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難攻不落の黒竜帝 ――Reload――  作者: 遊木昌
1章 機械国家の永久炉――【仕掛けられる『皇帝』への罠】
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過剰な力



「やっとか、黒の野郎……。待たせやがって――」

「久し振りに、あの黒竜を目にできました……やはり、と言わせるほどの流石の迫力ですね。はてはて、私も危うい立場ですね」


ハート、エドワードが遠く離れた建物の屋上から、顕現した黒竜(バハムート)の姿と共に、魔力を全開にした黒の姿を目に焼き付ける。


「ありがとう……コレで、計画の1つが完成したよ。後は、彼らに任せるとするよ」

「……これで、お前達の計画は更に進むのか?」

「あぁ、この先は僕でもわからない。ただ、今の黒竜帝では……足りなかった。だから、場面を整えて力を発揮させる。――人間、ピンチがチャンスと言うだろ?」

「はてはて、アナタは何か壮大な計画の1つに、我々を利用した様に見えますが……逆ですよ――」


ハート、エドワードが武器を構えて、瞳に色を灯す。



「「――利用して、やったんだよ」」



ハート、エドワードが一歩踏み込むよりも先に、2人の前に(あかつき)が現れる。


「2人共、頭を冷やしてくれないか? 嫌でも、そうして貰わないと困る」


ここで、3人が刃を交えればこれまでの暁達の努力が水の泡になってしまう。

特に、現在のハートの状態は非常に脆い(危険)――


その事を告げられ、ハートが渋りながらも刃を収める。


この場で戦えば、十中八九クラト以外の部外者(・・・)が現れ介入する。

そうなれば、黒、ヘルツ、ティンバー、ローグだけで事を納める事が困難になる。


「この場で、最も優先すべき事は――黒とローグの覚醒だ。ハート、エドワードの2人は裏方でしょ? 忘れたのかな?」

「暁、言われなくとも分かってる。俺は、アイツ――が気に食わんだけだ」

「同感ですね。が、妹の命を救った……その恩は、忘れません」

「……恩だなんて、ただ君らを利用する口実に使っただけだよ?」

「――それでも、ですよ。あの場で、利用価値を見出したから……死ななかった。そうだろ?」

「――好きに、思ってくれていい」

「では、そうさせてもらうよ。……2度と会わないことを祈っている」


一足先にイシュルワを後にするエドワードが、ハート、暁、クラトの前から消える。

ハート、暁がエドワードの魔力を完全に感じなくなったのを確認してから、目の前の戦いを注視する。


「さて、私はここまでお膳立てしました。後は、ローグさんですね……ウォーロックとの一騎打ちですかね?」

「あのローグが、しくじらなければ……の話だ」


クラトの薄気味悪い笑みに、苛立つハートだがすぐに冷静さを取り戻す。

このまま黒だけで、イシュルワを潰しても問題はない。

ただ、ローグが見ているだけとなる。そんな自分をあの男が(ローグ)が許せる訳がない。

少しの時間だけの関係だが、黒と同じで決して曲げない理想の為に生きている様な人物である。


「イシュルワを根本から、変革をもたらす……か」


ハートが、ローグの目的をもう一度言葉にする。

クラトがハートのそんな言葉に足を止めた。

そして、クラトの瞳にローグ映る。


「しかし、予想以上の力ですね……」

「黒のか?」

「……えぇ、あそこまで巨大な魔力――少し、怖いですよ」


クラトが下層部を守る黒竜を目にして、笑みを隠すように手で口元を隠す。


クラトは、敵ではない。だが、味方でもない――


ただ、黒を含めた皇帝(・・)と呼ばれるメンバーの能力の底上げが目的である。

その為に、他国へと渡って裏工作の日々であった。

暁と繋がって、裏で色々と作業していたのもその一環である。


――全部、どうでも良い。


ただ、黒やその他のメンバーが確実に強くなる。

過程はどうでであれ、今は黙認している。

なぜなら、クラトと暁の行動の行き着く先は、確実に全ての結果が自分達にとって(大きな利益)になっている。


黒が、力を取り戻す――

ローグが、より高い領域(ステージ)へと至る――

ヘルツが、力を曝け出す――


自分(ハート)を縛っている。鎖を断ち切る――


何でも良かった。

この結果が――。この後の結果が、より良い方向へと転じるのであれば、過程などどうでも良かった。

黒やメリアナだけでは、太刀打ち出来ない戦力でも近しい同胞が多くなれば、それ以外の場面で活躍できる者達が増える。


戦場へと、友人、同士、親や兄弟を見送る。

多くの民間人から疎まれ、忌み嫌われても――結果か、全てである。

が、少し恐ろしくなる。これ以上の辛い過去と向き合わなければならない。


「ハートくん、今更……怖じ気付いたのかい?」

「……黙ってろ、暁――」

「ハイハイ……」


クラト、暁、ハートの3人がイシュルワでの最終決戦に、部外者の介入を警戒する。

全ては、黒やローグのさらなる進化の為に――



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