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氷狼の賢者様はとにかくオムライスが食べたい  作者: 天瀨 あめ
第1章 賢者様は仲間が欲しい
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第2話

氷狼の賢者――それは、若くして賢者の称号を得た少女につけられた二つ名である。

彼女の魔術が狼を思わせるから、という理由だが、その話はまた別の機会にしよう。


昼下がり。かざまつり亭の女将にその名で呼ばれた少女は、今まさに道端に倒れていた。


「……お腹すいた……」


イルヴィは腹を押さえ、路地にぐったりと横たわる。杖を枕代わりにしていたが、当然硬く、快適とは言い難い。

人通りが増えたせいで、倒れている自分が目立っていることには気づいている。だが、空腹が限界に達した今、気にする余裕はなかった。


そんな彼女に、頭上から呆れたような声が落ちてくる。


「イルヴィ、やっぱり料理人を雇おうよ。いつまで“かざまつり亭”と行き倒れを往復するつもり? 自炊できないんだから、そろそろ次の手を考えなきゃ」


「わかってるけどさ〜……。この世界って戦闘職を選ぶプレイヤーが多いでしょ? 女将さんみたいに農業や店経営に力を入れる人はいるけど、こっちをメインにやってくれるプレイヤーなんて滅多にいないんだよ……」


ケーゼは頷きつつも、道端に倒れる主人の姿に心配を拭えなかった。

イルヴィの自炊能力は皆無に近く、ケーゼも仕方なく彼女の手料理を食べ続けている。だからこそ、本音を言えば――毎日美味しいご飯が食べたい。

「賢者の称号を得る条件に料理スキルも含めてくれればよかったのに」――そう願ったのは、一度や二度ではない。


そんな思いを抱えながらイルヴィを見下ろしていると、路地の奥から足音が響いてきた。


「イルヴィ」


ケーゼが小さく名を呼ぶと、少女も空腹への集中を解き、強化魔術に力を込める。

この架空世界はPvPが前提であり、中でもとりわけ過激だ。誰かと鉢合わせれば、戦闘に発展するのが常。先ほどまでイルヴィが平和に倒れていられたのは、飲食店街――いわゆるセーフエリアの近くだったからだ。そして「氷狼の賢者」として名を馳せる彼女に、無闇に手を出す者がいなかったことも大きい。


だが、今こちらに迫る足音の主は、そのどちらでもない。

ケーゼが警告の声をかけたことが、その証拠だった。


イルヴィは力を振り絞って立ち上がり、迫る影へ杖を向ける。


やがて姿を現したのは、剣と大楯を構えた二メートル近い大男。

鋭い眼光で少女を射抜き、剣を突きつけた。


「子供を痛ぶる趣味はない。だが俺も崖っぷちなんだ……許せ」


そう告げると、大男は一気にイルヴィへと斬りかかってきた。

3話までは毎日更新致します。


初めてちゃんと物語を書くため、拙い箇所ばかりだとは思いますが、どうか広い心でお読みくださいませ。

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