15 次の温泉へ 1
村で一泊した後,また山道を歩いた。
ヴァイスが時々乗っけてくれるから,楽ちん楽ちん。
どうもヴァイスは,あたし達から離れたとき,ご飯を食べているらしい。
というのは,ますます大きくにゃって来たからだ。いつの間にか,首も前より長くにゃってるし。
「これ以上大きくなると,宿屋に泊めてもらえなくなりますねえ。」
「何食ってこんなに大きくなるんだよ。」
「でも乗っけてもらうと楽ちんだよ~」
ほんとに, にゃにを食べているんだろう。
ちゃんとあたし達のご飯の時もやってきて,残りはみんにゃ食べちゃうし。
山道を登ったり,下ったり,・・・左右の木々の葉っぱが,だんだん細いのから大きな葉っぱがたくさんににゃって来た。
変わったのは木だけじゃにゃい。見える花も,木に咲いているのから,地面に生えている草に多く見られるようににゃって来た。
たまに出てくる獣も,小さくてかわいいものばかりだよ。
いつの間にか山道は終わり,この3日くらい平らな道を歩いている。
木も少にゃくにゃってきた。
野宿も,平らにゃところで,テントを張るのも楽らしい。
ここで,とうとうヴァイスがテントに入らにゃくにゃった。
卵から孵って,まだ2ヶ月たっていにゃいのに。すごいにゃあ。
でも・・・夜,結界魔法を掛けるとき困らにゃいのかにゃあ・・・
「俺たちに害意がなけりゃ出入りは自由だぜ。」
ズィルバーが言う。ほんとかにゃあ。
あたし,試すのは怖いから,夜中はテントからでにゃいもんね。
相変わらず,夕飯はズィルバーのシチューだ。いくらにゃんでも飽きてきたんだけど。言えにゃいけどね。
でも,ヴァイスははっきりしてる。
10日くらい,同にゃじ味が続いたら,食べにゃくにゃった。
夕飯時ににゃると,ふいっとどっかに行っちゃう。にゃんてうらやましい。
・・・
・・・・ロートもあたしも黙って食べる。
「なんだよ!!!」
にゃんでもありません。飽きただけ・・・。
残りが出ても,ヴァイスが食べにゃいから,朝もそれを食べる。下手したら,どっかにしまっておいてあるらしくて,昼もそれ。
早く次の宿屋に着かないかにゃ~。
・・・
気がついたら,道も,結構広くにゃっていて,すれ違う獣人も多くなってきた。でもって,すれ違う獣人すれ違う獣人みんにゃヴァイスを見てぎょっとする。
すれ違う獣人の中には,プフェーアトって言う獣に車を引かせている獣人とか(プフェー車って言うらしい),プフェーアトに乗ってくる獣人もいる。
その,プフェーアトより,ヴァイスは大きいんだから,やっぱりみんにゃ驚くんだね。
平らな道の両側は,草っぱらだ。
色とりどりの花も見える。
黄色い花,ピンクの花,赤い花・・・猫型獣人の目ってすてき。
ズィルバーの銀色もお日様に照らされてきれい。
本人には言わにゃいよ。
この原っぱで分かったことだけど,ヴァイスはお花も食べる。しゃりしゃり音をさせて美味しそうだ。
原っぱの花を,全部食べちゃったらまずいので,時々呼び寄せにゃがら進んでいく。
熊型獣人の村を出発して,1ヶ月以上すぎた頃・・・
雨・・・この世界に来て初めての雨が降ってきた。
あたし達は大急ぎで,次に宿を取る予定のところに向かって,進んでいる。
ヴァイスは,雨の中でも楽しそうだ。そういえば,温泉大好きだったっけ。水が好きにゃんだね。
雨が降ってもテントがあれば大丈夫じゃにゃいの?って聞いたら,
雨の中の野宿はあまりおすすめできないそうだ。
にゃんでかにゃあ?
そしたら,ロートが教えてくれた。
夜,雨の降っている原っぱでは,ヘレロスフントっていう怖い獣が群れで襲ってくるらしい。晴れていれば,あまり出てこにゃいっていうその獣は,犬型獣人のご先祖様ってやつらしい。
へぇ~。でも,結界魔法があるにゃら大丈夫じゃにゃいのかにゃ?
