりゃコンテナだ。なんも入ってねえよ」

「これも欲しいですね、いくらくらいなんです?」

「18万」

「買いたいですー」

「いいぞ」


俺はコンテナの中にせっせとアンフォ爆薬を運ぶ。でっかい米袋みたいなのに入ったピンクのアンフォ爆薬。これを100キロ。6畳部屋くらい、高さは俺の身長より少し上で180cmくらいのコンテナに運び入れる。


「じゃあこの倉庫もレンタルってことにするからよお、いくら払う気できた?」

「400万が予算ですね」

「じゃあ大負けに負けて400万でいいや」

「とりあえず1年レンタルするから、まあ俺に声かけてくれ、電話番号これな。領収書とかいらねえだろ?」

「ああいいっすよ」


俺もしかしてボラれたか?とも思ったが、まあ良い。


ーダンジョンへの転送を開始しますー


よし、今日は掘るというより爆破だな。

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