床が軋む程の大金
「あああああああ!?」
俺は素っ頓狂な叫び声を上げてしまった。
ダンジョンでの成果、それをリストにしてずっと見てはいたから、金額はわかっていた。
6体、道具なしで途中からフル稼動させて、稼ぎとしては1億を超えていた。
1億、きっと部屋一面にあるんだろう・・・
そう考えていたが、実際部屋にあったのは大した量じゃなかった。重さにしたら10キロしかない。俺って、こんな、人生買える金額が、たった10キロの、これに振り回されて生きてたのか?
1万円、これ1枚持ってる時の、あの無双感はなんだったんだろう。
1万あればなんでもできる、すっげえ、全体の見えない巨大の力の一部を、俺は行使してるって気持ち。
まあ良い。
俺はインターネットで、代引きでツルハシが買えるサイトを探した。そう、代引きなら一歩も部屋から出ずになんとかなる。掘削機とかはちょっとあっちで動力が使えるのかわからないし、ガソリン持ち込むのはしんどそう。
あとアルミニたちにも軍手をつけさせよう、ふかふかの。できれば皮製の厚手のやつが良い、そうすれば柄の負担も減るだろう。
そういえばと思って、俺は北池袋の五叉路近くの土方アイテムショップを思い出した。前にプラスドライバーを買いに行ったことがある。
ダメ元で電話して、時間はあとになるが配送してくれることになった、俺は北池袋の天理教のおばあちゃんがやってる狭い部屋の2階に住んでる、あるいても20分かからない。
ツルハシは置いてなかったので、丈夫なスコップにしてもらった。これは持ち手が金属だしむしろ良いかもしれない。まあ削れれば良い。
あとハンマーがあるそうで、壁を叩いて壊すならハンマーも良いかもしれない。まあ良い。とりあえず俺は必要な物を買っていくことにした。
まず俺は近所の電気屋の電話番号を検索して電話をする。
近所だが即金で支払うので届けてくれないかとおじさんに言ってみたところ、やはり儲かってないからなのか、それが売りだからなのか良い物見繕って持って行きますよとのこと。
とりあえず共用通路の玄関で待機して、ポッケに10万入れている。
「どもー」
「あ、どもども、宜しくお願いしますー」
リュックに自転車スタイルでお出まし。
・ビデオカメラ数種類
これ。3台しかないし、メーカーは一緒。値段が違うだけだったから、とりあえず一番高いやつを買った。
これは俺が部屋にいない時の様子を知るために部屋に置いておく、監視カメラである。
「いやー金庫とか運んでくれる業者さんいないっすかねー」
「あー、どれくらいの大きさで?」
「あーダーンボールまるまる入るくらい?」
「中古でもいい?」
「あ、いいっすよー」
「いやうちにあるんですよ。家庭用金庫で、確か買った時3万だったから」
「あ、じゃあ値引きとか良いんで、お手数なんですけどうちまで運んでもらえたりしませんか?」
「あっそう?じゃああれ重いし、んーー、4万でどう?」
「いいですよ、助かります」
「いや悪いねー」
俺は部屋に戻って2万ひっつかんで合計で12万支払った。お釣りはいいっすよと言ってみたかったセリフを言えて満足。領収証切らないし、おっさんもいい小遣い稼ぎができたろう。
ーダンジョンへの転送を開始しますー
カメラはセットした。
金も金庫に入れたし、ツルハシは床に並べてスコップもろもろを抱えて待機してみる、この抱えるのが結構辛いが、運べなかったら嫌だから仕方ない。金庫もあって安心だし、今日頑張ったら明日は外にお買い物にいくぞ!!