34 温泉が出た 10
ズィルバーが戻ってくるまで,あたしはロートと二人で,温泉の仕上げをしたよ。
・・・・・
お湯を流すための溝にお湯を流すことも出来たし,お湯を湯船に溜めたり,流し口を作ったりも出来た。
周りの囲いもついでに岩を使って作ってみたよ。
「天井も岩で作れるかい?」
考え考えやってみたら,洞窟みたいににゃった。
ロートが,空気の通り道がいるって言ったから,陸の方と海の方に窓も開けてみた。
にゃんかかっこいくなにゃい?
それから,女の人用のお風呂を少し高い位置に引き上げた。
これにはちょっと疲れちゃった。疲れると眠くにゃることも分かったよ。
「ロート。疲れるって分かったよ。眠くにゃるんだ・・・ね・・・・ZZZZZ」
そう言ってあたしはまた眠り込んじゃったみたい。
目が覚めたらもう薄暗かった。
まだまだズィルバーもヴァイスも戻ってこにゃいので,温泉も楽しんだよ。
薄暗いけどあたし達の目はよく見えるからへっちゃら。
お湯を汲むためのひしゃくがにゃいから,せっかくの溝のお湯も手ですくうしかにゃいのが残念。ひしゃくも作れるかにゃあ・・からんからん・・・にゃにか落ちてきたよ。おっと。ひしゃくだ。何か考えにゃい方が安全かも・・・
辺りが真っ暗ににゃる頃,ズィルバーが,ヴァイスに乗って帰ってきた。
「おいおい。場所が分からなくて大変だったぜ。何でこんなに変わっているんだよ。」
「ボク,ナントナク,イチ,オボエテタカラ,カエッテコレタ。デモ マヨイソウニ ナッタ。」
ごめんね。二人とも。
「まちの連中は明日の昼頃着くように出てくるってさ。」
「ミャアコチャン ココ ドシタノ コレナニ コレハ?」
ヴァイスがあれこれさして聞いてくるから,あたしはお風呂の方にヴァイスを連れて行・・・
「待ちなさい,まず夕飯を食べてからにしよう。」
・・・そう言われにゃきゃ,そのまままたおふろに入っていたかもにゃ。
ズィルバーは,宿屋のおくさんが作ったお弁当を持ってきてくれていた。
う~ん。やっぱりここのご飯は美味しいにゃ。
このサンドイッチ最高。にゃにが挟んであるのかにゃ・・お肉みたいだ。青々した野菜と一緒に挟まれているそれは猪豚の肉をスモークした物らしい。スモークって?ふうん。煙でいぶすのへぇ。いぶすって?・・・・・・疑問はつきないにゃ。
ご飯を食べてから,二人にあちこち見せて回った。熱い源泉を溜めておく池を見たズィルバーは暗闇の中,目をきらりと輝かせた。にゃんにゃの?
よく見たら,手にかごがある。
「まさか?」
「そのまさかだぜ。」
ズィルバーはかごを温泉に・・・入れる前に・・
「かなり熱いお湯だから,後で引き上げられるように,ひもか何か付けておきなさい。」
ってロートが言わにゃければ,きっとそのまま入れて,後で悔しがったに違いにゃいにゃ。
「・・・このくらいの熱さだと・・・1刻は長すぎる。半刻で十分。もう少し冷めたお湯だと1刻・・・」
頭に聞こえたことを伝える。いつも思うんだけど,誰がささやいてるんだろうね。
案内をそこでストップして,みんにゃでじりじりしにゃがら待つよ。
「・・・時間だ・・・」
誰かがささやくからその通り伝えるよ。
ズィルバーが,
「あちっあっちぃ」
と騒ぎにゃがら引き上げる。湯気がもうもうと上がってる。
熱すぎて誰も卵に触れにゃい。
そしたら突然,ヴァイスがりゅうににゃってかごのひもをつかんだ。
「にゃににゃににゃに?????」
ヴァイスはそのまま海にどっぶ~ん!!
「あっこらっ」
・・・・・・
少ししたらヴァイスが上がってきた。
「スコシヒエタヨ。ボクノブリザードダト コオッチャウカラネ,ウミノミズデ ヒヤシタヨ。」
ヴァイス,ナイス。
みんにゃで殻をむく・・・あれえ・・・この卵剥きづらいよ。
「わわわっ!ぷるんぷるんしてるよ。」
「やばっ垂れてくるぜ。」
「・・・塩味が効いてるね。」
「何も付けてねえのになぁ・・・」
かがりがり・・・え?ヴァイスったら面倒だからって殻ごと食べてるし。
よく見たら頭だけりゅうに戻ってる。うわっ見たくにゃかった。
たくさんあった卵は,あっという間にみんにゃのお腹に消えたよ。
夕飯食べた後だったのにね。
次の日,朝食も済み,まったり温泉を楽しんだ後,のんびり体を冷やしていると,遠くから,おおいと呼ぶ声が聞こえてきた。
魚型獣人が着いたみたいだにゃ。
ロートが迎えに出る。
魚型獣人は,口々に
「こんなところに岬があるなんて。」
「いつのまに出来たんだ?!」
「この前魚取りに来たときは岩が1個あったばかりだったぞ。」
にゃんて驚いている。
そこをロートが,ほっと・すぷりんぐ・にゃあにゃあが造成したと言うことを伝えている。
「凄い技術だ。」
「さすがだ」
・・・いやあそれほどでも・・・
温泉施設にも驚いていた。
「・・・効き目を効いて安心したし。これでたくさんの魚型獣人が救われる。」
え?にゃんのこと?
「そうですね。洞窟型にすることによって,日光も遮りますし,何よりここのお湯が,皮膚の病気には最適みたいですからね。」
ロートが答えている。あたしだけ訳が分かってにゃいみたい。あ・・ヴァイスも分かってにゃいかにゃ。
一応温泉にみんなで入り,使い心地も試していたよ。
その後で,魚型獣人は,ロートと難しい話を始めた。
あたし達は,お昼の準備をすることにする。
魚型獣人達がたくさんの食料を運び込んでくれたので,凄く豪華なお昼ににゃった。
お昼の後,ズィルバーは,ヴァイスと一緒に,また,まちに向かうことににゃった。
あたし達の荷物を引き上げてくるんだって。ここでしばらく暮らすらしい。え~宿屋のご飯は~
お湯の様子を見て,湯量や成分を毎日確認して・・・あ~あ・・・いくら前より美味しくにゃっていても,毎日ズィルバーのご飯はにゃあ・・
そしたら,ここに宿屋を建てる魚型獣人 がたくさんやって来るって。そのためにご飯作りの人たちも来て,あたし達も食べれるらしい。やったぁ。
準備に2~3日かかると言うことだけど,いいよね。ご飯。ご飯・・・そう言えば,たくさんの魚型獣人が救われるって,にゃんだったんだろ・・・後でロートに聞いてみよう。