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「別に使わないからな。そんな怪しいの」

今僕は頭から胸にかけて水でびちょびちょだ。寒いし、携帯壊されるし、泥棒入ってくるし。残念すぎて涙が出てくる。

「私の話をよく聞いて耕太」

リリスの顔が急に真剣になった。金色の眉が上がり、琥珀色の瞳が僕を見る。白い羽がパタパタと空中を泳ぐ。その様子を聞いて神様なのに天使みたいと思うのはたぶん僕だけじゃないはず。

「泥棒といっても、家に侵入して金目のものを盗んでいく人たちばかりじゃないのよ。もしここで家族の中の誰かが起きて、鉢合わせしてしまったりすると泥棒は驚いて襲い掛かってくるかもしれない。顔を見られたと思って口封じとして殺されるかもしれないし、とにかくこうして耕太がおろおろしてる間に危険がせまっているのよ。そんなこと耕太は許せるの? 知らないふりをして見過ごすの?」

「携帯壊したのはどこのどいつだ」

「私だよっ!」

「元気よく返事をするな!」

「あのね、警察に電話したところで、危険なことには変わらないの。連絡して、警察がここに到着するまでの時間で何かが起こってからじゃ遅いのよ?」

「交番はここから三分のとこだけど」

「……」

「逆に泥棒がこの家を狙ったのが不思議なくらいなんだけど。リリスが携帯を折らなければ万事が解決のはずだったんだけど」

「過ぎたことは気にしないで。これからどうするかが大切なの」

「言える立場か!」

「まあとにかくやるしかないの。はい、どごでごっっドア」

「……こんな大きなものどうやって使うんだよ」

「殴り倒すの」

「それ、ドアってつく意味なくない?」

「あ、これじゃ大きくて振り回せないよね。それならこのスモールライ――――」

「あれ、小学館側から見えない圧力が」

「――ライ麦パンで」

「ただの小さいパンじゃねぇか!」

「仕方ないでしょ。権力に立ち向かうより素直に屈したほうが社会は潤滑に回るの」

「神様なのにそんな悲しいことを言うな!」

権力とか社会とか神様には関係ないことの気がする。

「あれ、今耕太のママさんの悲鳴が聞こえた」

「え? ってそれは冗談抜きでやばい!」


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