8 旅立ったのはいいけれど 3
また迷子・・・
ごめんにゃさい。事件って・・・ただの迷子事件です・・・
そう。あたしは,またまた迷子ににゃってしまったのであ~る・・・偉そうにふんぞり返って見せても,誰も答えてくれにゃい。
どうしよぉ!~ロートぉ!!ズィルバーぁ!!!
にゃんで迷子かって言うと,トイレが原因!!!
・・・・・すみません。あたしが原因です。
トイレしてたらきれいな鳥が目の前を飛ぶから・・・ついつい・・・追いかけちゃっただけ・・・。
この本能が憎い・・
追いかけている間はもう・・・しあわせ~・・・だったけど,我に返ったら・・・だれもいにゃい・・・
とうとう立ち止まって泣き出したあたし。
がさがさがさ・・・・・音がするからびくんとにゃる。
がさっ!!!!!
ひときわ大きい「がさ」って音にあたしは頭を抱えて丸くなる
「食べてもやせているからまずいですよ~」
「おやさっきから泣き声がしたと思ったら,猫型獣人の子どもかい。」
獣人の声がしたので頭を上げたら・・・げっ。黒い毛がもっさもっさ生えている,大きな男の人だった。頭の上の方に,丸い,黒い毛の生えた耳までついている。
「見たことない獣人・・・猫じゃにゃいよね?」
「おやおや。どこから来たんだい,熊型獣人を見たことがないなんて。」
「くま?」
熊型獣人さんは,
「おらぁ,ベァーって言うんだ。ここには,全然到着しない客人を迎えに来たのさ。」
って言う。
「もうとっくに着いていなけりゃ,こっちが困るってのになぁ。迅速丁寧だって言う話はガセだったんだなぁ。」
頭を搔き搔きつぶやくように言うんだ。
「それは困るにゃ。そんな獣人は,信用できないにゃあ。」
あたしもウンウンって頷くよ。
・・・
あたしは熊さんのベァーさんに背負われて,山道を,熊型獣人の集落へと向かっている。
道の両脇は草むらだ。ちょっと離れて木があちこち生えている。今は春だとかで,白や,赤い花が咲いている木も見える。時々鳥も鳴いていて,にゃんか眠くにゃってくる。
・・
ベァーさんの背中はふかふかしている。首もふかふかの黒い毛で覆われていて,どっちかというと熊型獣人って言うより,猫みたいな獣の仲間に見える。
そのふかふかはとってもすてき。あたしはついつい手を出してなでなでしちゃう。
ふももふ・・・さわさわ・・・・うとうと・・・
ベァーさんが,
「くすぐったいから,やめてくれんかなぁあ~」
とのんびり言う。
「そういえば,ミャアコちゃんは,いったい何であんなところで泣いていたんだい?」
あたしはうとうとからはっと目覚める。急にまた悲しくなってきた。涙がぽたぽた垂れてくる。
ベァーさんの背中に,鼻水も一緒にたれたものだから,ベァーさんは慌ててしまったみたいだ。
「迷子ににゃったのぉ」
「そりゃまたなんで??」
う・・・言いたくにゃい。