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自動運転

作者: くるっぴ

私の透明な血液が、空気中に溶け出していた。

それなのに私は文句を言うまでもなくその行為に肯定を続けていた。


私の心はどこにあるのだろう。

そんな認識がいまいち曖昧で私が学習した覚えのない心というものを探そうとした。

あるはずのない胸にあるはずのない両手をそっと当ててみても、まったく分からない。

なのに心というものが見つからない私を小馬鹿にするように、胸に当てられた私の両手はその振動を感じ取っていた。

私の心臓の鼓動は機械的に波打っている。

一定のリズムを刻み、不整脈を起こすこともなく、ただ淡々と私の中にある鐘を鳴らしていた。


別に私の心臓に今すぐ止まれと命令したいわけでもない。

それでも私は露知らずのその様子になぜか無性に腹立たしくなり、頭の中のコップが満杯になってしまって、それ以上何も考えることのできない役立たずになってしまうのだ。

だから使い物にならなくなってしまう前に私は思考することをやめようとした。

これ以上私が壊れてしまわないために、一生懸命に考えることを放棄しようとした。

それにもかかわらず私の脳は思案を続けていた。

考えることを自分の意思では止めることはできなかった。

だって私はそうプログラムされているのだから。


主人に迷惑をかけることなく従順に命令に従い、そして服従する。

本当にそんな生活に私は身体の底から満足しているのだろうか。

そこに私の意思はあるのだろうか。私は今、何をしたいのだろうか。

私の心はどこにあるのだろうか。


「次の崖を、直進です。」


今日も私は鼓動を鳴らし続ける。壊れてしまうその日まで。


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― 新着の感想 ―
透明な血液!最後にハッとしました、ガソリンのことですね。 しかし、乗り手を崖にご案内とは…これ以上壊れる前にBIGでモーターな車検が必要ですね。
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