プロローグ
以前投稿していた作品を少し設定などを変更して、新しく書き直した作品です。
後々の展開や仲間のメンバーや強さなどが異なっているので、見比べるのもアリですね。(作者は絶対しないけど)
そこは、世界でも最も巨大な島国――
様々な種族が共存する。多種族国家と呼ばれる唯一の国家であった。
『亜人』
『巨人』
『妖精』
『魔人』
『獣人』
『海人』
『機械』
『天翼』
『鬼人』
『竜人』
この十種族に『人族』を加えた。
十一種族で構成されたその国家には、各種族の頂点に君臨する10体の王――
獣の王と呼ばれる王達と《皇帝》と呼ばれる最強クラスの騎士が存在した。
種族の頂点に位置する王は、この島国を守護する守護神であった。
ゆえに、他国からその存在その物が力の象徴となっていた。
そして、それに見劣りしない。
皇帝クラスの騎士達も他国から象徴としての認識が非常に強い。
それ故、こんな認識が深く広まった。
――皇帝なら、勝って『当然』
――皇帝なら、一掃して『普通』
――皇帝なら、不可能は『あり得ない』
その常人離れした強さから、そう言った認識が広まったこの世界で1つの大事件が起きた。
世界でも、珍しい多種族が住まう唯一の島国――その地で、大規模な戦いがあった。
この世界の敵である《異形》と、それらから世界を守護する《騎士》の戦いは3日間続いた。
そして、悲劇は起きた。
世界が、その瞬間に釘付けとなった。
鳴り響く轟音と天を貫く雷が、遠く彼方から聞こえる。
目映い閃光が夜を明るく照らす。
閃光が生まれた場所には、黒く焦げた焼け野原が広がっている。
――その中央で、一人の男が天へと叫んだ。
大粒の涙を流し、確かにそこに存在した人が最後まで羽織っていた。
その布の切れ端を力強く握り締める。
天を切り裂いたあの雷に負けないほど、男は叫んでいた。




