202 また,しゅっぱ~つ
朝・・・久しぶりの陽の光だね。
いつの間にかロートもちゃんと戻って来てた。
寝室の窓から入る光。遠くに西の町が見える。反対の側にも緑の塊が見える。「広々した砂の中にもぽつんぽつんと緑が見えるね。」
「ウン。」
「うん。」
・・・
「あの緑の所はオアシスって言うんですよ。」
ロートが教えてくれた。
「おあしすってぇ?」
「そこに,池や泉があるんですよ。」
「砂漠を旅するときは,緑を転々としながら行くんだな?」
「ええ。」
・・・・・
あたし達は,夕べ四方を見たお部屋に行ったよ。
「ここは,管理司令室って言うんだそうですよ。」
「カンリ シレイシツ?」
「ええ。ここで水を管理していたらしいですね。」
「どうやって管理してたんだろうな。」
ズィルバーも興味深そうだね。
「おや。起きたかい?」
フロウさん。
「あれぇ みやこおばあさんはぁ?」
「ちょっと帰ったよ。また来るってさ。」
すごいにゃあ・・・自由にあちこち行けるにゃんてさ。
「ミャアコチャンモ イッタコトアル トコロニハ イケルデショ。」
まあ・・・行けにゃいわけじゃにゃいけどさ・・・
「みやこさんが,朝ご飯を差し入れてたよ。食べようか。」
フロウさんが指し示す方には,沢山の食べ物。
「これは?」
「アンリさんが作ったと言ってたよ。」
「ヤッタ」
「わ~いわ~い」
しばしの後・・・
フロウさんが切り出したよ。
「あんた達に頼みたいことがある。もちろん温泉探しが先なんだろうが,おそらくそれにも関係あることだ。」
にゃんだろうね?あたし達は朝から美味しいアプサワーを飲みにゃがらフロウさんの方を向いたよ。
「実はね・・・」
フロウさんの話は驚くべきものだったよ。
・・・・・
って言う訳なのさ・・・
「で。僕たちにそこに行って見て来て欲しいと?」
「そう。うまくいけば・・」
「この砂漠に緑がよみがえるってことか?」
「スゴイネ。」
「うん。」
「どうすればいいの?」
・・・・・
「まず,百聞は一見にしかずです。行ってみましょう。」
「あっちはあんまり良い感じがしなかったんだがな・・・」
「確かに。でも,僕たちには,」
「ヴァイスとシュバルツがいるって訳か?」
「あたしもいるよ~~~」
・・・じろり・・・冷たい視線をありがとう・・・しょぼん。しっぽがたれちゃった。あたしのしっぽ・・・先っちょが黒くて・・・しゃぶった後がやっぱしあるんだ。
いらないものは置いていって良いかにゃあ?
「いらないものはありませんよ。全部持って行きましょう。でも・・・ブラウはお留守番ですね。」
「そうだな。何があるか,まだ分からねえからな。」
あたし達はブラウのえさをたっぷり残した。何日になるか分かんにゃいからね。お水も・・・
お世話しにゃがらあたしは考える・・・
最近気が付いたことがあるんだ。ズィルバーは,時々服の上から,胸の辺りを握りしめるんだ。これって前,見えにゃくにゃるように頼まれた鎖と飾りを触ってるんだよね。あたしも時々胸の指輪を確かめるから・・・ズィルバーとおそろいの,新しい癖かにゃあ?ふっとつぶやいた言葉がズィルバーに聞こえたみたいで,
「ぶぁっかやろ~」
って。あたしにゃんか変にゃこと言った?
「オトコノコハ フクザツナンダヨ」
「あれ?ヴァイスも複雑にゃの?」
「マッサカ~」
ははははは・・・
そんにゃことをいいにゃがら賑やかに出発したよ。何が待ってるんだろうね。