横に立ちたかった②
一緒に戦うやり方を聞いたコメットは、またサークル臨時にアマギを誘った。
アマギは渋ったが、別のサークル臨時であることを条件に了承してくれた。
前みたいに軽い返事はすっかり来なくなった。
それでも来てくれるなら、それでよかった。
(今度は、ちゃんと役に立てる。横に並べる)
そう思うと嬉しくなったコメットは、教えてくれた人たちに、うまく誘えたことを報告した。
別のサークル臨時になったことで、成果を見せられなくなった。
そのことを、コメットは素直に詫びた。
すると彼らは、わざわざ一緒に参加してくれると言い出した。
「いやいや、さすがにそれは申し訳ないで、大丈夫や」
そう断ったが、
「自分たちも稼ぎたいし、気にしないで、サークル臨時は自由参加だしね」
という言葉に押し切られる。
コメットには、それを駄目だと言えなかった。
ダンジョンに入ったアマギは、一緒に参加した彼らの顔を見て、眉をひそめる。
だが何も言わず、変わらず前に進む。
魔物が現れれば、タイミングを見て前に踏み込み、きっちり一体ずつ仕留めていく。
コメットは、なかなか出番を作れないまま進んだ。
一緒に来てくれた人たちに、「まだまだこれから、チャンスはあるよ」と励まされながら、ただその時を待つ。
「前は彼に任せてさ」
そんな声が、何気なく耳に残る。
そして六階層に踏み入れる。
このダンジョンでは、六階層からラッシュウルフという魔物が現れる。
三匹以上の群れで突っ込んでくる、狼型の魔物だ。
しばらくは順調だったが、先行したグループが五匹の群れに遭遇する。
苦戦しているところに、さらに三匹が合流した。
今回最大の数だ。
それを見て、アマギと数人が素早くサポートに入る。
戦場は一気に混乱し、戦闘が長引いた。
一匹、また一匹と倒されていくが、ラッシュウルフの遠吠えと共に、また増える。
ようやく減ってきたと思ったところで、再び遠吠えが響いた。
コメットたちの近くに、追加のラッシュウルフが四匹、現れる。
(……今しかあらへん)
(ここで、やらな)
コメットは、教わった通りに動いた。
横へ回り、ラッシュウルフの群れから狙われにくい位置へ移動する。
少し距離を取り、端の一匹の注意だけを引きつける。
足が震えそうになる。
怖さはまだ消えない。
踏み込みが遅れる。
それでも、必死で足を動かした。
一匹だけ、うまく引きつけることが出来た。
「……アマギはん、任せたで」
コメットは、アマギの近くを駆け抜ける。
その瞬間、引きつけたラッシュウルフが、そのままアマギの方へ流れ込んだ。
これで一匹分、役に立った。
コメットは、そう思った。
すでに二匹を相手にしているアマギの前へ、
一匹、二匹、三匹と、群れが重なる。
アマギがバールを、突っ込んでくるラッシュウルフに叩きつける。
そのまま両手をトンファーに持ち替えるのが、コメットにも見えた。
コメットが走り抜けた先。
いつの間にか前線にも、さらにラッシュウルフが増えていた。
そのうちの二匹が牙を剥く。
自分がターゲットにされたことを、コメットは理解した。
(あ……あかん)
だが、常連たちの言葉が、頭に響く。
――前は彼に任せて
――君は横から削ればいい
(そうやった、アマギはんなら何とでもする)
なら、同じでいいはずだ。
「アマギはん、頼むな」
「ウチ、横から行くさかい」
コメットはそう叫んだ。
そして再び、アマギの横を走り抜けた。
自分では、ちゃんと連携しているつもりで。
だが、アマギの動きが変わる。
(なんで? いつもみたいにいってないん?)
そう思ったあとに、コメットにも分かった。
処理が追いついていない。
明らかに動きが重くなっていた。
増えたラッシュウルフに後ろに回られないよう、立ち回るアマギ。
後手に回っていた。
ラッシュウルフの群れは前と左右から、噛み合うように詰めてきている。
(あかん……)
胸がひゅっと縮む。
思わず、周囲を見回した。
一緒に来た常連たちは、視線の向こうにいる。
動かずに、こちらを見ているだけだった。
だが今のコメットには、それが傍観だとは分からない。
遠くにいて、手が出せないのだとしか思えなかった。
(横からやらな、ウチがやらんと、減らんのや)
コメットは武器にしている包丁を握りしめる。
そして前に出ようとした。
その時、コメットの足元に何かが叩きつけられるように刺さった。
一瞬のことだったが、それが何か、はっきりと見えた。
トンファー。
アマギが持っていた鉄製のトンファーだ。
ラッシュウルフの顔を掠め、コメットの足元に突き刺さる。
持っていたもう一つの武器、それを投げた
「寄るな、クソがっ」
静かな声だった。
だが怒りが混じっているのが、はっきり分かった。
アマギは投げた手で、そのまま腰のポーチを探り、
白い塊を三つ、まとめて掴み取った。
飛び掛かって来たラッシュウルフに、
躊躇なく一つ目を叩きつけるように投げる。
殻が砕け、七味唐辛子を混ぜた赤い粉が、
白い煙と一緒に噴き上がった。
――ゴブリン殺しの、卵型爆弾だ。
間を置かず、二つ目。
横から迫る個体の顔へ、腕を振って投げつける。
三つ目は、
距離を詰められたまま、半ば押し出すように放った。
目と鼻を焼く刺激で、ラッシュウルフの動きが鈍る。
そこへ残るトンファーと、安全靴の先端が叩き込まれる。
一匹、二匹、三匹と、ラッシュウルフが倒れた。
残る二匹が、アマギと向き合い、低く唸る。
一瞬の静寂。
コメットは息を吞んだまま動けずにいた。
その静寂を破ったのは、野太い男たちの叫び声だった。
一緒に来た常連たちが飛び込んでくる。
二匹のラッシュウルフが、そのまま飲み込まれていった。
(……終わった?)
コメットは力が抜けて、しゃがみこみそうになる。
だが、それはしなかった。
アマギと、目が合ったからだ。
その目に、怒気が混じっているのが分かる。
コメットは、
それを自分への苛立ちだと思った。
――自分が、
まだ役に立てていないからだと。
※本作は作者による構成・執筆を基に、一部AIを利用して調整しています。
確定申告は、八割ほど完了しました。
同じ悩みをお持ちの方、お互い頑張りましょう。
まだ大丈夫。申告期間はこれからです。
今週、来週、再来週と、
土日の0時に更新できそうです。
よろしくお願いします。
ストックが溜まり次第、連続投稿に切り替えます。
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そういうことを気軽に続けられる世の中であってほしいので、
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何もしなければ、何も変わりませんが、
何かしようとすれば、きっと少しは変わります。




