4 なんでこんなことに 4
ロートお兄さんが言うには,ロート,ズィルバー,そしてみやこって言うおばあさんの3人で世界を回って温泉を探していたんだって。みやこ・・・ミャアコに似てるぞ。
何のために温泉?って言うと,以前は,この獣人国の人たちはお風呂に入る習慣がにゃかったんだって。にゃぜ?って聞いたら,
「そりゃおまえ,全身毛で覆われていたからさ。」
「獣型だったんだよ。」
「昔話の領域だけどな。」
「りょういき・・・この言葉は分からにゃい。」
話がすすまにゃい。
「・・・・とにかくそういうわけで,」
どういう訳だ????
「一緒に温泉を探しに行こう。」
「・・今の話じゃ,ちっとも分かりません。」
「ズィルバー,はしょりすぎだ。」
「でも獣型の話からじゃ,いつになっても終わらないぜ。」
いつの間にか,ズィルバーは私の脇に来て寝転んでいる。
そういえば・・・
「ここってどこ?」
あたしの問いに,
「そういうおまえはどこから来たんだよ。」
って。ズィルバー。質問に質問で答えちゃ駄目だよ。
「わかんにゃいよ。ご主人様と一緒にお引っ越ししている途中だったんだもん。」
ついでに言うと,どこに住んでいたのかも分かんにゃ~いのだった。
・・・
ここは,星徒温泉だって。ここで温泉を見つけて,掘って,どんな効能があるかを分析して,さあ次のところに行くぞって時に,突然、おばあさんが次代のにゃあにゃあを呼ぶって言いだしたんだって。
「ここの温泉は古代海水じゃ。わしはここで海に還る。最期に次代のにゃあにゃあを呼び寄せようぞ。」
ズィルバーがおばあさんのまねをしてみせる。
「ばあさんはそう言ってひらひらきらきらに変わって,あちらこちらに散っていってしまったんだ。」
それが1週間前だったそうだ。二人とも困ってしまったけれど,ばあさんが「次代のにゃあにゃあ」を連れてくるって言うから,この宿屋で待っていたんだって。
・・・
で,昨日源泉にちゃんと湯がわき出ているか最終確認に行ったら,あたしが溺れていたらしい。
死者が出たら験が悪いから慌てて助け上げたら,手にきらきらするものを握っていたそうだ。
「あれは,ばあさんのきらきらだろう。だから,おまえはにゃあにゃあの一人だよ。」
「僕は温泉の気配を感じることが出来る。」
「俺は温泉を噴出させる係だ。
で・・・おまえは,ばあさんとおんなじ仕事が出来るはずだ。」
おばあさんは,温泉の効能や成分を知ることが出来たそうだ。
そういえば・・・こっちで温かい水に落ちたとき,・臭素・ヨウ素・古代海水・・て声が聞こえた。そう言ったら,
「その通り。ここの温泉はまさにその通り。ついでに効能も分かるかい?」
って返された。
「塩分が強いので,皮膚病にいいと思う。切り傷とか・・・冷え性にもいいみたい。」
頭の中に響く声に従ってそう言ったら,二人とも満足そうに頷いた。
「明日は出発だ。」
「おばあさんを待たにゃくていいの??」
「おまえがみやこばあさんだろう。」
!!!!!!!!