そしたら,あまりミャアコに変なものを見せたくないって言われた。ヘレスフントって変な獣にゃのかにゃ?
歩いてるだけで,だんだんお利口ににゃっていくにゃ~。
そうそう。文字ってやつも少しずつ覚えているよ。
これを教えてくれるのは,意外にゃことにズィルバーだった。
時々げんこつされるけどね。
耳もしっぽもへたれるよ・・
暗くにゃる頃、小さな町に着いた。虎型獣人さんの町だって。
やっぱり柵で囲まれているその町には虎型獣人さんが立っていた。
ロートがいつもの四角いカードを見せる。虎型獣人さんは,へ~と言って・・・それからヴァイスを見て,渋い顔をした。大きすぎるらしい。
「おとなしいよ。」
「あたしを乗せてくれるの」
ズィルバーと二人でヴァイスのことを説明する。
町の町長さんのところに別の虎型獣人さんが聞きに行ってくれた。
しばらくたって,もう一人の虎型獣人さんが戻ってきた。
『乗り物なら仕方ない。』
って言ってくれたそうだ。
おすすめの宿屋を聞くと,もう少し歩かにゃければにゃらにゃいらしい。
雨がますますひどくにゃる中,あたし達は少し走った。
宿屋は,割ときれいで,ちゃんとお風呂もあった。もちろん温泉ではにゃいけれど。
部屋が狭いので,ヴァイスは,プフェーアト小屋へ泊まることににゃってしまった。
ごめんね。
でもヴァイスは気にしていにゃいみたいだった。
「何を食べるんですかね?」
小屋の虎型獣人が聞く。
あたしは,はてなと首をかしげた。
あたし達の残り物も食べるし,花も食べる。
でも,主に食べているのはにゃんだろう???
「とりあえず,花とか野菜とかですかね。」
虎型獣人は,そう言って笑ってくれた。
あたし達は,久しぶりのお風呂を堪能した。温泉じゃにゃいのが残念だけど。
ここのお風呂は,『銭湯』って言うらしい。宿屋の人たちだけでにゃく,
町のいろんにゃ人たちが来て入っていた。
夕食も,シチューでないものをすっごく久しぶりに食べたよ。
丸くて揚げてある真ん中に卵が入っているもの,四角いゼリー寄せ。赤い果物入り。ねじってある揚げたパン。お団子状のお肉の入ったスープ・・・・
・・・あぁシチューじゃないって素晴らしい。ものすご~く美味しかった。涙が出そうだったよ。
この宿屋には3日間泊まった。
翌朝、ふかふかのパンと美味しいサラダに,平たいお魚・・・半分涙目になりながら,たっぷり食べたあたし達は,まちにくりだした。
いろいろなお店屋さんを回って,1ヶ月以上の旅の間に減ってしまったものの補給をするんだって。
このまちは,海と山の中間より,海の方に近い町だとかで,あたしが初めて見るようなものも多い。
塩漬けのお魚。ちょっと美味しそうな匂い。
乾燥させてあるかちんかちんの魚。
半分乾燥させてある魚。これ今朝食べたよね。
へぇ~これって開いてあるの?
あ・・・折りたたんだら普通にお魚の形だ。
おもしろ~い。
これは??
びんに入ったにょろにょろしたのは「いか」って言うらしい。
あたし達は食べちゃだめなんだって。にゃぜ??
服も,だいぶほころびが出ていたし,ズィルバーは前より大きくなったとかで,ここで何枚か新しくした。
ズィルバーは,いっつも黒い服だからにゃあ。たまには青いのとかを着にゃいかにゃあ?
ズィルバーの服は,ちょっとお直しってのが入るんだって。だから受け取りは明日。
食べ物とか,必要なものの補給も十分にして・・・・・3日目の朝,
「さあそろそろ出発だ。」
とても平和に,小雨の中をあたし達は歩き出した。
・・・でも・・・あたし達に迫ってきた者達が・・・・・
さて,なにがおこるのでしょうか・・・・・