002 A piece of cake
魔人の出現場所に到着したエレク。
いざ尋常に勝負!!!
スマートアーマーはSAPメンバーによってそれぞれ異なるものが支給される。その多くは開発に長い時間を要し、完成したとしても扱うことは容易ではない。
エレクの使用するスマートアーマー・伝承フォルムも例外ではない。長い訓練期間を経て、ついに使いこなすことができるようになったのだ。
エレクが南区に到着した時、魔人は交差点の真ん中で車を真っ二つに引き裂いている最中だった。
「これで低級…何度か戦ったことはあるけど、未だに魔人の迫力に圧倒されるのはどうしてなんだ。」
魔人の右の拳には眼の紋様が確認できる。
「おい、そこの警官。一発殴らせろよ。」魔人はエレクを見て言った。
散乱した電柱の下敷きになった少女を救出した後、彼は魔人に向かって叫んだ。
「今すぐ降伏しろ、さもなければ殺す。」
にやりと笑みを浮かべ、魔人は言った。
「できるもんならやってみ___」
グシャ!エレクの蹴りが魔人の腹にヒットした。
脚に巻き付けたヨーヨーの力で高速移動し、そのまま間髪入れずに蹴りを入れることに成功した。
「調子に乗るなよクソガキが!!!」
激昂した魔人に対して全く動じないエレク。車を数台投げつけられるも全てよけていく。
魔人との市街戦で最も大切なこと、それは被害を最小限に抑えることだ。
戦いに勝つことだけが彼らの目的ではない、正義の味方はいつだって守るものが多いのである。
アーマーから二つの将棋駒が現れる。
「お前に勝つのは、朝飯前さ。お前が奪ったものを取り戻すのが俺たちの仕事だからな。」
次の瞬間、二本の槍が現れる。
「さてと、本気出すか。」
【用語解説】
伝承フォルム:
主人公、魔導エレクが使用するスマートアーマー。肩から触手のようにヨーヨーが二つ伸びている。
この特殊なヨーヨーは使用者の意志で自由に動かすことができ、体に巻き付けることで、その部位の筋力を一時的に増加させる。腕に巻き付けて強力なパンチを放ったり、脚に巻き付けて高速で移動したりできる。なお、ヨーヨーは二つ同じ部位に巻き付けることで、効果が倍増する。
魔人:
ヒトクローンの研究によって生まれてしまった副産物。彼らには例外なく眼の紋様が身体のどこかに発現し、その紋様の能力を発動させることで、超パワーや人間を超えた知能を手にすることができる。
2040年、研究室に保管されていた100体の魔人が脱走し、彼らは自らの能力でさらに魔人を生み出し、日本政府と敵対するコミュニティを形成し始めた。