夢囚人の名探偵~文化祭の来夢~
■登場人物
夢路 醒 :夢の中の探偵。
内藤 来夢:今回の依頼人。
優花 :来夢の友人。
■「夢囚人の名探偵」シリーズについて
夢に囚われている少女探偵「夢路 醒」が、夢を使って依頼を解決する話です。
今回で4作目になります。前作を読まなくても支障はありませんが、宜しければ前作もご一読頂けると嬉しいです。
・1作目「夢囚人の名探偵~夢路 醒の事件簿~」
・2作目「夢囚人の名探偵~回命時計の使い方~」
・3作目「夢囚人の名探偵~ピンクのランドセルの女の子~」
この作品は、「第5回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞」の応募作です。
テーマは「文化祭」。
内藤来夢は混乱していた。先程まで友人と文化祭にいたはずなのに、今は闇の中だ。
「どこ…?」
そこに光が現れた。一縷の望みで向かうと、部屋のような空間があり、本棚が並び、ソファとローテーブルの応接セットと、少女が立っていた。
「いらっしゃい。私の依頼人さん。」
少女が自己紹介する。
「私は夢路醒。探偵よ。依頼は何かしら?」
聞かれた来夢は声を絞り出す。
「優花が、友達が事故に遭ったの!」
「記憶を見せてもらうわね。」
醒が手をかざすと景色がフワリと変わった。
高校の文化祭を来夢と優花で回っていた。
『チョコバナナかクレープ食べない?』
『チョコバナナかな。クレープはクリーム零しちゃうんだよね。』
『分かるー。』
二人がグラウンドの櫓の側を通った時、それは起こった。
ドドドーンッ!
『櫓が崩れた!』
『女子が下敷きになったぞ!』
『救急車!』
「優花ー!」
もう一人の来夢が駆け寄るが、触れる事は出来なかった。
「落ち着いて。これはあなたの夢よ。」
動揺する来夢に醒が呼び掛ける。
「現実ではないわ。」
「本当!?」
来夢は足の力が抜けて座り込む。
「でも問題がある。これは予知夢よ。」
「予知夢?」
「このままだと本当に事故が起こるって事。」
「そ、そんな!」
泣き崩れる来夢に、醒は冷静に言った。
「簡単よ。未来を変えれば良いわ。」
「どうやって?」
「チョコバナナじゃなくてクレープを食べなさい。」
「え?」
霞む世界で醒は微笑んだ。
「楽しい文化祭になると良いわね。」
ジリリリ!
来夢は目覚ましに起こされた。
「変な夢を見た気がする…。」
しかし今日が文化祭である事を思い出し、すぐに着替えて学校へ行った。
来夢と優花はハリケーンポテトを食べ、うちわをデコり、ヨーヨー釣りをし、体育館のライブを楽しんだ。
「チョコバナナかクレープ食べない?」
「チョコ…ううん、クレープ!」
「美味しいー。」
「クリーム零したー!」
「トイレで洗う?」
二人が反転して数十秒後、それは起こった。
ドドドーンッ!
「櫓が崩れた!」
「皆、大丈夫?」
「無事だなー!」
(これ、見た…?)
驚きながらも来夢は既視感を覚えた。
(ありがとう。)
そして何故か誰かに感謝したくなったのだった。
話が纏まらず、内容が薄くなってしまいましたが、雰囲気だけも感じて頂けたら幸いです。
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