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川島さんが顔を近づけて、僕の目を下から覗いてくる。川島さん、顔近いよ!
でも、そっか次の英語の授業が終わったら昼休みなんだ。寝ていたせいかいやに早い気がする。
つまり、水野さん達は昼に僕をご一緒させていただけるとそういうこと? え、ていうかまじで? やったあ、すごくうれしい!
「食べる食べる」
「みいずぅのぉおおおお」
康明の幽霊みたいな声が後ろから聞こえた。
「康明も一緒でいい?」
「うん、いいよー。大勢で食べたほうが楽しいしねー!」
川島さんがにこりと笑う。磯野さんはどこかほっとした表情。教室の隅にいる何人かは僕を睨んでいた。康明はというと、
「おおおーん。俺は今猛烈に感動している。持つべきものは友達だよなー水野ぉぉぉぉ!」
康明が僕をひしと抱きしめてくる。やめてくれ暑苦しい。僕は康明を一思いに蹴飛ばした。闇内君に当たったけれど僕はそのまま知らない顔をして席についた。
それでも、たとえ僕の知らないところで背骨を傷めていたとしても、康明はついてきたのであった。元々昼はいつも康明と一緒に食べている。女子としゃべっている僕が羨ましいだけで、そもそも僕と康明の仲は悪くない。たぶん今じゃ感謝こそされど、恨まれるようなことはないはず。あ、闇内君のことは除いてね。学校が終わって病院にいくことになったとしても費用は出さない。僕悪いことしてないし。
「でね、それで結局つぼを4個買わされちゃったの。後でお母さんにこっぴどく怒られました」
「へぇ何もかもが完璧な磯野さんに限ってそういうことがあるんだなぁははは」
「壱子、ワカメのそういうとこ結構知ってるよー。やすっちはどう思うー?」
「お、お、お、お、おれおれおれは」
「どしたのやすっち? 様子が変だよー?」
「そんなに顔を近づけられたら……ぐはあああっ。ついでに背骨の古傷があぁぁぁぁ!」
「大丈夫田中君!? 壱子がなんか変なことしたの?」
「壱子は何もしてないよー。ただやすっちを見てただけー」
「磯野さん。康明なんか放っておいて僕とにらめっこしましょう」
今僕たちは学校の屋上でお弁当を食べている。いつもは教室で康明と女の子についての議論で盛り上がっているが、今日はクラスの二大トップ美少女と昼食をご一緒させていただいてる。憧れの磯野さんとこうしておかずを箸でつつきながら会話が出来るなんて至福の限りである。出来ればあーんなんて、いや、それやられたらリアルに悶え死ぬぞ。まぁでもこうやって磯野さんしか見えない状況でも視界の端っこに映るもんはあった。




