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そして悪役令嬢は眠りについた  作者: 石谷 瑞穂
10/22

覚えてなかったわ

投稿します。よかったら読んでください。

「何言ってんのよ…。何言ってんのよ!だってここは、この世界は、『暁の妃』の世界でしょ!?乙女ゲーム、『アカキサ』のヒロイン、マチルド・トゥールーズに私は転生したんじゃないの!?あのゲームのバッドエンドは、どのルートも全部、修道女エンドのはずよ!処刑エンドなんて、ありえないわよ!」

 イカレ女が首を振りながら、いつも以上にわけの分からないことを叫ぶ。ん?マチルド?

「へえ。お前、マチルドって名前だったの。全然覚えてなかったわ」

 イカレ女だけでなく、ニコと女の看守たちまで、俺を変な目で見た。

「仕方ないだろ。俺は興味のないことは、一切覚えられないんだから。もともと王太子なんて向いてないんだよ。…まあ、いいじゃないか。お前は、明朝に両親ともども処刑され、一両日さらし者にされた後、灰になるまで燃やされる。その後は、川に流されて終わりだ。国家反逆者の墓を立てることは禁じられているし、国の正式記録からも抹消されるから、お前らの名前なんて、覚える必要はないんだよ」

 ごく当たり前のことを言った俺に対し、青ざめた顔で、イカレ女は「何なのよ…」とつぶやいた。

「あんた…、一体、何なのよ…。バグにしたって、おかしいわよ…。王太子テオドール・ド・ガリアは、憂いを帯びた繊細な貴公子って設定のはずよ…。こんな鬼畜の欠陥人間じゃなかったはずよ!!」

「うあ。ひどい言いようだな」

 俺は苦笑するしかなかった。

「そうだな。五年前にお前らクズ親子が、ジルの生家に乗り込まなければ、こうはならなかったかもな」

「お前が、ジルに王妃殿下が贈ったドレスを勝手に丈詰めして、王宮の茶会に着てこなければ、こうはならなかったかもな」

「あのクソ以下の公爵が、ジルを王宮に引き取ろうとした父上の命を拒まなければ、こうはならなかったかもな」

「あの恥知らずの後妻が、ジルに俺が誕生日に贈った生物図鑑を燃やさなければ、こうはならなかったかもな」

「お前らは、見事に選択を間違えたんだよ」

「な、そんなことが理由で、私たちを殺そうっていうの!?そんなのいちいち覚えてないわよ!…待ってよ。まさか、あんた、五年前から私たち親子のことを…」

 イカレ女が、ガタガタと震えだした。

「そうだ。始末するつもりだったんだよ。俺が十二の時から、ずっとそのためのに準備してきたんだ。…やっぱり俺は、王太子なんて器じゃないな。たかが害獣を三匹駆除するのに五年もかかってしまうんだから。これからは、辺境伯として国に尽くすよ。ナルボンヌ辺境伯として、ジルと一緒に」

 俺の告白に、イカレ女が目をむいた。

「ナルボンヌって、まさか…」

「おや、馬鹿でもさすがに自領の地名は知ってたんだな。そうだよ。トゥールーズ公爵家はこれから分割され、三分の二は俺の領地になるんだよ。ナルボンヌ辺境領にな」

 にっこりと笑みを浮かべ、俺は言った。

テオドールは、転生者ではありません。念のために補足します。

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