出会い
「はなしてくださ・・・っ、はなして・・・っ」
「君、可愛いねぇ・・・おじさんと、今からどぉ?」
お酒臭い息がかかる。壁に押さえつけられた両腕に、御揃莉兎は身動きが取れず、ただ首を振った。
今から何をするというのだろう。莉兎の瞳は不安に揺れる。
男子の制服を着ているのに酔っ払った男が自分を女の子だと思っているようだと、莉兎は誤解を解くべく抵抗した。
「僕、男です・・・っ」
男はむむっと赤い顔をしかめる。
「こんな可愛い顔してるから・・・許すっ!」
にこにこと破顔した。何を言っても無駄な雰囲気に、莉兎は泣きそうになる。
男は莉兎の首元に顔を埋めた。塾の帰りが遅くなるのはいつものことだが、こんなことは初めてで莉兎は恐怖にすくむ。
特に人通りが少ない道と言うわけでもないのに、今日に限って人はまばらで、その少しの人達も皆見てみぬふりで通り過ぎて行く。
ぬらりと生あたかい湿ったものが首に当たった。男の舌。
「ぃやあっ」
「ぉお、よしよし」
男が抵抗した莉兎をぎゅっと抱きしめる。服の中に侵入した手。乳首を摘んだ。
「ぁっだめぇ・・・っ」
ぎゅっと閉じた瞼。涙が流れた。
「な、何だね!?」
不自然な男の声に、莉兎は瞳を開けた。誰かが男の首根っこを掴んでいた。