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難攻不落の黒竜帝 ――Reload――  作者: 遊木昌
序章
46/231

今が、有る


真っ白な世界で、目を覚ます――


 「ここは、何処だ。あぁ、死んだのか――」


 透明な水の上で、再び目を瞑る。もう、楽になる為に――


 『たわけ者が! 誰が、寝て良いと言った。さっさと、起きぬかッ!!』


 小さな足が黒を起こす為に頭を必要に蹴っていた。黒がいやいや起き上がると、小さな幼女が仁王立ちしている。

一目見て、その者が誰か分かった。見た目こそ違えど、自分が相棒(魔物)を見間違う事はない――


「随分と久し振りな気がするが……どこで、何やってんだよ《バハムート》」

『少し、別の次元におるだけじゃ! それよりも、何たる体たらくよ……呆れたぞ』

「――うるせぇよ。でも、やっと確信に変わった」


立ち上がる黒が、小さな黒竜の頭に触れる。撫でられる事が久しかったのか、幼子と変わらないその顔を緩ませるほどの笑みを黒へと向ける。

頭に触れた手から、微かだが魔力の揺らぎを感じる。

魔力は、増えてはいない。が、そこには確かに存在している。2年前より前から隣に感じていた異質な魔力――

そんな一欠片に過ぎない魔力であっても、今の黒を叩き起すのには充分であった。

僅かな魔力が、水路を勢い良く流れる様に全身へと巡る。巡る度に、眠っていた細胞が呼び覚まされる。

魔力が起きろと、細胞一つ一つを起こして回る。



「――行けるか?」

『妾は、元より――絶好調じゃ!』

「だな……不調なのは、俺の方だ」


2人が並んで歩く。真っ白な世界が、徐々に黒の色へと塗り替えられる。

その道中で、黒は仲間達の近況を尋ねる。バハムートが、少し迷った様子の後に、娯楽が少ないと言う不便さを語るだけで問題は無い事を告げる。

続けて、この一言を付け足した。未来が会いたがっていた――


その一言で、黒は――救われた。



「未来に伝えとけよ? 俺から、会いに行くってよ」

『うむ、言われるまでもない。だが、心せよ。宿主(マスター)は、妾との結び付きが存在しない。故に、本来の力がつ――』

「――分かってる。分かってるよ」

『……むん、ならば良い。妾は、マスターの心の枷を外しに来ただけじゃからな』


その一言を最後に、黒の隣からバハムートの存在が消える。だが、確実となった。

 未来達の生存が、自分のすべき事が――

今一度、自分の頭に焼き付ける。この先、自分の取るべき行動がどんな結末を迎えるのかを――

最悪、倭の立場や帝国の家族に迷惑を掛ける結果になるかもしれない。だが、先の事はどうでも良かった。


ただ、仲間を救う為に今が有るからだ。



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